いきなり回り道だがルー・テーズは年を取って率直になると、流智美に話を引き出されて(笑)、「そうだなあ、あいつはシュートだったよ」「あいつは人気だけでレスリングをしらないショーマン、パフォーマーだよ」とか一刀両断に往年の名レスラーを切って取っていた。
これが頑固ジジイの繰り言にも見えつつ、面白い芸談になっていて、とても楽しい。
おいらの記憶でいうと
「そうだなあ、カール・ゴッチ、ディック・ハットン、ジョージ・ゴーディエンコ、ビル・ロビンソン、アントニオ猪木、ビル・ミラーは極上のシュートだ。より一段上のフッカーといってもいいかもしれん。
一応シュートと言えるのはマッドドック・バション、ドン・レオ・ジョナサン、バーン・ガニア、…酒場のケンカに強いという意味のシュートではディック・マードックか、ハリー・レイスを入れてもいいかもな」
みたいなことを延々と語るんですよ(笑)。それが楽しくてね。
で、最近の漫画って、けっこう他の作品とか、マンガ業界の編集者とか業界慣行とかを引き合いにだして、こするギャグが多いじゃないですか。
そういうのを見て、「あれ?これヤバくない??」と思う緊張感って、プロレスでシュートっぽい展開や技術が見える時の緊張感と似ているんです(笑)いや個人の感想でね。
最近、そういう作品の傑作回を見たんですけど(後述)、そういう視点で、「業界話を描くシュート漫画家」をピックアップしてみました。
島本和彦
最初にゴッチ級の存在を持ってくるな(笑)。シュートは技術だけでなく「事件=伝説」も持っててほしいが、「幻の最終回」だけでおつりがくるな(笑)
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これも、業界の個人やなにかを直接名指ししたわけじゃないが、けっこう容赦ないシュートのテクニック。
宮崎周平
「僕とロボコ」は、毎週のようにパロディネタをやってる。ただ、あまりに技を乱発しすぎて、これはメキシコのルーチャのようだ。ここぞという時にバッと一撃を極めてこそのシュートだ。
おおかた、編集部や、ネタ元相手とは事前に話がついていて、キャッキャウフフ、宣伝込みのギミックなんだろう、とか思っていたんですよ、最初は…
だが、
ハワイでゴミ収集人の仕事をして食いつないでいく、とかの可能性もあったのかも…。
畑健二郎
このひとは普段の漫画の中で、他雑誌も含めてパロディは結構出てくるが、まあ雑誌のメインストリームを担ってる自覚もあるのか、それほどとんでもないシュートはしかけない。
ただ、そういう「場所」を設置して「今回はガチね」と言われれば「ハイ了解」とばかり1ミリもビビらず、隠してたナイフを見せる。
そこは師匠を反面教師にしているわけだ(笑)
久米田康治
この人は妥協なきシュートすぎたため、ダラ幹に疎まれて団体を追放されたからな(笑)
この2ページだけで、何人に仕掛けてるんだ。アイムリアルワン。
しかし、ガチが歓迎されるような場に行けば、それがウケる。
福満しげゆき
前も書いたけど、この人の作品は読んでる側が「頼むから、これは編集側と裏で合意してる『ブック』が有ってくれ!」と思うよ(笑)
木多康昭
こいつぐらいになると、もうシュートで暗黙の了解破ったとかじゃなく、反則負けで業界追放のヒンズー・ハリケーン状態だ(笑)
しかしだ、そういうレジェンド、強豪を抑えて、いま現在、一番のシュート野郎は誰か・・・・・・俺は、こいつだと思う。
フォビドゥン澁川
これ、このコマからずっと前後すると、漫画アプリと広告についてかなりシャレにならんことを言ってて、その後「それはヤングジャンプ編集部の公式見解と思っていいの?」なんて業界の忖度やタブー自体をネタにしてたりね。
以前、漫画アプリや海賊版サイトを同様にネタにしたこともあって…、世に、シュートの血脈は十分受け継がれているのだなあと感じました。
【創作系譜論】
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