声に出して読みたい日本語。
「都ニ王ト云人在シテ、許多ノ所領ヲフサゲ、内裏・院御所ト云所ノ有テ、馬ヨリ下ルムツカシサヨ、若王ナクテ叶フマジキ道理アラバ、木ヲ以テ作ルカ金ヲ以テ鋳カシテ、生キタル院・国王ヲバ何方ヘモ流シ捨奉ラバヤ」
※『太平記』巻第二十六「妙吉侍者事付秦始皇帝事」より
【意訳】もし天皇陛下がいなければ困ると言うなら、木で彫るなり金属を鋳るなりして造ればよかろう。生きた人間の皇族なんて、どこへでも流刑に処してしまえ……
rekishiya.com
大河ドラマでも
こちらも参照
「不敬人名語録」―皇室や皇族を巡る、語られざる発言集
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いや、専門家はこう言うてるけど
だから高師直が「天皇なんか木か金の像にして安置すればいい」発言は、政敵が彼を貶めるために捏造した讒言なんですよ。少なくとも、確実な史実ではない。この一事からもわかるように、“通説”を改めるのは本当に大変です。
— 亀田 俊和 (@kamedatoshitaka) May 5, 2019
実際の発言であったほうが
面白いので、見なかったことにして続ける(笑)
とにかく、やはり時代は昭和から令和に移り、いろいろ変わっている。昭和でこの作品がジャンプに掲載されたら、千代田区一ツ橋界隈はスピーカーから音割れした軍歌が鳴り響き、集英社は「機関紙」の年間契約を多数結ばされたかもしれない。
しかし、南北朝動乱記にこういう政治思想が本当に開陳されたのなら、
それは1215年のマグナ=カルタには遅れるものの
www.y-history.net
1666年の名誉革命、その後に英国で結果的に確立した「王は君臨すれども統治せず」より早いんでないかい?
ま、そっちの流れよりむしろ…「最上位者を、意思を持たないし自分の意見を持たない、架空の存在に仮託することができる。そのメリットを享受する」という点では、以前紹介した「奴隷解放の手段として『神が奴隷を買い取る』」という仕組みを思い出す。
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しかし、そんな不敬だ謀反だという話も今はむかし…と思いきや、もっと不敬な発言を元国立大学教員、いまは私立大教授がしてるんだからあかん。高師直も足利尊氏も平将門も幸徳秋水も、はだしで逃げ出す不敬の逆臣。
Takehiro OHYA @takehiroohya
①以下、もう少し詳しく書きます。
現行の皇室典範は、皇族が減るルールを抱えている(降嫁)一方で、増やすルールをまったく持っていません(養子禁止、皇族復帰禁止)。皇位継承権のある皇族は、男性皇族からの男子の出生によってしか増えないので、確率的には非常に厳しい状態になります。 twitter.com/takehiroohya/s…
2019-05-01 17:09:17
Takehiro OHYA @takehiroohya
②そこでどうするかですが、前提としては、
天皇の存在と摂政の可能性……憲法事項
皇族の定義・皇位の継承順位・増減のルール・摂政に関する規定……法律事項(皇室典範)
という違いがあることを踏まえる必要があります。後者は通常の法改正で対応できるので、可能ならここで何とかしたいところ。
2019-05-01 17:11:50
Takehiro OHYA @takehiroohya
③たとえば、現在は皇室典範で定めているルールのいくつか(具体的には降嫁による皇族離脱・皇族復帰の禁止)を緩めれば、もちろんそれに国民の合意が得られるかは別問題ですが、皇位が存続する可能性を高めることができます。
2019-05-01 17:14:14
Takehiro OHYA @takehiroohya
④ただ、女系継承を認めたとして結婚して「皇族入り」することを覚悟する一般男性がどれだけいるか、旧宮家の皇族復帰を考えたとしてもその数が限られていることなどを考えると、どちらも十分な解決になるとは断言できないところではあります。
2019-05-01 17:16:38
Takehiro OHYA @takehiroohya
⑤そのような対策が取られなかったか、取られたが確率的にうまく行かなかった場合、天皇が崩御した時点で皇位継承の可能な皇族が存在しないという事態が発生する可能性があります。皇室典範は崩御によりただちに皇嗣が即位すべきことを規定していますが、その不在に関する規定はないのですね。
2019-05-01 17:20:25
Takehiro OHYA @takehiroohya
⑥その際、現行の皇室典範でも摂政が「天皇が、精神若しくは身体の重患又は重大な事故により、国事に関する行為をみずからすることができないとき」(16条2項)に置かれるとされている点に解釈の余地が生じます。
2019-05-01 17:23:39
Takehiro OHYA @takehiroohya
⑦当然ながらこれは現に生きている天皇がいて問題状況に陥ったことを想定している条文ですが、「天皇がいなくなった」ことによっても「国事行為を自らすることができない」ことには違いなく、この条文が使えるという解釈は、とりあえず可能です。
Takehiro OHYA @takehiroohya
⑧現行の継承ルールだと、女性皇族は天皇にはなれませんが摂政にはなれるので、これだけでもしばらく制度の寿命を延ばすことができます。ただ、皇族を増やすルールを導入しない限りあくまで時間稼ぎであり、女系しかいなくなった時点でタイムリミットが見えることにはなるでしょう。
2019-05-01 17:28:08
Takehiro OHYA @takehiroohya
⑨これに対し、摂政の定義は法律事項なので、皇室典範を改正してたとえば民選摂政を認めれば、《不在の天皇を民選摂政が代行し続ける体制》が安定的に実現します。螺旋人先生が言及した通り、ハンガリー王国(1920-46)ですね。
2019-05-01 17:30:31
Takehiro OHYA @takehiroohya
⑩もちろんこれを「日本国憲法体制の範囲内」と考えるかどうかは、大きな争点です。皇族増加ルールの追加・摂政概念の読み替えといった対策が気に入らない場合、どこかの時点で制度が維持不能になるので、体制全体を転換する(憲法改正に踏み切る)必要が出てきます。
2019-05-01 17:32:22
Takehiro OHYA @takehiroohya
⑪ただその場合、天皇に直接関係する憲法1~8条を廃止すればいいというものではなく、大規模な改修が必要になります。現行憲法は天皇がいることを前提として三権の長を対等にしているのですが、その前提が狂うと誰が国家代表なのか(対外的な元首なのか)といいた問題が生じるからです。
2019-05-01 17:35:48
Takehiro OHYA @takehiroohya
⑫もちろんこれはアメリカ的な強く議会から独立した大統領制、議会に基礎を置く首相と権限を分割するフランスの半大統領制、ドイツの象徴的大統領制などいろいろな方法で解決できます。ただ、それを決めて制度設計するには相当の時間と苦労が必要だというだけのこと。
2019-05-01 17:38:02
Takehiro OHYA @takehiroohya
⑬通常の法的道具で可能な対処法をリストアップするとこのようになり、それぞれに長所短所が考えられます。そのうちどこまでを現行憲法体制の枠内と考えるか、どれを採用するかは、最終的には主権者たる国民の選択により決められるべきだと私自身は考えます。(終)
2019-05-01 17:40:06
umedam @umedam
まさしく「ミカド還りますまで」首相(ないし別の人物)が摂政としてその職務を代行する日が来るんですかね(まあ元ネタだと当初は王が「行方不明」になってるだけだからな)
2019-05-01 17:42:20
Takehiro OHYA @takehiroohya
もちろん「崩御されたのではなくいまも皇居の奥の院で国民の幸福を祈り続けておられる」「神によりその存在を隠された」など我々にはこのような事態に対処するためのさまざまな知的遺産が(爆発音、以下聴取不能) twitter.com/umedam/status/…
2019-05-01 17:52:47
Takehiro OHYA @takehiroohya
真面目に言うと摂政が首相を任命しないといけないので同一人物ではない方がいいです。国民代表としてしかるべき人物を議会が推戴するとでもすれば、まあドイツと似たようなものになりますわな。 twitter.com/umedam/status/…
これに関連して「聖なるイシュトバーンの王冠ですね」みたいな合いの手が入ったりしてるんだが、正直これを読んでも複雑怪奇にすぎる。
…第一次世界大戦後のハンガリーにおいて、カール1世はハンガリー王位を取り戻そうとして失敗し(カール1世の復帰運動)、ハンガリー王は空位となった。それから1946年に共和政体が敷かれるまで、ハンガリーは王がいない王国を続けた。
そうなると、聖母マリアが名目上のハンガリー王として考えられるが、摂政のホルティ・ミクローシュがプロテスタントであったため叶わず、Szent Korona Állameszmény がその替わりとなった。これは、聖冠をハンガリーの法的代表として、聖冠が単独で君主や国家の根幹としての権力を担うという考え方である[3]。この考えに基づくハンガリーの公法では、聖冠は国の主権を表現し、正統な君主と特権諸身分との間の有機的統一を確立し、ハンガリーのすべての法源を構成するものとされた。これは「聖なる王冠の理論(ハンガリー語: Szent Korona-tan)」と呼ばれる…
ja.wikipedia.org
ともあれ「金属の像に、天皇の役割を果たしてもらえばいい」という中世の武将の暴言?は、令和において憲法典で、天皇の血統が自然的な意味合いで困難に直面した時の「手当て」をどうするか、という問題に直結…というか迂回して繋がっている、ということでしょうか。
そうでないでしょうか。