【周庭氏を逮捕 国安法違反容疑】https://t.co/BDtgWfiNw1
— Yahoo!ニュース (@YahooNewsTopics) August 10, 2020
香港メディアによると、香港警察は10日、著名な民主活動家、周庭氏を香港国家安全維持法(国安法)違反容疑で逮捕した。2014年の「雨傘運動」を主導し、「民主の女神」とも呼ばれた。
その結果、当ブログのこれにアクセスが再度集まった。みな、そういう連想をするのか…
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なら、その問題にもっと具体的に迫った、
この別の記事(小説)を「再放送」せざるを得ないか…
※この物語はあくまでフィクションであり、現実の事件・団体・個人などとは無関係であることを、とくにお断わりしておきます
【小説】盛大な、レセプションだった。
それもそうであろう、既に製作されることは報じられていたが、キャスティングや監督などが次々と決定、いよいよクランクインするという記者会見なのだから。
日本の作家が書いた原作は、発表から間もなく四十年になろうとしているが、アニメ化、漫画化、ゲーム化、パチスロ化(笑)、そのリメイク…が幾度となく繰り返され、古典として評価されつつも、現役作品としての人気が今でも衰えない。
魅力的なキャラクターや、古今の歴史的人物、戦史、政治史などをモデルにした重層的な逸話、厳密な科学的考証、そして何より、「民主主義」の在り方を深く考察したそのテーマなどが愛されていた。今でも選挙のたびに「この作品を参考に、政治を考えよう!」といった声がSNSには散見されるのだ。
そしてその人気は、海を越えて海外にも伝わった。とくにアジアでは熱狂的なファンが拡大、中国ではSF全体の「お手本」として遇されている。
経済的に発展し、映画・エンターテインメント産業も10億人の消費者を基盤に爆発的に拡大した中国の会社が、「うちなら、あの壮大なSF叙事詩を映像化できます!」と手を挙げたのは、しごく当然のことだった。
レセプションでは、その原作者も、出席していた。
新作ペースが遅いことを特に周囲からも揶揄され、自らも自虐ジョークとして語ることも多い原作者だが、今なお旧作がこれだけの人気である以上、生活に追われることもなく自分なりのペースで書ける、そんな地位を築いていたのである。
そんな彼も、自らの出世作にして最大傑作が、超巨大な一大事業として映画化されることは、感慨深く、興奮を隠せないことだった。
彼は、中国が紙の発明から漢字の創造、そしてそこから思想、文学でいかに大きな遺産を残してくれたかを熱く語り、そこから生まれた自分のささやかな作品が、その中国で愛され、かくも巨大な大作として映画になることに謝辞を述べた。その言葉に中国の映画会社サイドも、大変満足げな表情を見せた。
その後、質疑応答の時間となった。
プロデューサーがこの作品を映画化したいと考えた理由、主役俳優の抱負、原作者が小説を書こうと思ったきっかけ…質疑応答も、大変和やかなものだった。最後の記者までは。その女性記者は、何かを決意したような目で、渡されたマイクを握り、流ちょうな日本語で口を開いた。
「原作者の先生に質問します。私は香港の新聞記者…いや、新聞記者でした。今はフリージャーナリストです。わたしはただ、原作者の先生にひとつ質問を聞いていただきたくて参ったのです」
中国のプロデューサーは、その言葉に、一瞬で顔色が変わった。
だが、原作者は、それに気づかない。にこやかに応答した。
「ほう、それはどんな質問でしょう、私が答えられるような質問だといいのだが・・・」「香港の2019年の民主化運動を、あなたは支持されますか?どういうお考えをお持ちですか? 今度中国本土の大資本が映画化するこの作品は、単なるエンターテインメントではなく、そこで民主主義の理想や現実が深く語られている、と皆が知っています。」
「お嬢さん…」
「そして、先生の他の作品では、フィクションではありつつも、モデルが容易に分かるような表現や記述、そして小説世界の記述なのか現実世界の時事評論なのか意図的に混同させた文章で、ご自身の時事問題への見解を熱く語られているということも知っています。ならば、中国で先生が”民主主義”をテーマにした原作をもとに映画が作られる、というこのタイミングで、まさに先生の香港事態への評価、中国共産党への評価、そして習近平への評価を、今語ってもらうことは世界的な意義のあることだと思います。どうか、ぜひひとことお願いします…」
この続きは、どうなるか分からない。
あっぱれ感動的な、民主主義のお手本になるような歴史的スピーチがなされるかもしれない。その結果、この大作は制作中止になるかもしれない。
「そういう政治的な話は、ここでは……」とさらりとかわされるかもしれない。
映画プロデューサーが「このお嬢さんは取り乱しておられる。別室へお連れしろ。質疑応答は終わった。国歌を!中国国歌(義勇軍行進曲)の吹奏だ!」となるかもしれない。
いえいえもちろん、政治と商売は分離する、あるいは作品(芸術)は、政治そのものとは関係ない、と考えるべきかもしれない。
あと、こう言える機会があるとしたら、それも一興ではないか
「なるほど、あなたは良心的でいられる範囲では良心的な原作者らしい」(シェーンコップがリベロを評した時の言葉のもじり)
てか、制作情報の続報があまり伝わってないんだけど、既に頓挫とかしてないよね??
映画って、制作発表のあと・・・・・・・・・残念だったね、ってことも多いからねえ…
- 作者:田中 芳樹
- 発売日: 2011/02/15
- メディア: 文庫