上の「海」「武力衝突」というテーマと、そして自分で書いた「SF」という文字で自動的に連想機能が働いた(笑)
下の引用、検索しても見つからないので、ネット上の資料として書いておこうかなと。
この前、自分の本棚に古典SFがどれぐらいあるか、まあ虫干し的に整理しておりましたらね、筒井康隆の処女長編
- 作者: 筒井康隆
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1976/12/25
- メディア: 文庫
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これはもう内容を紹介するまでもないけど、ジョージ・オーウェル「1984年」をさらに一段すすめて、さらに皮肉なパロディ化をした作品。
つまり、日本の国中に監視カメラが取り付けられ、プライバシーも何も筒ぬけな社会ではあるのだが、それに皆が順応し、テレビを意識して24時間演技し、ステロタイプな物語をつむいでいる・・・という話。
この作品の衝撃のおかげで?日本SFには「擬似イベントもの」というジャンルが定着。わたしの最近いう「情報・物語の自己肥大・暴走もの」というのはその定義をちょっと修整したものにすぎなかったする。
・・・ま、それは余談ですわ。
で、くだくだしい途中の話は省くけど、そういうメディアと一般市民が共同で自己演出した擬似イベント、その最大級の企画として、韓国(当時はいわゆる「李ライン」が問題だった)との海上での小競り合いをテレビ中継しよう!日本からは憲法上、軍隊はまずいから、名目は漁船の武装船を送り込もう!ということになった。文鮮明、いや作戦名(小ネタ)は「K作戦」。
海戦のKであり、韓国のKだともいう
テレビ局主導で選抜した、戦隊ものや傭兵部隊ものよろしく体形や個性、前歴までわざとらしい個性が集まったチームが乗り込んでいくのだが・・・
そのとき筒井康隆が”作詞”した擬似軍歌がけっこう笑える。
もともと軍歌や革命歌のスタイルは一定の型があるからパロディやパスティッシュをつくりたいのかもしれないな。
以下「K作戦マーチ」。
「K作戦マーチ」
1:
平和の理念 踏みにじる
不法不当の 境界線
李ライン越えて われら行く
今ぞ正義を 守るとき
(※コーラス)
トラ・ララ・ト・ララ トラ・ララ・ト・ララ
漁船火を吐く ああK作戦
2:
公海自由の 原則を
無視するやから 何ものぞ
手当たり次第の 銃撃に
怒れる我ら 今ぞ立つ
(※コーラス)
トラ・ララ・ト・ララ トラ・ララ・ト・ララ
漁船火を吐く ああK作戦
3:
済州島の 沖合に
我が同胞の 苦難あり
漁業協定 何のその
我ら自衛の 義勇軍
(※コーラス)
トラ・ララ・ト・ララ トラ・ララ・ト・ララ
漁船火を吐く ああK作戦
だからどうって話じゃなくて、詩が面白いんで紹介した。
というか、単純な面白さというよりは、批評性のあるパロディとしての完成度が高い。
公海自由の原則をうんぬんつったら、中国側がこれ歌うというシチュエーションのほうがぴったりくるかもしれんしね。
しかし、途中の紹介文の文章が無意識の自動筆記で長くなるな。かつて植えつけられた旧SFマインドはおそろしい、我ながら(笑)。