大晦日。「5kgの壁」が軽量級日本人対決を阻む - INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

大晦日。「5kgの壁」が軽量級日本人対決を阻む

というところで、発売日周辺では書けなかったGONKAKU関連の話を。
今回、注目選手である高谷裕之(p134-137)、山本KID徳郁らのインタビューが載っているのだが、これが興味深い。

GONKAKU (ゴンカク) 2008年 01月号 [雑誌]

GONKAKU (ゴンカク) 2008年 01月号 [雑誌]

高谷裕之(序章・高谷Inチーム黒船)

高谷はマロンこと山田武士トレーナーに試合前の練習でさんざんしごかれ、「最初は『打倒カルバーニョ』だったが、途中から『打倒山田』になった」んだという(笑)。で、まさに山田は高谷に(マジもんの)ジャブ連打を放ち散々苦しめてきたが、そのジャブに合わせた右のクロスカウンターで見事山田をノックアウト。首がふっとんだんじゃないかと山田が思ったほどだという。
この技が、そのまま代々木で再現された(笑)。

ちなみに途中、高谷が流血したとき、ラウンドを終えコーナーに戻ってきた高谷に対してこの日本最高のトレーナーさんが言ったアドバイス
「もっと興奮してアドレナリンを出して血を止めろ!」(笑)
アドレナリンにはたしかに止血作用はありますが。
山田本人も「冷やした手で圧迫して血管を収縮させる(この前の「はじめの一歩」であったね)べきなのに、何もやってなかった。トレーナーとしてはミスだ」と反省している。

だが、俺はセコンドも一緒になって興奮し、煽ってくれるのが一番いいらしく「最高の言葉、アドバイスだった」と回想する。
結局トレーナーと選手って、まずは相性なんだろうな。

さてようやく本題です

その高谷選手、日程的(この前の試合は11月8日)に大晦日に出るのは無茶だしそれはいいんだが、今後の希望について話している。

せっかく65kgに落としたんだから、その階級で行きたい。
65kgで世界中で一番がWECだから魅力がある。チャンピオンがユライヤ・フェイバーだからやっぱりフェイバーかな。

その一方で

KID君とやれるんだったら、どこのリングでもやります。今は65kgより下かもしれないけど、その近辺で日本人で興味があるのはKID君ぐらい。


だが、山本KID徳郁のほうは同じ号で、今回体重についてもっとくわしく語っている。(32P)

(要約)俺はもともと57kg、58kgの選手だったから。
油断すると体重が落ちちゃうという状況はもういやだからナチュラルに行きたい
俺も立ち位置的には実績を残したし、70kgのベルトも取った。そろそろ60kgでナチュラルで戦いたい。俺のベスト体重だから。
今まではそういう舞台しかなかったから70kgの選手とやってきたが本来は10kg違う。
70や65でやってたら選手生命も短くなる。


前も書いたけど、これは純粋な理屈としては正論です。それにKIDの側からは「2005年は同じトーナメントに出てたじゃん。そこで勝ち進めば対戦していたのに、負けた貴方が悪い」という議論もできる。
ただ、これで上にあげた両名、この軽量日本人屈指の好カードの機会が少し減りそうなのは残念ではある。
HERO'Sの新階級がまだ65kgなのか63kgなのか、はたまた60kgなのかも分からないし、高谷選手がその階級に落すのは「ちょっときつい」のか「ぜったい無理」なのか分かりませんし、可能性自体はまだあるんでしょうが。


「神の子供と 
     悪魔の拳
 分かれていくや
      右 左」

と、思わず都都逸風になってしまいましたが。ストトンストトン。

所英男

そんな高谷だが「興味あるのはKIDだけ」とはちょっと違うが、格通では「所君をぶっとばしたら楽しいだろうなあ」みたいなことを言ってましたね。高谷裕之所英男と戦いたがっている、みたいな話はどこかで噂に聞いていたが、まあこれも楽しみですね。高谷はタックル切りはお手の物、超一流だが、今成スタイルとでもいうべき、足に絡むトリッキーな寝技への引き込みには対処可能か。所がすぐに倒され、その対処が分からないキックボクサーはともかく、そこの二つにそれなりの耐性があるストライカーには苦手との説(俺が言ってるんだけどね)はどうなのか。

それはともかく、その格通の話で、山田トレーナーのほうが言っていたのかな。
「本質的にライオンな男と、シマウマな男がいる。所選手は、シマウマなところが人気なんだろうけど、高谷は100%のライオン。そりゃ食いたくなるよな」(大意)

いや、ちょっと笑った。まあ、なんか絵的にはたしかにリング上でもカツアゲ風景のように見えるかもしれない(笑)
ただ高谷選手はブログでも分かるけどランペイジ的な言葉のインテリジェンスを持っていて「でもシマウマも、強烈な後ろ足のけりを持っている」とフォローしてる。

ただ、最近の雑誌見てたらその所選手のほうが「70kgリミットに近い体を作りたい」「ミノワマンさんのように、体重差をいとわない戦いをしたいので、当たり負けしないように体を大きくしたい」とかいってて、ありゃりゃ今度もまたすれ違っちゃうよこれじゃ、と思ったのでした。

ただ所選手、この前のZSTで稲津航に秒殺だそうで。
ほんとに見た目の損、なんでしょうか所選手は個人的に、こういう無名の若手と対峙しているときに、イメージ的に「圧倒している」という感じがないんだが、やっぱり圧倒的な差ってものもあるんでしょうね。佐東とのUルールの試合もそうだったし。

では軽いほうのランバー・ソムデートは?

GONAKAKUには植松直哉とランバーの対談が載っていたが、このプロフィルによるとランバーは55kg。
あちゃー、KIDが60kgで闘うにしても5kg差だよ。
代々木の戦いを見れば、ランバーはそれをものともしないかもしれないし、あの時のエントリでもそう書いたかもしれないけど、でも5kgの差は軽量級では重大だ、という話なんだからね、このエントリは(笑)。やっぱり難しいかなあ、と数字をみてあらためて思った次第です。


つーかだいたいこいつら、そろって11月に試合やった連中だ。本来的には大晦日にオファーするほうが変。(所はほぼノーダメージで出場熱望だそうですが)


宮田和之宮田和幸

「ひそかに宮田和之宮田和幸が、70kgの日本人最強に近づいている説」というのも、ごく一部ではささやかれている(俺周辺限定)。実はPRIDE系日本人と宮田の試合が見たい気がするんですよ。

「他団体に貸し出すのは、知名度人気がいまいちだが実力があって困る選手」という鉄則がありまして(笑)、この伝でいけば谷川さんは秋山と一緒に「宮田を貸しますよ〜。川尻君との戦いが見たいなあ」とか煽ってみればいいのに、と思いました。