昨日(11/15)、メモで「今年のヌーボーはよいヌーボー」と書いた。
産経新聞11/15によると「今年は『ブドウにとって理想的な天候で、豊かな果実味とバランスのよさが特徴。一昨年(註:2003年のアール・ヌーボーは百年に一度の出来と言われ、売り切れが続出した)』にまさるとも劣らない出来」なんだそうだ。(続き)
さて、ワインというのは熟成されて美味しくなっていくわけで、若い酒は荒くて飲みづらい(渋いタンニンなどが時間をかけて酒石酸などの囲まれた固まりとなっていくという)。
でも何故、ボージョレ・ヌーボー(ヌーボーとは芸術の「アール・ヌーボー」と同様、「新しい」との意味。「これからは、アール・デコとおよび下さい」←脱線)は若くして飲めるのだろうか?
この前の日曜日に放送された「所さんの目がテン!」にて、その答えが出ていた。
タンクに初めから炭酸ガス(二酸化炭素)を入れることで、ブドウの中の酵素が、リンゴ酸などを分解していくのだそうだ。
探してみると、一番同じ内容のまとまっているのはここ
http://www.winespiral.com/recommend/nouveau99.html
・・・この秘密はヌーボーの醸造方法にあります。
ヌーボーは「マセラシオン・カルボニック」という独特の方法で作られます。マセラシオン・カルボニックとは大きな醸造用のタンクに原料の葡萄を上からどんどん投入してそのまま醸造する方法です。普通は葡萄を破砕してジュースと皮にしたものをタンクに入れますがヌーボーの場合は始めから葡萄を投入してしまいます・・
酒についてウンチクをたれるには、美味しんぼもそれなりに使えるのだろうが、なんといっても「レモンハート」だろう。
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わたしゃスノッブにワインやスコッチの高級品を論評する気は無いし、そもそも分からん(笑)。それ以前の、うまいカクテルとか変わった飲み方とか、そういう初歩的レベルの飲み方に参考になるのであります。
しかし、もう一歩すすめて、あのブドウやお米や麦が、百薬の長たる「おさけ」というものになる不思議。その不思議を知るには菌と発酵というものを知らねばいけません。
そこで、最近地味にじわりと人気が出てきた作品が「イブニング」連載中の石川雅之「もやしもん」であるのです。
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ひとつ瑣末な知識をいうと「腐敗」と「発酵」には科学的・化学的な意味の差はありません。人間の役に立つのが発酵で、役に立たないのが腐敗という人為的な境界しかないのです。だから汚職議員も「政治腐敗ではない、政治発酵だ」といえばいいのに(笑)。
(以下、続く。午後にでも、後半をかもすぞ)
【参考リンク】
http://mandanatsusin.cocolog-nifty.com/blog/2005/06/
(後半の覚書)週刊石川雅之、納豆、世界の発酵食、農学部、密造酒
さて後半戦に突入。
間に挟んだリンク先にはかくある。
・・・彼ら、あるいは彼らの教師たちも浮世離れしており、ある種この世の楽園を形成しています。ハチクロ、のだめ、もやしもんは、すべてハムテルとチョビの子供たちであります。
「動物のお医者さん」は俺も含め、少女漫画という枠では収まりきれないほどの広範な読者層を獲得したエポックメイキングな作品だが、ひとつの魅力は、一種の秘境もの・・・普通は見聞しない特殊な社会、業界の風習や光景を知ることが出来るという知的好奇心を満たしてくれるところだった。けっこう、この潮流は大人向け雑誌の作品に反映されたし、「ナニワ金融道」だってひょっとしたら親戚筋といえるかもしれない。ま、ちょっと遠縁だが(笑)。
「もやしもん」は、それに比べると嫡流ですね。
理系の大学というのは、どこの部門であっても、一般人にはうかがい知れない設備や研究内容がある。某大学の、もやしもんと同じ学部では、ソフトボール大会で「打球はヒツジに当たったらアウト」というルールがあったり、6月4日に研究で殺した虫の冥福を祈る盛大な「虫供養」があるという(笑)。
そして、
・・・彼ら、あるいは彼らの教師たちも浮世離れしており、ある種この世の楽園を形成しています・・・
ここ重要。
「理系=浮世離れ」というのは日本人がサムライもしくはニンジャであるというぐらいのステロタイプで、しかもいま特殊法人やら何やらの激動にあるなか、そういう状況では全然やってられない(ヘタしたら、スポンサーをどっかから見つけてくる、プロレス団体経営者なみの才能まで要求される)のだが、それでも「科学の道を追求するものは、浮世離れした存在であってほしい」という幻想があるんでしょうな。
いきなり、エスキモー流の、獣を土に埋めた発酵食品を掘り返す教授も、アフリカグッズに身を固めた教授もそのイコンなわけである。他の研究者も、周りにギャラリーがいると「悪役らしくしなければ!」といきなり通行人に殴りかかったタイガー・ジェット・シンよろしくそういう演出をしてほしい。
たとえばこのポール・エルディシュのように。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20040907#p1
そういえば、「動物のお医者さん」作者の佐々木倫子は、その後能力を見込まれて少女漫画誌からビッグコミックスピリッツに進出、原作つきの「ナースのお仕事」はテーマのためにかややシリアスよりになったものの、「HEAVEN?」では再び佐々木節とでもいう、クールで浮世離れしたキャラクターの活躍となった。あまつさえ推理漫画まで(笑)。
つまり「動物のお医者さん」は、佐々木氏の特質、本質ももともと存在していて、それが作品とぴったり合ったんでしょうね。大ヒット作品とはえてしてそういうものだ。
「もやしもん」も嫡男らしく、つかみどころのない奇人教授のほかに、主人公+あんまり役に立ちそうもない、主人公とつるむサブ主人公(なんて言い草だ)がいる。んで、美人の先輩がいらっしゃる。このへんにリアリティがあるか無いかは現場の声を待つ(笑)。
その女性キャラは「動物の〜」が、作品中第一の浮世離れ体質で、「もやしもん」はそうではないのは、この人にちょっとツッコミ役を割り振ってるからなんだろうか。
そして主人公は、ひとつだけ特殊能力がある。
それは、菌が可視化され、擬人化されて見えるという能力だ。
動物〜でも新種の菌を偶然発見すれば、巨額の利権?が転がり込んでくるという話があったようだが、たしかにこういう能力は研究者には欲しいし、そこからいくらでも話を展開できる面白いアイデアだ。作品内では、この能力を利用することで特定人物の行動をトレースするなんてことも可能になっている(人間には菌が付着しているからね)。
その擬人化された菌というのが、スナネズミのように単純で無目的で、ときおり意味不明という感じであるのが、実に菌らしくてよろしい。
そう、あの繁殖力や特殊なる能力、ある意味激烈な生存競争を闘うそのさまは、学研漫画ひみつシリーズ「からだのひみつ」でやったような、完全にキャラクター化させて縦横に喋ったり、ケンカしたりさせるよりナンボかリアリティがあるのだ。
【補足】と思ったら、最新号の作品では
菌たちが雄弁に、堂々たる文明論を展開
しており、梯子を外された(笑)
・・・ひょっとしたら、作者はキャラクター・ビジネスの展開を狙っているのかもしれないが(笑)。
この作者は、この連載の直前、偶然名前を知った。
なんで名前を知ってるかというとブックオフにて「週刊 石川雅之」という単行本を発見したからだ。
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「うーん、おれは知らない名前だけど、署名に作者の名をドーンとうたっているということは相当な有名作家なんだろう」と思ったが、けっこう単なる中堅なので別の意味で驚いた(笑)。
しかし内容が、ヒトコトでいうと「星新一・筒井康隆イズムあふれる作品」で大いに気に入りました。実際、偶然だろうが星新一がエッセイで書いたネタにすごくコンセプトが似ている!ってものもあったし。
なので、なるほど実力はホンモノだ、ストロングスタイルだ。天の利、人の利を得れば伏龍はいずれ目をさまさん−−−−と思ったら、多少ブームのきざしが今回出たわけです
(いや、もやしもんが漫画としていいセールスをしているのかは知らん)。
「週刊石川雅之」は、これはアリガチだろうと別の奇抜な話を押す人も多いだろうが、私は三丁目の夕日のごとき「フランスの国鳥」を一番だと思います。
石川氏はもうひとつ、龍馬暗殺を表題にした短編を書いている。
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あ、発酵や酒づくりそのものに関しては、こりゃ原稿をあらためないとだめでんな。
そっちはまた後日、分離してエントリにするとしよう。