建築関連職種ガイド | 建築系学生・建築好きにおすすめ『建築を次の世代に伝えるための情報サイト』LUCHTA(ルフタ)

自然と芸術・建物との橋渡しをする【ランドスケープ・アーキテクト】

ランドスケープ・アーキテクトは、一般には公園や広場、街路、またリゾートやテーマパーク、公共施設や商業施設、ビルまわりのスペースなど、建物以外の様々な外部の空間をデザインし監修する人を指す。生物の多様性を具体化する植生の保全や、自然環境の復元などの調査や計画、設計なども行なう。 ある施設が建てられる時、建物の周囲に広場や緑地をつくり、壁面緑化や屋上緑化を行なうことがある。ランドスケープ・アーキテクトは建築家と協働しながら、まず敷地の持つ自然の資質を見極めた上で、建物の位置が適切かどうかを確かめる。その上で、建物へのアプローチのとり方と共に植物や水や土などの配置、舗装の仕方や材料はどのようにするかを検討する。特に植物は生き物であるだけに、根付かせて自立させるためには生態や植物の生理についての深い知識と経験が求められる。そして、無数にある品種の中から、建物のコンセプトや地域性に合わせた植物を、科学・芸術・コスト面に見合うように組み合わせて選定。建築家や施工者とは綿密に意見交換する必要があり、その際には植栽の種類や大きさ、配色などのイラストやデータを描き込んだ平面図や断面図を活用する。

歴史的建造物の価値を見極め修復・保存して次代に引き継ぐ【歴史的建造物...

歴史ある建造物には、新しいものにはない味わいや魅力がある。専門的な視点からその建物の価値を的確に見極め、傷んだ部位に手を入れて活用の方法を提案するのが、歴史的建造物の保存と修復に関わる者の役割だ。現存建物の修復・保存だけでなく、古代住居や遺跡の保存整備、石垣の修理、付随する伝統的な施設の設計、史実に照らし合わせ忠実に復元する整備、集落や景観保存計画などの仕事もある。歴史的建造物といえば思い浮かぶのが、「文化財」だ。これは保存や活用の措置が特に必要とされる重要な建造物で、国や地方自治体が指定または登録している。文化財だけでもその内容は多岐にわたる。

ニーズに応じて建物内の音をコントロールする【建築音響設計者】

音のコントロールが求められる建物は意外と多い。コンサートホールやライブハウス、劇場はもちろん、会議場、スポーツ施設、学校、ホテル、住宅でのホームシアターや楽器室、等々。音響設計者の使命は、建築空間の目的に沿った音環境を整えることである。室内では、部屋の大きさや形によって人への音の伝わり方が変わる。また、仕上げ材や扉・窓などの部位も、遮音や吸音、反射、拡散など音の特性に影響する。そしてさまざまな音響機器の機種や設置場所なども重要だ。音響設計者はこれら音に関わる要素すべてを上手に調整して、必要な音の響きを得るための工夫をする。

建物を動かすエネルギーをコントロールし室内環境を整える【建築設備設計者】

空調換気や給排水、電気などの設備は、現代の建物に欠かせない。建物を人の体に例えるなら、臓器や器官、神経、血管、頭脳などに当たるのが設備。普段目を引くのは、骨格や容姿に例えられる構造や意匠だが、建物はそれだけでは成り立たない。設備は普段は目に見えないものがほとんどだが、建物内での、人々の健全で快適な活動をサポートする大切な役割を果たしている。建築設備は大きく空調・衛生・電気の3分野に分かれ、規模が大きな建物の設計ではそれぞれ専門の部署がある。「空調」には機械設備と電気設備があり、「衛生」には給排水とトイレ、「電気」には電気の引込みや分電盤、受変電設備などの計画、照明などが含まれる。空調計画を立てる上で、設備設計者が考慮する事項を少し見てみよう。うまく自然換気ができるプランはどのようなものか。換気の方式はどのようにするか。部屋の温度や湿度をコントロールする、効率とコストパフォーマンスのよい空調機器は何か。機器をどう組み合わせて配置すればよいか。機器の操作方式は何を選択するか。決定することは数々ある。

数量やコストを的確に算出し、プロジェクトの推進を強力にサポート【コス...

建物をつくるにはたくさんの部材や労力、そしてお金がかかる。建物の規模や仕様に応じて、契約時に必要な部材の数や建設コストを算出するのが、積算・見積りの主な仕事である。この金額が出ないと、プロジェクトは動かない。積算・見積りは建築の中では比較的目立たない役割だが、多くの人を支える、やりがいのある仕事だ。「積算」と「見積り」は同じような意味合いで使われることもあるが、建設業界では次のように分けられることが多い。積算は、設計図書などにもとづき、建物をつくるために必要な材料の種類や数量を「拾う」、つまりカウントして内訳書をつくること。見積りは、その内訳に対して項目ごとに「値入れ」をする、つまり適正な値段を付けて見積書をつくること。

きめ細かい対話のなかに理想のキッチンを見出す【キッチンデザイナー】

キッチンデザイナーの仕事は、住み手に大まかな要望や予算を聞くことから始まる。それらに応じて図面や写真、パースなどで案を出し、住み手に確認してもらうという打合せを4〜5回ほど繰り返す。そのつど出てくる要望を取り入れながら、予算のなかでだんだんと細かい仕様を決めていくのが一般的な手順。カウンタートップや扉、取っ手などのパーツ類、コンロやオーブンなどの調理機器、食洗機やレンジフードなどの設備機器、蛇口や浄水器等々の種類や色は、住み手とともに各機器のショールームで実物を確認しながら決めることも多い。見た目はもちろんだが、長い期間を見据え、間取りとの兼ね合いを考えて使い勝手をよくする提案は、プロとして積み上げた知識と経験にかかっている。

デザインを支え、建物の健康な骨組を考える【構造設計者】

建築の設計は、大きく分けると意匠・構造・設備という分野に分かれる。特に、建物の大きさが一定規模以上になると、それぞれの分野の専門家が協働して設計を進めていく。構造設計者の役割は、建物の安全を確保した上で、より美しく・経済的に・確実に工事ができ、耐久性のある建物をつくることである。建物の構造とは、簡単に言えば柱や梁、基礎や壁など建築物の骨組のこと。建物が完成してしまうと、構造体は外側も内側もほかの材料で隠れてしまうので見えないことも多いが、建物の骨格をなす大切な役割を担っている。ちょうど人間も、服を着ていると見えない骨組みや体つきが、ほんとうは服よりも大切であるのと同じことだ。

幅広い視野をもって市場と技術をつなぐ【商品企画マーケティング職】

マーケティングをする人=マーケッターに欠かせない業務は、市場分析。企業の活動全般や商品企画に関連のあるテーマについて、雑誌や書籍、インターネットを通じて情報収集を行なう。また、新しくオープンした建物やスポット、ショールームや展示会にも積極的に足を運び、トレンドに触れる。たとえばトイレや洗面所といった水まわり設備の業界では、最近のトレンドであるテーマに「環境」がある。具体的には「節水」「省エネ・CO2削減」など。マーケッターは時代の流れや需要に敏感で、さまざまなことに興味をもち、多くの情報を自ら吸収できる人が向いている。

頑丈な建物に仕上げる建築工事現場の指揮者【現場監督】

現場監督は、工事現場で全体の進行を管理し、建物を確実に完成させる重要な役割を担っている。建物は、設計者が描いた図面だけですんなり建設できるというわけにはいかない。各部分の寸法や納まり、仕様を細かく調整して具体的に決める必要がある。こうした詳しい図面は「施工図」と呼ばれ、この施工図をよくチェックし設計者に確認しながら、工事を進める。建物が完成するまでには、実にさまざまな職種の専門作業員が関係している。型+D12枠工事、鉄筋工事、内装工事、電気工事、配管工事、造園工事……等々。現場監督は、工事作業のすべてを把握しながら、多岐にわたる業務をこなす。特に重要なのは「段取り」。工事の進捗状況を確認しながら、作業手順に応じて専門作業員を手配し、資材や機器・重機の搬入日などをタイミングよく手配する。この段取りの善し悪しが、工事全体のスケジュールや現場の雰囲気を左右するといっても過言ではない。各専門作業員には施工図をもとに工事の指示を出す。

生活環境を多彩に演出する光の操り手【照明デザイナー】

照明デザイナーは、インテリアから建物の外観、またはアプローチなどの外構、さらには街路照明など街のあかりまで、幅広くライティングを手がけるスペシャリストだ。戸建て住宅、マンション、ホテル、レストランやショップなどの商業施設、オフィスや複合ビル、公共施設、橋や競技場などの大施設、と扱う建物の規模も幅広い。間違えやすいが、照明デザインとは、照明器具をデザインするのではなく、光そのものをデザインすること。全体の照明イメージだけでなく、それぞれの場所に必要な明るさや希望する光のイメージをもとに照明計画を立て、器具やランプの種類、配置などを検討する。特別な雰囲気を醸し出すあかり、居心地のよいあかりを必要とするところこそ、照明デザイナーの活躍の場だ。

プロジェクトの企画・推進を行なう街のプロデューサー【ディベロッパー】

ディベロッパーとは、その名のとおり、土地や建物といった不動産を「開発する」業者のこと。街の再開発や宅地造成、リゾート開発、オフィスビルの建設やマンション分譲といった開発事業を手掛ける。まず不動産を購入し、新たな価値を付加して高く売却するためにふさわしい魅力的なテーマやコンセプトを設定し、それに沿って開発事業をする。つまり、どのような建物をつくれば不動産の価値を高め、より利益を得られるかを考えるのがディベロッパーの主な仕事。街や建物は大勢の人が利用し生活するため、長い目で見た企画を立てなければならないし、事業費用も大きい。

コミュニケーションをとりながらインテリア空間全般をサポート【インテリ...

インテリアコーディネーターとは、快適で豊かな空間を実現するために適切な提案を行なうプロフェッショナルのこと。住空間を対象として活躍する人が多いが、ショップやレストランなどの商業施設、オフィスや展示場などを扱う人もいる。建築分野でも分業化が進むなか、「インテリアは専門家に」と考える建築家や住宅会社、ディベロッパー、インテリア製品メーカーは増えている。家具やカーテン、カーペットなどの選択・配置、壁紙の選択、色彩計画などには、インテリアに特化した専門知識が必要だ。インテリア関連商品についての知識を駆使し、クライアントや利用者にとって魅力的な空間を実現するのがインテリアコーディネーターの役割といえる。