スコットランド⑥ 1298年～1329年
2019年 04月 02日
1298年1月
フランスで戦っていたイングランド王エドワード1世は、
スコットランドの抵抗軍にイングランド軍が敗れたことを聞くと
急遽帰国します。
対スコットランドの指揮をとるエドワード1世は
ウィリアム・ウォレスの抵抗軍を徹底的に追い詰めていきます。
フォルカーク(Falkirk)にウォレス軍が集結しているという情報を得たイングランド軍は、
そこでスコットランド軍と戦いを交え、
ついにウォレスは撤退します。
貴族たち率いる騎兵隊の協力を得られない槍兵中心のスコットランド側と
王自らが指揮している弓矢中心のイングランド側とでは、
歴然たる兵力の差がありました。
この敗北でウォレスの名声は低下し
抵抗運動に陰りが見え始めます。
ウォレスは、大陸に渡り支援を求めますが
うまくいかなかったようです。
再びスコットランドに戻ったウォレスを
エドワード1世は執拗に追いかけ、
買収工作でウォレス側を切り崩し、
1305年、ウォレスはついに捕えられてロンドンに連行されます。
8月、ウォレスは大逆罪で、
首吊り、腹裂き、四つ裂きの刑に処され、
首はロンドン橋に、
４つ裂きにされた身体はイングランドとスコットランドで晒しものにされました。
スコットランドの主権は
いまやイングランドが握っていました。
そんな中、
大貴族キャリック伯ロバート・ブルースが、自らスコットランドの王権を狙い動き出します。
しかし、この方は
イングランド側についてウォレス軍鎮圧の手助けをしたり、
そうかと思うと、スコットランドへの愛国心を見せたりと
どうもコウモリ的な態度。
そんな彼のライバルは
前の国王ジョン・ベイリャルの甥で
ジョン・カミンという大貴族でした。
1306年、ブルースはカミンと
ダムフリーズというところにあるフランシスコ会の教会で話し合いをします。
ところがその席で、
カッとしたブルースはカミンを殺害！(とどめは部下がしたようですが…)
その年の3月、
ブルースはスクーンで勝手に戴冠し
ロバート1世となるのですが、
あくまでもスコットランドの主権はイングランド王のエドワード1世にありますから
逃亡生活を余儀なくされます。
また、
教会内で殺人を犯したために
教会からは破門されてしまいました。
彼の敵はイングランドの占領軍だけではありません。
殺害したカミンの一族からも命を狙われていました。
残された妻や娘、姉妹たちは監禁され
弟のナイジェルは処刑されました。
これは、監禁された城の一つ、バーウィック城。
絶体絶命かと思われたところに幸運が舞い込みます。
1307年、68歳になっていたエドワード1世が
スコットランド北部への遠征中に亡くなったのです。
新しいイングランド王はエドワード2世。
この方は、あまり政治に関心がなく、
スコットランドの宗主としての自覚に欠けていました。
あっというまに
多くの諸侯がブルースの支持派となり
抵抗軍は勢いを盛り返します。
イングランドの拠点となっていたスターリング城をスコットランド軍が奪還しようと包囲すると、
イングランド軍が援軍を派遣。
これがバノックバーンの戦いで
スコットランドが勝利します。
スターリング城
ロバート1世の勢いはとどまらず、
アイルランドや北イングランドにも侵攻します。
ロバート1世の弟エドワード・ブルースは
アイルランドの王になっています。
しかし、
兵力そのものはイングランド軍のほうが優勢であることを知っていたロバート1世は、
その後、大規模な戦闘をすることはありませんでした。
こうして、
独立戦争に勝利したスコットランドは
1320年、アーブローズ寺院にて
アーブローズ宣言を採択。
ローマ教皇に送ります。
これは、スコットランド独立宣言であり、
教会からの破門を解いてもらう意味もありました。
これによって王権の正当性が認められるとともに
王権が一部制限され（イングランドに従属する王を臣下が退けることができる）、
破門も解かれて、キリスト教国の一つに数えられるようになりました。
1327年になると
イングランド王エドワード2世が
妻とその愛人らによって廃位させられ、
しばらく軟禁状態になった間に
殺されました。
エドワード2世は両性愛者でした。
殺害方法は残酷なもので
焼けた鉄棒を肛門から差し込まれるというものでした。
外傷が残らないという理由のほか、
当時、同性愛の男性に課せられた処刑の方法だったとも言われています。
後を継いだのは、息子のエドワード3世です。
1329年、ロバート1世死去。
息子のデイヴィッド2世が即位します。
by lotuschar
| 2019-04-02 11:09
| 英国史スコットランド
