ゼロから始める
地方就職Q&A集監修:LO活講師 小澤明人
第3回 社会人編
第3回<社会人編>では、働きながら地方企業へ、移住をともなう転職を考えている社会人の方々からの質問を中心にお答えします。
地方企業に特化した転職活動の取り組み方や、今の働く環境から、どのように「仕事」「暮らし」が変化するか…?などなど。気になるアレコレに、できるだけ具体的に回答します。
theme 01地方移住のきっかけ
A. 豊かなセカンドライフを求めて移住されるシニア層だけではなく、今、地方での暮らしに憧れる若い方々も増えています。もちろん実家の稼業を継ぐためのUターンもあれば、Iターン・Jターンのように「都会であくせく働くことに疑問を感じ始めて」といった理由もあるでしょう。
また、結婚や出産など「人生の転機を迎えて思い切って移住しよう」と考えている方もいらっしゃると思います。
「自分が地方に求めるものは何か?」を、一度、自分の心に問いかけて洗い出してみましょう。その中で何を優先していくのか、「優先順位」をつけておくことが地方移住につながります。
A. 希望する移住エリアや仕事についての情報を集めることから始めましょう。
必要な情報はLO活サイトや様々なWebサイト、SNSから集めることができます。
併行して、“まず一歩動き出すこと”をお薦めします。各種セミナーへの参加、現地に行って移住体験する、地元の人に会う…など、動くことで知るリアルがきっとあなたの背中を押してくれるでしょう。「答えを求めて立ち止まったまま…」が、タイミングを逃すもとになることも多いからです。
theme 02地方移住を具体的に考える
A. 生活の2本柱は「暮らし」と「仕事」。最初からピンポイントで調べるより、まずは大きな視野で地域性を掴むと良いでしょう。
その地域ならではの自然や風土、そこから生まれた産業や根付いている主要な仕事などに注目してみましょう。そして、興味が湧き出したポイントを深く調べていきましょう。
A. 地方にはその土地なりの暮らし方があります。都市圏と比べれば給与水準が下がる場合もありますが、それはエリアの生活物価水準に合わせての変動です。地域によっては、住居費・食料費などが驚くほど低い場合もあります。
また、女性の就業支援や子育て環境を整備している地域もあります。各地域の助成制度については、自治体のサイトで確認できますので、調べてみてください。LO活サイトの道府県別就活支援情報の「自治体別おすすめ情報」で調べることもできます。
theme 03働く場所の探し方
A. 地方の産業はどうしても第一次産業(農林水産業)や観光業のイメージが強いかと思います。しかし、そこにはなくてはならないBtoB企業(法人向け)もたくさん存在しているのです。
目に見えるBtoC企業(個人向け)は、消費量の多い都市圏で主に“完成された商品・サービス”を提供しています。その“完成品”の多くの部分は地方にある凄腕のBtoB企業が担っているのです。培ってきた伝統や技術が今に引き継がれ、最先端の商品へと進化している例もたくさんあります。
A. ①まずはエリアの特色を見てみよう
地方企業の多くは、その土地の自然環境や立地条件に由来していることに着目してみてください。例えば主要な鉄道・港・高速道路に沿って、地場産業は広がります。
都市圏周辺には食品加工の企業が育ち、冬場に外に出られない寒い地域だからこそ、家内工業から生まれた工芸品や保存食品などが生まれます。
このようにエリアの特色を探ることで、知らなかった魅力的な仕事に出会える機会も増えていくでしょう。
②仕事の中身や価値を調べよう
具体的な求人企業探しには、下記のLO活サイトのコンテンツから様々な情報へとリンクされているのでぜひ活用してください。そして興味を持った求人を見つけてそのまま応募に動くのではなく、ひと手間かけて深掘り研究をしていきましょう。
企業研究・業界研究のポイントは「第2回 対策編のTheme7」を参考にしてみてくださいね。
転職を目指す方なら、今までの仕事の中で「活かせる経験は何か」をひも解きながら地方の仕事を見ていくと良いですね。それにはまず「その地域の課題/業界の課題/企業の課題」を調べることです。そうすることで「役に立てる経験・武器になるスキル」なども見えてくるでしょう。
◆「地域の課題/業界の課題/企業の課題」の調べ方の例
[検索方法]
[○○県(市) 産業 課題]
[○○業界 課題」
個々の企業の課題はホームページにある「社長の言葉、事業の展望」などから、今後見込まれる課題や必要なノウハウなどを想像してみましょう。その中で、自分が加わることで解決できることがあるならば、より自信をもって転職に臨むことが出来ます。
③活かせる自分を見つけよう
自分では当たり前だと思っていることが、働く場所を変えることで武器になることも多くあります。
例えば、大都市で生活をしてきた人は、大消費地に溢れる様々な情報やマーケティング活動に自然にさらされています。その環境で磨かれた顧客としての視点が、商品開発やPR戦略に活用できることはよくあります。
また、これまで就業した場所で体験していた仕組みやツールを導入したり、培った人のつながりも活かすことができるでしょう。
theme 04地方の人、地方の仕事を体験しよう
A. ①不安解消はこんな体験で
地方移住に興味はあっても、「自分に合う仕事があるか」「人間関係は大丈夫か」「自然環境は厳しくないか」など心配事は尽きないもの。ここは考え過ぎるよりも、体験して答えを探すことをお薦めします。
移住体験の情報は「PROJECT INDEX 」「ふるさとワーキングホリデー(総務省) 」などから希望地域のインターンを調べたり、観光地での“リゾートバイト体験”もその土地や人を知る良い方法になるでしょう。
また、都会で生活しながら地域プロジェクトに関わっていく「ふるさと兼業 」も新しい体験方法として注目です。
②「新しい自分」を発見できるかも?
未体験の土地に住み、初めての人と出会い、知らなかった仕事を体験する。生活環境を変える就業体験で「新しい自分」を発見することもできるかもしれません。都市圏で培われた価値観と、自分の中にずっと隠れていた価値観が融合して、生き方そのものが変化していく…そんな先輩移住者たちの体験談も是非参考にしてみてください。
theme 05もっと知りたい地方の生活
A. 子育て世代や、結婚を機に地方移住を考える人が近年増加しています。
「子供には豊かな自然環境の中で伸び伸びと育って欲しい」という願いと共に、実際の生活環境に不安を感じることもあるでしょう。
人口減の進む地方では移住希望者を喜んで受けいれていくためにも、自治体を中心に子育て環境の整備に大きな力を注いでいます。「地域全体で子育てする」という思いは、生活密着の様々な支援制度にも表れています。「子供の医療費助成/保育料支援/働く女性への支援」など、自治体ごとの詳しい支援制度は各自治体のサイトで確認してみましょう。
A. ①地方の買い物事情
比較的人口が少ない地方エリアでは、買い物事情はどうしても都市圏にはかないません。その分、地産地消の新鮮な食材が安価で手に入ることもありますが、週末のまとめ買いなどのために近郊エリアの大型スーパーなどを調べておくことも必要でしょう。
とはいえ、生活の基盤としてネットショッピングを活用している人も多い時代ですから、都市圏と地方の買い物事情の格差はそれほど大きくは感じないことでしょう。
②自動車運転免許は必需品
都市圏から地方に移住することは、「ゆったり暮らす」ことと引き換えに利用できる交通機関も限られてきます。そこで地方では自家用車が欠かせない移動手段となってきます。運転免許は事前に準備しておきたいものですね。
また、勤務先によっては「車の購入支援」「交通費としてガソリン代支給」などの福利厚生もありますので、面接時などに確認しておくと良いでしょう。混雑の少ない道路・安価な駐車場・飲酒時などの運転代行…など、車生活の利便性は地方ならではのものがあります。