そういうことは起こらない
二つの感想
今見終わったところで、最高のアニメだ!!!!勧めてきた姉が「トロプリは全員いてトロプリ」と言っていて、その意味が今、感覚的にわかった気がする。それぞれに固有の役割のあるグループとかそういう話ではなく、この中の誰か一人でも欠けていてはならないという感覚がある。これはただ彼女たちの友情によるものだ。その上で俺は二人のキャラクターについて書く。これは批評的にその二人に価値があるからではなく、単に彼女たちについて俺が思ったことがあるからだ。繰り返すが、トロプリは全員いてトロプリだ。これは信じていいことだ。
滝沢あすかについて。俺はトロプリは徹底して強者の物語だと思っていて(「足のない人が思いだけで足を生やすことができるだろうか?(いやできない)」と言っている人がいて、俺はその意見を全面的に支持する)、滝沢あすかはその中でも一番健康な肉体と、それに裏打ちされた健康な精神を持っている。まず強者に必要なのは健康な肉体なんだろう。滝沢あすかの他者に真っ直ぐぶつかっていく健康な精神には、それ以前に町の不良を軽くいなせるだけの肉亭的な強さがあると思う。俺がトロプリを通して彼女に惹かれたのには、彼女がそういう意味でトロプリの中で最も強いというところがあると思う(もちろん照れ顔がかなり萌えなこともある。結局おれはキモく、ふだん男勝りなキャラが意外とかわいい趣味を持っていることとそれを恥ずかしがっているところが好きなんだろう)。
ローラについて。最終話、人魚の一生は人間より長く、それに耐えきれなかった人魚が記憶を消す装置を作り出したことを彼女は明かす。そして結局彼女の記憶は消され、夏海まなつたち人間側の記憶も消えてしまう(ここは感動的で、見るべきシーンだ)。しかし彼女は自分なりに策を練って記憶を取り戻し、まなつたちもローラとの記憶を思い出す。そして大団円を迎えてこのアニメは終わる。もちろんこのシーンに対して否定的な意見はあるだろう。100年後、残されたローラはまだ記憶を取り戻したことを後悔していないだろうか?俺は後悔していないと思う。人生において、一瞬に起きた些細な出来事がその人の一生を支えることがある(親友と同じタイミングで笑い合えた瞬間や、用水路の淀みの美しさに気づいた瞬間だ。君にだっていいのがあるだろ)。ローラが過ごした時間や、これから過ごす時間は彼女の一生を支えるのに十分だと思う。いや!!!思うという言葉は適切ではなくて、これはただのそうであればいいなと思っているだけだ。これはたぶん、思いでなくて祈りだろう。
これを見たのはだいぶ前で、もう俺が言えることはあまり残っていない(記憶は曖昧)。俺がいうべきなのは、最終話のことだ。最終話、本編から10年後に宇宙飛行を成し遂げた星奈ひかるにフワの発する光が届くシーンでこのアニメは終わる。これは感動的だが、それより俺は描かれなかった10年間のことを考えてしまう。この10年間、星奈ひかるはどんな思いで生きてきたんだろう?夢見る季節が終わった後に、それでも夢を見ることにどれだけの勇気が要るんだろう?これは俺の想像するしかない範疇だ。