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ブラジルのパンはポン・デ・ケージョ以外になにがある?種類や特徴を紹介!

ブラジルの西部には先住民の文化が強く残りつつ、高原の広がる中東部には移民が多く、食事はさまざまな国の文化が入り混じっています。

そんなブラジルのパンは、日本でも人気のあるポン・デ・ケージョが有名ですが、実は、日常的に食べるパンとして、小型のフランスパンが人気なんですよ。

ここでは、ブラジルのパンの種類や特徴を紹介したいと思います。

目次

ブラジルのパンとは

ブラジル発祥のパンとしては、もともとポン・デ・ケージョのような無発酵パンが作られていました。

干ばつのブラジル北部では小麦の栽培は難しい状態で、国内のほとんどの小麦栽培は南部で行われていましたが、その量は決して多くはありません。

小麦の栽培に適さないブラジルでは、キャッサバ粉などを使ってパンを作っていたのです。

一方で、ブラジルではフランスパンが人気で、発酵パンも非常に多いのが特徴です。

ブラジルは年間、国内消費の半数以上にあたる1000万トン以上の小麦粉をアルゼンチンから輸入していますが、近年では干ばつに強い小麦栽培の研究が進んでおり、国内の自給率アップが期待されています。

ブラジルの食文化

ブラジルは16世紀から19世紀まで、ポルトガルの植民地でした。

そのためポルトガルの影響を強く受けており、さらにヨーロッパやアフリカ、アジアからの移民が多く、さまざまな文化が混じった多民族国家です。

食文化においても、さまざまな国の文化が混ざっています。

食事の基本は米と豆

熱帯雨林の多いブラジルでは、先住民たちは隔絶した生活をしていたため高度な文明がなく、芋の一種であるキャッサバや魚、野生動物などをおもに食べていました。

キャッサバは生のままだと毒があるため、茹でて料理のつけあわせとして食べたり、粉にして水で練ってクレープ状に焼いて食べていました。

16世紀にポルトガル人が米を持ち込んでからは、ブラジルの食事は米と豆が中心となったのです。

フェイジョンという炒めた玉ねぎと豆を煮込んだ料理は、日本でいう味噌汁のようにブラジルの食卓には欠かせない食べ物となっています。

ブラジルで小麦の栽培が始まったのも、ポルトガルの植民地になってからです。

ブラジルの代表料理

ブラジルの料理といえば、シュラスコが有名です。

シュラスコは南部の牧草地帯から始まった料理で、ガウショと呼ばれるカウボーイが野外で塊肉を焼いて食べていたものが始まりだと言われています。

今ではブラジルを代表する食べ物です。

味つけは塩のみと、いたってシンプル。牛や羊の大きな塊肉に塩をまぶし、串にさして弱火の炭火でじっくり時間をかけて焼きます。

なかまでしっとり柔らかく焼き上がり、表面を削ぎながら食べていくスタイルで、肉そのものの味わいを感じられます。

水曜日と土曜日に食べるフェイジョアーダ

ブラジル全土で食べられている代表的な料理にフェイジョアーダがあります。

フェイジョアーダは豚肉や牛肉、ソーセージなどの肉類とフェイジョンという豆を使った煮込み料理です。

さまざまな肉が材料に使われますが、特に豚肉は脂身や耳や足、鼻などさまざまな部位が使われます。

味付けはニンニクと塩といたってシンプル。ガーリックライスやバターライス、パンなどに添えて食べます。

発祥には諸説ありますが、使用人が主人の肉料理に使った肉の余りを豆と一緒に煮込んで作ったのが始まりという説が有名です。

フェイジョアーダは栄養豊富でボリュームがあるため、週の半ばである水曜日と週末の土曜日に食べるのが一般的。

レストランでは水曜日と土曜日にメニューに並び、家庭では週末にゆっくり作ったりします。

朝食にパンが欠かせない

ブラジルでは朝食はおもにパン食で、毎朝パン屋さんに朝食で食べるための焼きたてのパンを買いに行きます。

そのため、パン屋さんにはチーズやハムなども一緒に売られていることがあります。

日本と同じ定食スタイル

朝食はパン食が多いブラジルですが、昼食や夕食ではあまりパンを食べることがなく、日本のような定食スタイルの食事をおこなっています。

ブラジルの食事は米とフェイジョン、肉や魚料理にサラダといった組み合わせのものが多く、ご飯に味噌汁、肉や魚料理にサラダなどを組み合わせる日本の食事スタイルと似ています。

しかし、日本と違うところはブラジルには主食とおかずのような区別がないところ。

米も塩で味をつけているのが特徴です。

ブラジルのパンの特徴

ブラジルではどのようにパンが食べられているのでしょうか?

ブラジルで好まれるパン

ブラジル発祥のパンとしてはポン・デ・ケージョが有名で、18世紀にブラジル南東部のミナス・ジェライス州で誕生したと言われています。

しかし、その発祥については残念ながら詳しいことはわかっていません。

ポン・デ・ケージョはブラジルの定番のパンですが、実は朝食で食べるパンは、パオ・フランセスと呼ばれる小型のフランスパンが人気なんです。

バターを塗ったり、ハムやチーズ、オムレツなどを挟んで牛乳やコーヒーと共に食べられています。

第一次世界大戦後、ヨーロッパから帰国したブラジル人たちが小麦粉を使ったヨーロッパのいわゆる“白いパン”をまねて作ったのが、フランスパン普及のきっかけになったようです。

ブラジルのパン

ブラジルにはブラジル独自のパンというのは少ないのですが、パンは日常の生活に欠かせない食べ物となっています。

ポン・デ・ケージョ(Pāo de queijo)

タピオカ粉(マンジョーカ粉)というキャッサバ芋のデンプンから作った粉、粉チーズや卵、水を使用した生地を、発酵させずに一口大に丸め、オーブンで焼いたパンです。

外はパリッとなかはもちもちとした食感で、チーズの塩気が特徴です。

逸話や歴史

Pãoはポルトガル語で「パン」、Queijoは「チーズ」を意味します。

発祥はブラジル南東部のミナス・ジェライス州。チーズの産地であるミナス・ジェライス州のミナスチーズを使って誕生したパンです。

正確な誕生時期はわかっていませんが、18世紀には存在していたと言われています。

パンとは言うものの、発酵に欠かせない酵母や膨張剤としてのベーキングパウダーも使われていません。

タピオカ粉を使うことによって、もちもちとした弾力と適度な膨らみができるのが特徴です。

食べ方

朝食やおやつにコーヒーと共に食べたり、おつまみとしてお酒と共に食べられています。ブラジルでは喫茶店での定番メニューとなっています。

発酵させずに作る手軽なパンとして、家庭でもよく作られており、家庭によってその作り方が異なります。

冷めると硬くなってしまうので、出来立てを食べるのが良いでしょう。

どうしても温めなおしをする場合は、電子レンジで温めると弾力が失われてしまうため、オーブントースターがおすすめです。焦げやすいのでアルミホイルをかぶせて温めましょう。

パオ・フランセス(Pão francês)

ポン・デ・ケージョが有名なブラジルですが、ブラジルで定番のパンというと、パオ・フランセスが挙げられます。

パン・フランセスやパン・フランセース、ボリリョ、ボリージョなどさまざまな呼び名のあるパオ・フランセスは、ふっくらした食感が特徴の小型のソフトフランスパンのことです。

引きはほとんどなく軽い食感が特徴です。

逸話や歴史

パオ・フランセスはスペイン語で「フランスのパン」という意味です。

ブラジルではポンジーニョとも呼ばれています。

パオ・フランセスは正確にはメキシコ由来のパンで、本国ではボリリョとも呼ばれています。

しかし、ブラジルでは独自の呼び名で定番のパンとして定着しているため、ここではブラジルのパンとして紹介します。

1860年代、オーストリア皇帝の弟であるマクシミリアンがメキシコ皇帝に就く時に、料理人たちによってメキシコに持ち込まれたのが始まりで、その後はメキシコにとどまらず、中央アメリカで広く食べられるようになりました。

土地によって呼び名が違い、ブラジルではパオ・フランセスと呼ばれるようになりました。

食べ方

パオ・フランセスはブラジルの朝食の定番で、家庭のお母さんたちは毎朝パン屋さんにパオ・フランセスを買いに行きます。

パンの横に切れ込みを入れて、ハムなどを挟んでサンドイッチとして食べられています。

エスフィーハ(Esfiha)

エスフィーハは、ひき肉を使ったブラジルの代表的な総菜パン(ミートパン)です。

なかに具材を包んで三角の形に成形して焼いたものが主流ですが、ピザのように具材をトッピングして焼いたものもあります。

逸話や歴史

原型は中東のスフィーハという食べ物で、シリアとレバノンからの移民によってブラジルに持ち込まれた後、独自の発展をとげエスフィーハというパンとして誕生しました。

三角に成形したものはエスフィーハ・フェシャーダ、ピザのように具材をトッピングして焼いたものはエスフィーハ・アベルタと呼ばれています。

食べ方

エスフィーハはおもに軽食として食べられています。焼き立てが美味しいパンです。

アカラジェ(Acarajé)

潰した黒目豆と玉ねぎに塩を混ぜ、コロッケのような円盤状に成形してデンデ油で揚げたパンです。

一見、コロッケのようでもありますが、すり潰した材料を発酵させ材料にベーキングパウダーを加えて作るため、揚げたときやや膨らむのが特徴です。

逸話や歴史

アカラジェはブラジル北東部のバイーア州の料理です。

ブラジルには独自に発展した「カンドンブレ」という宗教があり、カンドンブレのお供えとして誕生したのがアカラジェです。

カンドンブレは、もともと西アフリカ由来の宗教。

ポルトガルの植民地時代に、コーヒーやサトウキビ栽培のための労働力として、西アフリカから多くの奴隷が連れてこられました。

その船着き場であり気候の似ているバイーア州では、西アフリカの食材が多く栽培され、宗教も密かに受け継がれていったのです。

カンドンブレとしてブラジル独自に発展した宗教では、台所仕事を担っていた女性たちによって、お供え用のアカラジェが作られるようになりました。

今では、バイーア料理として気軽に食べられています。

食べ方

アカラジェに辛いソースを添えたり、切れ込みを入れてエビや野菜などを挟んで食べたりします。

まとめ

ブラジルではキャッサバ粉を使った無発酵のポン・デ・ケージョのみならず、パオ・フランセスという小型のフランスパンが大人気。

ブラジル発祥のパンはあまり多くは無いものの、ブラジルでは毎日パンを買い、パン食は欠かせないものとなっています。

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この記事を書いた人

医療技術系短大卒業後、バイオ系研究室テクニシャンなどを経て、現在はフリーランスのライターとして活動中です。
製パンスクールのプロコースを卒業した経歴を活かし、実践に役立つ製パン知識を、よりわかりやすく科学的にお伝えします。
食育アドバイザー、幼児食インストラクター資格保持。

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