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なぜ「ミズホチカラ」は他の米粉よりパン作りに適してる?米粉パンに最適な理由とは?

米粉にはグルテンが含まれていないため、米粉で作ったパンは膨らみが悪くずっしりと重たくなってしまいます。

ところが、製パン用米粉の「ミズホチカラ」は、グルテンが配合されていないにもかかわらず非常に膨らみが良く、小麦粉を使用したパンとそん色ない仕上がりになります。

これにはアミロース含有量が多いことなどが関係しているのです。

目次

米粉とは

米粉とは、うるち米やもち米などのお米を粉砕したものです。

米粉にはさまざまな種類がありますが、上新粉や白玉粉などがおもにおせんべいや団子の粉として重宝されてきました。

米粉と小麦粉との大きな違いは、グルテンの有無です。

小麦粉にはグルテニンとグリアジンというたんぱく質が含まれており、水を加えて捏ねることで弾力性と伸展性に優れたグルテンが形成されます。

しかし、米粉にはグルテニンもグリアジンも含まれておらず、水を加えて捏ねてもグルテンを形成することはありません。

米粉がパン作りに適さない理由

米粉は古くからおせんべいや団子の粉として使われてきました。

しかし、お米の消費量は年々減少し続けており、米の消費拡大のために米粉でパンを作ることが進められてきました。

ところが、米粉は小麦粉と大きく性質が異なり、パン作りには適さないのです。

パンにボリュームがでない

前述のように、米粉にはグルテンを形成するグルテニンやグリアジンというたんぱく質が含まれていません。

パンにボリュームが出るのは、グルテニンとグリアジンが水を入れて捏ねることで複雑に絡み合い、粘着性と弾力性のあるグルテンが形成され、グルテンの網目構造が酵母の生成する炭酸ガスを包み込んで膨らむためです。

しかし、グルテンの形成がない米粉では発生した炭酸ガスを保持できずに生地から抜けてしまいます。

ガスが抜けてしまうと、生地は上手く膨らみません。

このように、パン生地が膨らむためにはグルテンの存在は欠かせず、米粉100%でパンを作るのは非常に難しいのです。

そのため、過去に作られてきた米粉パンと呼ばれるものは、小麦粉と米粉を混ぜて作ったり、米粉にグルテンパウダーを添加して作ったものでした。

製パン用米粉として販売されているものでも、純粋に米粉だけの原料ではなく、米粉にグルテンパウダーを配合したものが主流だったのです。

製パン用米粉「ミズホチカラ」とは

製パン用米粉「ミズホチカラ」は、熊本製粉が販売している製パン用の米粉です。

米粉といえば、これまで上新粉や白玉粉といった和菓子の材料となるものがおもな用途でした。

熊本製粉はこのような従来の上新粉や白玉粉といったものとは違う、新しい米粉を作ろうという試みから、製パンに適した「ミズホチカラ」の開発に乗り出したのです。

11種のお米の品種のなかから、もっともふっくらとした仕上がりになった西海203号を製パン用米粉の原料として選び、「ミズホチカラ」として製品化しました。

炊飯用として食べるにはあまりおいしいとは言えなかったのですが、製パンには非常に適したお米だったのです。

また、収穫量が一般の米と比べて約20%多いのだとか。

「ミズホチカラ」の名前の由来も、“水田で力を発揮する多収米”ということからきているようです。

「ミズホチカラ」が米粉パンに適している理由

米粉が製パンに適さない理由として、ボリュームが出ないことがあげられます。

これを大幅に解決したのが「ミズホチカラ」です。

米粉パンは材料となる米粉のアミロース含有率が15%以上あると膨らみ、高くなるほど膨らみやすくなります。

しかし、アミロースの含有率は高くなりすぎるとパンは硬くなりやすいのです。

パンが膨らみ、食感が良いのはアミロース含有率が20~25%と言われています。

「ミズホチカラ」のアミロース含有率は23.7%。

これは、従来米粉パンに適しているとされていた「タカネリ」という品種を使った米粉が17.7%であるのに対し、より製パンに適した米粉となっていることがわかります。

また、粉砕時の熱や衝撃によって傷や割れができた損傷デンプンを少なくすることも非常に重要なことです。

損傷デンプンが多いと、水をたくさん吸って餅のような食感になってしまいます。

損傷デンプンが少ないほど、軽くてふわふわとした仕上がりになりやすいのです。

製パン用米粉の損傷デンプン率は5%以下が望ましいと言われています。

「ミズホチカラ」の損傷デンプン率は4.2%。

「タカネリ」は9.6%と、製パンに適したほかの米粉と比べても少ないのが特徴です。

「ミズホチカラ」を用いたパンの特徴

製パン用米粉の「ミズホチカラ」で作ったパンには、次のような特徴があります。

ボリュームがある

「ミズホチカラ」を使ったパンの特徴として、もっとも印象的なのがその膨らみの良さです。

アミロース含有率が高い「ミズホチカラ」は、ほかの米粉で作ったパンと比べ圧倒的なボリュームです。

小麦粉で作るパンと比べても、そん色ない仕上がりになります。

きめが細かい

「ミズホチカラ」のきめの細かさは、小麦粉を使って作ったパンとほとんど変わらない見た目をしています。

損傷デンプンの少ない「ミズホチカラ」は、軽くてふわふわとした柔らかいクラムになりやすいのです。

焼き色はつきにくい

「ミズホチカラ」を使ったパンに限らず、米粉パン全般に言えることですが、小麦粉を使ったパンと比べて焼き色がつきにくいです。

米粉は小麦粉と比べて糊化温度が高いため、焼き色がつくまでに時間がかかります。

「ミズホチカラ」以外の米粉を用いたパンの特徴

米粉は品種や粉砕方法によって品質に大きく差があり、パン作りに使用したときの水分量や仕上がりも変わります。

ここでは、「ミズホチカラ」以外の米粉を用いたパンの一般的な特徴を紹介します。

ボリュームが出ない

米粉にはグルテンがなく発生した炭酸ガスを保持することができないため、焼成時に膨らみにくくボリュームがでないのが特徴です。

きめが粗い

「ミズホチカラ」以外の米粉を使った場合、大きな気泡がたくさんあるきめが粗いパンに仕上がります。

また、高加水パンのようなもちもちとしたお餅のような食感が特徴です。

損傷デンプンの多い米粉を使った場合、水をたくさん吸収します。

そのため、お餅のような食感ときめの粗いクラムになってしまうのです。

腰折れしやすい

小麦粉で作ったパンの場合はグルテンが形成され、グルテン骨格によって生地が支えられています。

しかし、グルテンがなく水分量が多い米粉パンは、腰折れしやすくなるのです。

硬くなりやすい(老化が早い)

米粉のデンプンは小麦粉のデンプンとは構造が異なり、糊化したデンプンが老化しやすいのが特徴です。

そのため、小麦粉で作るパンと比べて硬くなりやすいのです。

他の米粉を用いたパン作りの難しさ

「ミズホチカラ」以外の米粉で作るパンは、小麦粉で作るパンのように仕上げるのは難しく、多くの課題があげられます。

グルテンがないため膨らまない

グルテンがないことで膨らまず、クラムが密集してずっしりと重たいパンに仕上がります。

「ミズホチカラ」にもグルテンが含まれていませんが、「ミズホチカラ」はアミロース含有率が高いことでこの問題を解決しています。

腰折れしやすい

うるち米からできた米粉のデンプンに含まれるアミロースの含有率は、17~23%が一般的です。

アミロース含有率は高いほどパンは硬くなりやすいのですが、米粉の多くはアミロースの含有率が低めで、パンが腰折れしやすいというデメリットがあります。

一方、「ミズホチカラ」のアミロース含率はほかの米粉と比べて高めで、腰折れしにくいのが特徴です。

お餅のような食感

米粉で作るパンは吸水量が多く、クラムはお餅のような食感で小麦粉を使ったパンとは大きく異なる仕上がりとなります。

損傷デンプンが多いことで、水分をより多く吸収してしまうためです。

「ミズホチカラ」は従来の米粉よりも損傷デンプンの割合を少なくすることで、軽くふわふわとした食感に仕上がります。

まとめ

小麦粉で作るパンの仕上がりに近づけるには、アミロース含有率が高く、損傷デンプンが少ない米粉を使用することが非常に重要なポイントです。

「ミズホチカラ」は、膨らみの良さが従来の米粉に比べて圧倒的に優れています。

アミロース含有率が高い米粉や、損傷デンプンがより少ない米粉はほかにもたくさんありますが、「ミズホチカラ」はそれらのバランスが非常に良く、製パンに向いた米粉であることがわかりました。

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この記事を書いた人

医療技術系短大卒業後、バイオ系研究室テクニシャンなどを経て、現在はフリーランスのライターとして活動中です。
製パンスクールのプロコースを卒業した経歴を活かし、実践に役立つ製パン知識を、よりわかりやすく科学的にお伝えします。
食育アドバイザー、幼児食インストラクター資格保持。

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