グローバル化と国際ビジネスの課題について自ら「問い」を立て、「答え」を導き出す|AGU LiFE
掲載日 2023/4/12

経営学部 経営学科
グローバル化と国際ビジネスの
課題について自ら「問い」を立て、
「答え」を導き出す

稲村教授からの
Message

経営学部 経営学科 教授
稲村 雄大

私のゼミナール(ゼミ)のテーマは「グローバル化」と「国際ビジネス」です。「グローバル化とは何か」「それが誰にどのような影響を与えるのか」「その中で企業はどのようにビジネスを進めるべきか」「そして自分たちは何ができるのか」…そうした問いに学生一人一人が自分の関心があるキーワードを入口にしてアプローチしていきます。

Q.ゼミのテーマである「グローバル化」とは?

グローバル化(Globalization)とは、社会や経済が、国や地域などの地理的境界・枠組みを超え、地球規模で統合・一体化されるとともに、相互に依存していく現象を指します。現代社会において、今やビジネスが国境を超えて展開されることは常識になりつつあります。グローバル化はビジネスを考える際の「前提」といっても過言ではありません。グローバル化とは何かを理解したうえで、企業が国際ビジネスを進める際に重要となる基本的なポイントを、国や地域ごとの違いという視点から理解することが不可欠です。
海外でのビジネス展開や海外企業との取引、外国人の雇用などビジネスのグローバル化を進めていくと、あらためて国や地域による「違い」が浮き彫りとなります。そしてその「違い」によって経営戦略やマーケティングはもちろん、組織・人事、会計などすべてにわたって、一気に取り組むべき課題が複雑化してしまいます。「違い」から生まれる複雑化した課題を一つ一つ解きほぐすことは容易ではありません。時には相手の価値観を受け入れたり、融合させたりしなければならないこともある一方で、「違い」が新たなビジネスチャンスを生むこともあります。このようにグローバル化は複雑かつ困難な経営課題ですが、“だからこそ面白い”と私は思っています。

Q.ゼミでの指導方法や研究の特徴について教えてください。

グローバル化や国際ビジネスの課題を考えていくためには、1、2年次に経済学と経営学の基礎をしっかり身に付けておくことが必要不可欠です。複雑な課題に取り組むからこそ、基礎が大切になります。その上で学生が主体的に学べるよう、自由度が高いゼミ環境を用意しました。
私のゼミに新しく入った3年生には、まず「グローバル化×〇〇」の組み合わせを考えてもらいます。学生各自が自分の関心に応じて、この「〇〇」を埋める言葉を見つけることからゼミでの学びが始まるのです。たとえば「音楽」「映画」「スポーツ」「食」「言語」「教育」「LGBTQ」「SNS」など、これらは実際に私のゼミの学生が選んだ言葉です。類似する言葉を選んだ学生同士はグループになってもらいます。次の段階で自分のテーマに沿った英語文献を検索し、多くの先行研究を参照しながら研究の切り口や方向性を検討します。また、多くの論文を読みこなすことで学術論文の読み方と書き方を学びます。同じグループの学生同士は文献などの情報を共有しますので、一人ではなかなか見つけられない範囲の文献を参照することができるでしょう。そのプロセスを通して自分にとって「問う価値のある問い」を見つけたら、卒業までにその「問いに対する答え」を卒業論文としてまとめてもらいます。

Q.指導ではどのようなことを心がけていますか?また学生に期待することは何ですか?

自ら「問い」を見つけて「答え」を導き出すことが研究の醍醐味です。まずその喜びを知ってもらいたいと思っています。そして、研究のプロセスの中でチームワークや他者を説得して巻き込む力など、社会人として必要な能力を身に付けてもらうことをゼミの目標としています。そのため、私が一方的に知識を与えたりせず、学生同士のディスカッションには極力口を挟まないようにしています。もしかしたら青学の卒業生である私は、教員というより「青学の先輩」として彼らに接しているかもしれません。ただし、こうした自由な環境に甘えず、常に問題意識を持ち、問い続ける姿勢を忘れてほしくないと思っています。ゼミの出身者たちは金融、流通、観光、情報通信、また国際協力など、幅広い分野で活躍しています。海外大学院への進学や起業など、パワフルに自分の道を切り拓いている卒業生もおり、実に頼もしい後輩たちです。

学生の
Message

経営学部 マーケティング学科 4年
さいたま市⽴⼤宮北⾼等学校出身
松⽊ 崇寿

“再開発で新しく生まれ変わっていく渋谷で、最先端のビジネスを学びたい”そんな期待を抱いて青山学院大学に入学しました。1、2年次には会計、マーケティングなど幅広く経営学の基礎を学びましたが、その中でも、企業が海外進出する上で重要な現地化や標準化について扱った稲村先生の「比較経営論A」「比較経営論B」の講義が特に印象に残ったので、3年次から稲村ゼミを選択しました。私は大学の長期休暇を利用して、東南アジアやインドを旅した経験から「グローバル×観光・旅行」をテーマに学んでいます。具体的には、インド人と日本人の消費行動において、店舗の清潔度が及ぼす影響とその相関性の比較研究を行い、実際に双方の国の人々にアンケート調査を実施し、仮説「問い」とは異なる結果「答え」を導き出すことができました。

夏休みに一人旅でインドに行った際の様子

また、稲村ゼミの3年⽣は、グループごとに社会の中で具体的にアクションを起こす「プロジェクト」にも取り組みます。私は、「SDGs(持続可能な開発目標)」にも関わるコーヒーとカカオのフェアトレード・プロジェクトに参画しました。生産者と公正な価格で取引された原材料を使用した製品を、適正な価格で継続的に取引される仕組みを考えなくてはなりませんが、稲村先生には「経営学部生として取り組む以上、慈善活動で満足するのではなく、事業として成立する仕組みづくりまで考える必要があるね」とアドバイスを受けました。確かにそこが最も難しい部分でした。
学生の主体性が尊重される稲村ゼミですが、最初は自由であることへの⼾惑いを感じることもありました。しかし、ゼミの仲間で打開策を話し合い、協⼒しながら答えを導き出していく体験を重ねるうち、それこそが大学におけるゼミ活動の面白さだと気付くようになりました。そして、稲村先生はそんなゼミ生の一人一人をしっかり見守り、絶妙なタイミングで的確なアドバイスを与えてくださいます。いつもクールで、後輩である青学生に対して丁寧に接してくださる稲村先生は、研究者としての尊敬以上に、私にとって「自分が将来こうありたい」と思う大人のロールモデルの一人です。
この4年間を振り返ってみると、海外への興味を共通項に稲村ゼミに集まった友人たちとの出会いは財産です。大きな刺激を受けましたし、互いに切磋琢磨できる関係を構築できた、そんな良き友人に恵まれたことが最も思い出深いことです。

経営学部 経営学科

経営学部は「マネジメント」(経営管理)を中心に学ぶ学部です。青山学院大学の経営学部では、優れた研究者が教員として揃う質の高い教育環境のもと、企業や組織、ひいては個人をマネジメントするために必要な経営学の知識を、体系的に身に付けられるカリキュラムを用意しています。デジタル化時代に応えるべくデータ分析にも力を入れており、その学びを通して論理的思考力を養います。
半世紀の歴史を刻む経営学科では、企業や組織におけるマネジメントに普遍的に求められる先端理論と実践技術を身に付けます。経営・会計・マーケティングの基礎的学習を踏まえ、多様な専門科目を履修することで、より深くマネジメントを学ぶことが可能になります。企業の社会的責任や企業倫理の重要性を理解するとともに、演習などで主体的な学習を重ね、研究成果をまとめる技術も手にします。

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