コミュニティや社会活動における学習|AGU LiFE
掲載日 2019/2/28

社会情報学部 社会情報学科
コミュニティや
社会活動における学習

香川准教授からの
Message

社会情報学部 社会情報学科准教授
香川 秀太

社会情報学部では、人間について深く理解することも大きなテーマです。心理学科目があるのもそのためです。当ゼミナール(ゼミ)は、心理学の中でも「関係論」と呼ばれる分野をベースに、“異質なものが交わる中で発生していく創造活動やコミュニティ”のあり方を研究しています。関係論では、心は人と人との関係の中に立ち現れると捉えます。人間は一人では生きられません。違った特性を持つ人々が結びつくことで、楽しさや面白さといった感情が生まれます。互いに知恵を出し、高め合って、新たな価値を創造することもできます。それこそが、単に知識を受け取るだけではない本来の“学習”なのだという考え方です。

ゼミ生は皆、「学習心理学」の授業で理論を学んだ上で参加しています。まず3年前期にはコミュニティ関係の書籍を読んでレポートを提出し、後期は外部団体とタイアップした複数のイベントに取り組みます。代表的なものは、相模原市の淵野辺にある冒険遊び場「銀河の森プレイパーク」での「銀森祭」です。2年前にスタートしたイベントで、今年度はビニールに落ち葉をくっつけたオリジナルの服を作り、ファッションショーを行うなど、多くの子どもたちに楽しんでもらいました。地域の公園を考える市民グループ「公園のまちフチノベ部」との協働では、野外での椅子やランタン作りや、映画上映を実施しています。

また、都内の中学校の地域イベントに出向いて、ゼミ生たちの多様な特技(ダンスやけん玉など)を組み合わせたショーも行いました。
4年生は個人またはチームでの卒業研究に取り組みますが、選ぶテーマは古民家カフェの調査、建築とまちづくりなど、コミュニティに関するものがほとんどです。皆、とても積極的に動いていますね。ゼミも、多様な個性が集まる一つのコミュニティです。それぞれの特性を生かせる関係性がつくれれば、地域や社会にプラスになる活動ができることを、ゼミ生たちは自然に体感してくれています。

また、地域や社会の問題を深く考え、具体的に行動していくためには、経済学や社会学、情報科学、哲学、さらに場合によっては建築やアートなどさまざまな知識を融合していく必要があるということも学びます。これからの日本は、小規模のローカル企業やコミュニティが流動的に連携しながら社会を変えていく時代になるでしょう。ゼミでの互いの良さを生かし合う経験は、どんな場面でもきっと力になるはずです。

ゼミ学生からの
Message

社会情報学部 社会情報学科4年
静岡県立静岡東高等学校出身
香川ゼミ学生木田 圭祐さん

香川ゼミに入りたいと考えたのは、1年生のときに学生主催のゼミのイベントを見たことがきっかけでした。学生たちが主体となってスポンサーを見つけて、運営をしていることに驚きました。ゼミを決める際にも見学し、学生の個性を生かし合い活動を行う香川ゼミなら、心理学を深めながら、人前に出るのが好きな自分の性格を生かして学習につながると思いました。ゼミに入ると、まずは学生同士の良い人間関係をつくっていきます。幾度となく話し合う中で互いの意外な一面にも気付き、皆すっかり仲良くなれました。3年次の前期が終わる頃から「銀森祭」の準備が始まりました。外部の方々との交流も多く、本当に楽しい体験でした。

卒業研究テーマは「建築によるコミュニティ形成」です。建築物を介在した地域づくりの取り組みを各地で調べ、新たなコミュニティ形成が始まるきっかけが、貧困格差・互助関係衰退・自然破壊の3要素に分かれることが分かってきました。内定先の音楽業界では、地方での音楽イベントを手がけることが目標です。地域の活性化につなげていくためにも、グループワーク等香川ゼミでの実践的な学びは大きく役立つと感じています。

※この記事は、大学広報誌AGU NEWS No.92(2019年2月28日発行)に掲載されています。
※登場する人物の在籍年次や役職、活動内容等は取材時のものです。

社会情報学部

文理融合の知恵を実践的に体得し、
社会を、より良い未来へと導こう。

高度情報化社会といわれているいま、本当にやりたいことをやり遂げるには、文系、理系のどちらかではなく、双方に精通していることが大きなアドバンテージとなります。そうした真の実力を身につけるために、本学部では、社会科学系、人間・コミュニケーション系、情報科学系の3領域の知識とスキルをバランスよく学びます。そして現代の社会人に不可欠な4つの力「数理的な素養・論理的な思考・情報の高度な応用・豊かなコミュニケーション能力」を、現実の問題発見を通して確実に磨いていきます。
3年次からは、進路選択の目安となる複数の履修モデルをガイドラインに科目を履修します。これにより、社会や仕事の具体的なイメージをもって実践的に学び深めることができます。高度な専門性の探究に加えて、知識やアイデアを効果的にプレゼンテーションするための日本語・英語の訓練や、数学力向上のための補習授業など、きめ細かい指導・支援態勢も充実しています。

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*掲載されている人物の在籍年次や役職、活動内容等は、特記事項があるものを除き、原則取材時のものです。

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