現代演劇の〈現場〉/〈プロジェクト〉としての演劇|AGU LiFE
掲載日 2018/7/31

総合文化政策学部 総合文化政策学科
現代演劇の〈現場〉/
〈プロジェクト〉としての演劇

竹内教授からの
Message

総合文化政策学部 総合文化政策学科教授
竹内 孝宏

当ゼミナール(ゼミ)では、文化基礎演習として、前期は商業演劇と小劇場を、後期は国の公的助成をテーマに学びます。具体的には、前期はゼミのタイトルである「現代演劇の〈現場〉/〈プロジェクト〉としての演劇」にふさわしいテキストを読んでいくというやり方です。先日はある小劇団の物語、有川浩の小説『シアター!』を取り上げました。宝塚歌劇団をテーマとすることもあります。後期は、なぜ国が芸術・文化活動に公的助成の手を差し伸べる必要があるのかを原理原則から考え、実際に助成金の申請書を書く作業まで行います。ゼミには芸術、文化活動に興味のある学生が多く、ダンスやバレエ、演劇などを実際に身体表現として現在も行っている、または過去に行っていたという学生が少なくないですね。

当ゼミのみならず総合文化政策学部で演劇について学ぶときのポイントは、まずはクリエイティブな要素とマネジメントに関わる要素が重なり合う部分をできるだけ見逃さないようにしていく、ということでしょう。また、演劇に対するアプローチはさまざまです。総合文化政策学部では、できあがった舞台を対象物として見る「オブジェクト志向」や、自分が演じるなど主体的に関わる「サブジェクト志向」というより、自ら企画立案し、実行し、評価し、検証するというプロセスを踏む「プロジェクト志向」で演劇を捉えることが重要だと考えています。

演劇は、多彩なジャンルの人々が集まり創り上げられることが、魅力の一つです。従って、演劇の現場について理解を深めることは、実は文化を学ぶ良いレッスンにもなっているわけです。ですからこのゼミで学ぶ学生が、3年次にどのようなゼミを選択したとしても、きっとこのゼミで学んだことが役立つでしょう。
総合文化政策学部は今年で創設10周年となり、教員自身も気付いていない学部の可能性をそろそろ発掘していく時期になったと感じています。他方、学生たちは年々まじめになっていっているという印象を強く持ちます。

まじめであることも大切ですが、学生のうちはもっと自由に、恐れず「壮大な失敗」をしてほしいと強く言いたいですね。学生のうちは大きな失敗をいくつしてもいいのです、そのためにわれわれ教員がいるのですから。むしろ失敗を恐れない勇気と若干のユーモアを忘れずにいることこそ大切です。ただし、壮大な失敗のためには頑丈な基礎となる土台が必要になります。当ゼミはまさにその土台をつくるところなのです。

ゼミ学生からの
Message

総合文化政策学部 総合文化政策学科2年
神奈川・私立横浜雙葉高等学校出身
竹内ゼミ学生福井 みゆうさん

中学・高校の部活で音楽部に所属し、毎年文化祭でミュージカルを公演していました。演者として舞台に立っていたのですが、高校2年で舞台の脚本・演出・指導を担当し、舞台を作り上げていく楽しさを知りました。裏方の世界に興味がわき「もっと知りたい」という思いを抱き、総合文化政策学部に入学しました。所属しているミュージカル系のサークルの先輩に「竹内ゼミは面白くて絶対に後悔しないよ」とすすめられたのも、私がこの竹内ゼミを選んだ理由の一つでした。ゼミでは幅広く演劇について学べることもあり、迷わず選びました。実際に学び始めてからは、演劇を公演するためにどれだけの人が関わり、資金が必要かなど、これまで知らなかったことを知識として得る楽しさがあります。

現在、興味があるのは音楽イベントの運営や、ライブの演出です。将来は演劇や舞踏など、舞台芸術の演出やマネジメントといった裏方の仕事ができたら良いなと思っています。竹内ゼミは、とにかく先生のユニークさが最大の魅力です。マネジメント的な要素も多いですし、舞台芸術に少しでも興味のある人なら間違いなく楽しく学べるゼミだと思います。

※この記事は、大学広報誌AGU NEWS No.90(2018年7月31日発行)に掲載されています。
※登場する人物の在籍年次や役職、活動内容等は取材時のものです。

総合文化政策学部

青山から世界へ、文化・芸術を発信するために、“創造体験”とともに学ぶチャレンジングな学部です。
青山学院大学の総合文化政策学部の使命は、21世紀の街や暮らしをもっともっと生き生きとさせるために、新しい文化創造の可能性を見抜き、それを援助できるセンスを磨き、文化産業、地域や都市のデザイン、国際的な文化交流などを担う文化やアートのトータルプロデューサーを育てることにあります。
文化やアートを単に知識として身につけるのではなく、その“創造”の現場に深く関わり、繰り広げられる喜びや楽しさ、葛藤や厳しさをも体感しながら、アートをプロデュースしマネジメントする知恵や身体知、技能を学び取ることのできる、これまでの大学教育にはないチャレンジングな学部です。

バックナンバー

*掲載されている人物の在籍年次や役職、活動内容等は、特記事項があるものを除き、原則取材時のものです。

学部選択

分野選択