英語力を生かし単身で臨んだパワーリフティング世界大会|AGU LiFE

英語力を生かし単身で
臨んだパワーリフティング
世界大会

掲載日 2022/5/23
No.152
<2021年度 体育会表彰受賞>
文学部 英米文学科 4年
金子 将也
東京・私立国際基督教大学高等学校出身

OVERTURE

青学には多くの体育会部活動が存在しますが、複数の部に所属する例はあまりありません。金子将也さんは、パワーリフティング部とアメリカンフットボール部の両方に所属し、双方で大きな活躍をしています。パワーリフティングの世界大会では、新型コロナウイルスの影響で日本選手団が出場辞退する中、自力で主催者と交渉し出場して、種目別第3位という好成績をあげました。

パワーリフティングとアメフト、2つの部で活躍

私は、パワーリフティング部とアメリカンフットボール部、2つの体育会の部に所属しています。あまり例のないことですが、どうしても両方やりたくて、入学後すぐにスポーツ支援課の職員に相談したところ「チャレンジしてみれば」と後押ししていただいて実現できました。

私は小学校4年生から中学校2年生までアメリカで暮らし、アメリカンフットボール(アメフト)をしていました。アメフトでは身体が大きい方が有利なので、本場アメリカの選手に負けたくないと身体を大きくするため日本に帰国後もジムに通い、パワーリフティングに出会いました。高校の時はアメフト部がなく野球部で活動していましたが、部を引退後にパワーリフティングの全国高校大会に出場したところ、第2位を獲得。この経験から自分の可能性に気づき、大学でも競技を継続して日本一を目指すことを決意しました。大学でアメフトを再開する長年の目標も叶えたかったため、2つの部に所属することになったのです。
青山学院大学への進学は、パワーリフティング部が全国大会で優勝も収めた実績のある強豪であること、そして英語力を磨くことができる環境が整っていることから決めました。5年間アメリカで暮らし、基本的な英語力は身に付いていましたが、より向上させたい思いがあり、文学部英米文学科を選びました。

監督・先輩の影響を受け、目標は「日本一」から「世界」に

パワーリフティングは、ウェイトトレーニングから派生し競技となったスポーツです。スクワット、ベンチプレス、デッドリフトの3種目があり、この3種目で挙げた重量の合計値で順位が決まります。世界大会では種目別の順位も発表されます。努力した結果が数字にはっきりと表れることはパワーリフティングの良さのひとつです。順位は上がらなくても自分に打ち克ち、自己ベスト記録を更新できれば、それだけでも大きな喜びを味わえます。
入学前にはパワーリフティング「日本一」を目指していた私でしたが、本学のパワーリフティング部に入部した後は、世界大会を経験している監督や先輩に影響を受け「世界大会での活躍」を目標としました。

アメフトでは、ボールを持つ味方の選手のために、身体を張って相手の選手をブロックするオフェンスラインを務め、2年次から全試合に出場しています。パワーリフティングの経験を生かして、他の選手の筋力トレーニング指導も行います。初めは半信半疑の選手も多かったのですが、実際にやってみて「確実に筋力がアップした」と喜んでもらえています。

全体練習は、パワーリフティング部が週1日、アメフト部が週5日、それとは別に私はパワーリフティングの自主練習を行います。2つの部の練習を両立するためには、いかに練習で疲れた身体を早く回復させるかがカギです。毎日1時間以上のストレッチを行い、食事と睡眠の管理も大切になります。食事は、料理教室を開く母が栄養バランスを考えた料理を作ってくれて、感謝しています。睡眠をしっかりとるため、早めの帰宅も心がけています。

たった一人で乗り込み表彰台にのぼった世界大会

これまでの部活動を振り返って特に印象に残っているのは、世界サブジュニア・ジュニアパワーリフティング選手権2021の93kg級 ベンチブレスの部で182.5kgを上げ切り、銅メダルを獲得したことです。
新型コロナウイルスの影響でほとんどの大会が中止された2年次は、悔しい思いがありながらも良い機会と捉え、高タンパクの食事とトレーニングで、徹底して体重を増やしました。ベンチプレスでは、腕の力だけでなく下半身や背中の力も使えるように、フォームの改良にも取り組みました。
そして3年次の春、第40回全日本ジュニアパワーリフティング選手権大会93kg級で優勝し全国制覇を果たして、目標である世界大会への出場権を獲得した矢先、再び新型コロナウイルスの影響を受け、日本選手団は世界大会への出場を辞退、日本パワーリフティング協会からの支援も全く受けられなくなってしまったのです。

世界サブジュニア・ジュニアパワーリフティング選手権表彰式

しかし私は、ずっと目標にしていた世界大会に出場したい気持ちが強く、自力で世界サブジュニア・ジュニアパワーリフティング選手権の主催者に連絡を取って、交渉して協力を取りつけ、自費で単身ルーマニアに渡りました。重量の申請など競技での手続き、試技前のウォーミングアップなど、1人では参加することすら難しい状況でしたが、現地で見つけたコーチにサポートを依頼し、最終的に総合第5位、種目別(ベンチプレス)第3位という結果を出し、表彰台にのぼることが叶いました。諦めず出場して本当に良かったと思います。

英米文学科では大川道代先生のゼミナール(ゼミ)に所属し、英語によるディスカッションやディベートを実践形式で学び、英語創作劇にも取り組んでいます。大川先生の授業は、ゼミ以外の授業もインタラクティブな内容が多く、スピーキング力もディスカッション力も向上しました。英語創作劇活動では、脚本作りも出演も学生自身がグループに分かれて行います。課外での交流も多く、さまざまなメンバーと仲良くなれますし、公開授業として実施される英語創作劇発表会はスポーツとは違う緊張感を味わえて、とても楽しく活動しています。これまではジェンダー問題やSNSでのいじめなどを創作劇のテーマに設定し、現代社会の問題を考える力も鍛えられています。発表会の動画はオンライン型オープンキャンパスや、大学公式ウェブサイトでも公開されました。

ゼミのメンバーと

パワーリフティングの世界大会で、主催者やコーチと良い関係を築き協力を得て結果を出せたのは、ゼミや授業で磨いてきた英語力やコミュニケーション力があったからこそだと思います。

大学の就職支援をフル活用し、影響力の大きな仕事を目指す

部活動と学業では、時間をうまく使ってそれぞれを真剣に取り組んでいれば大変さは感じないのですが、現在は就職活動が始まり、戸惑うことも増えています。
そのような中、大学の進路・就職支援システム「Web Ash」が役立っています。求人や会社説明会の情報が見られる他、1回30分の面接練習、エントリーシートの指導も受けられ、的確な指摘をいただけるので、もう50回以上は利用しています。
パワーリフティングで世界第3位という結果を出すことができ、世界での活躍を目指す学生や多くの方に元気を届けることができたと思います。卒業後は、さらに社会に貢献したいと強く思い、世の中への影響力が大きい業種を候補として就職活動を行っています。また、私は動画制作が得意で、部活動でも英語創作劇でも自ら志願して動画制作を担当してきました。最近は動画コンテンツがトレンドになっていますが、これまでの動画制作の経験を、社会人になってからも生かしたいと考えています。
今年は最終学年として、パワーリフティングでは、昨年度の結果に慢心することなく世界でさらに上位を目指し、アメフトではオフェンスリーダーとして他の選手を引っ張っていきます。パワーリフティングは卒業後も、世界の一般の大会でメダルを取ることを目標として継続していきます。
大学生活を通して、何事にも恐れず挑戦し行動する力が備わったと感じています。2つの部での活躍も、出場が難しくなった世界大会への出場も、挑戦したからこその結果です。同時にこの成果は、両部の監督や部員、周囲の方々が、背中を押して応援してくださったからこそなし遂げられたものです。そもそも本学でなければ、2つの部で活動することは難しかったでしょう。周りの人がやる気を後押ししてくれる本学の環境は素晴らしいものです。学生の皆さんは、ぜひ夢や目標を持って有意義な大学生活を送ってください。

文学部 英米文学科

青山学院大学の文学部は、歴史・思想・言葉を基盤として、国際性豊かな5学科の専門性に立脚した学びを追究します。人間が生み出してきた多種多様な知の営みにふれ、理解を深めることで、幅広い見識と知恵を育みます。「人文知」体験によって教養、知性、感受性、表現力を磨き、自らの未来を拓く「軸」を形成します。 「英語の青山」を体現する伝統ある英米文学科では、能力別、少人数制の授業で、1・2年次より英語の4技能を徹底的に磨き上げます。同時に、英語圏の文学、歴史、思想、言語の成り立ちを学び、語学のみならず幅広い知識を身に付け、人間や文化の本質を理解します。多くの教員免許状取得者を輩出しています。

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