技術だけでは勝てない
競技ダンスペアの
一体感でつかんだ優勝
経済学部 経済学科 4年
体育会競技ダンス部
体育会競技ダンス部
OVERTURE
大学での学びは、日頃の授業を中心とした勉学にとどまりません。部活動やボランティア活動など課外活動の中にも、自身を磨き、力をつける機会がたくさんあります。体育会競技ダンス部に所属する木原さんと武田さんは、2021年4月に行われた関東地方の大学が集結する第121回東都大学学生競技ダンス選手権大会の「パソドブレ*の部」でペアを組んで優勝。3年生ながら優勝をつかんだ秘訣や、成長できた点などを話していただきました。
*競技ダンスではラテンダンスに分類され、スペインの闘牛とフラメンコをイメージしたダンス。
初心者から日本一を
目指せる競技ダンスに惹かれて
-青山学院大学と、それぞれの学部を志望した理由を教えてください。
木原:幼少期から渋谷駅を利用していたこともあり、さまざまな分野の最先端が集まる渋谷・表参道のエリアが好きということが決め手のひとつでした。経済学部を選んだのは、日常使っているお金や経済のしくみを根本から知りたいと思ったからです。数学が得意だったということもあります。
武田:私は高校2年生の時、スーパーサイエンスハイスクールの留学プログラムでチェコに留学し、ウィーンで開催された日本・ドイツ・チェコの3カ国の生徒たちと合同で科学実験を行うプログラムに参加しました。グループワークの際、チームワークがとりづらい場面が幾度もあり、その背景に、ヨーロッパでは私たちの世代にもまだ、第2次世界大戦下の感情的な影響が残っていることを知りました。過去の国同士の争いが与えた複雑な思いが今でも尾を引いていることを目の当たりにしたことが契機となって、国際関係学を体系的に学びたいと考えました。本学の国際政治経済学部は、英語をツールとしながら国際政治やさまざまな国や地域の文化等も幅広く学べるので、志望しました。
-競技ダンス部に入部したきっかけは?
木原:キャンパスで行われた新入生勧誘イベントで見た先輩のデモンストレーションが格好よく、また、ほとんどの人は大学生になってから始める競技なので、初心者から日本一を目指せると聞いて、自分も挑戦してみたいとやる気がこみ上げてきました。
武田:バレエを習っていたこともあり、ダンスには親しみがありました。また、私も「初心者から日本一になれる」というところに惹かれました。新入生勧誘イベントで、先輩たちがとても優しくアットホームな雰囲気だったことも入部を決めた理由です。
挑戦者の精神とペアの
一体感でつかんだ栄光
-競技ダンス部の活動状況を教えてください。
木原:公式練習は週2回で、3〜4年生が1〜2年生の指導を行います。競技ダンスにはさまざまな種目がありますが、1~2年生の練習では幅広く、いろいろな種目に挑戦します。その後、各部員の適性によって、種目やペアが決まります。
武田:上級生は、主に公式練習以外の時間に自主練習をしています。授業を終えた夕方から夜の時間帯に、週4日、3〜4時間は自主練習を行っています。木原さんは、技術指導部長として下級生の指導にも尽力しています。
木原:競技ダンス部は、指導者にあたる監督やコーチがいない、学生だけで運営する部ですから、後輩の指導は上級生の重要な役割です。理詰めで考える方が吸収できる理論派、ニュアンスを伝える方が響く感覚派など、いろいろなタイプの部員がいるので、教え方のパターンをいくつも持つように意識しています。
-第121回東都大学学生競技ダンス選手権大会「パソドブレの部」で優勝した時のことを教えてください。
木原:この大会は、関東地区の大学が出場する重要な大会です。私たちは「パソドブレ」という、スペインの闘牛やフラメンコをイメージしたダンスの種目に出場しました。
競技ダンスは大学入学後に始める人がほとんどなので、経験年数の長い4年生が圧倒的に有利です。決勝進出は目指していましたが、優勝までできるとは思っていなかったので「まさか」という思いです。本当に嬉しかったです。
武田:喜びももちろんですが、指導してくれた先輩、切磋琢磨してきた同期、応援してくれた後輩、支えてくれた両親、コロナ禍で大会開催に尽力してくださった運営の方々への感謝の気持ちがあふれました。勝因という点では、挑戦者の立場で思いっきり全力を出せたことがよかったと思います。
木原:私たちの実力では、技術面はどうしても4年生に負けてしまいます。表現するスポーツであるダンスは、技術力に優るペアが勝つとは限らず、人を惹きつけることが重要です。2人の一体感やエネルギッシュな表現ができるように練習を重ねました。この大会後、試合成績が伸び悩んでいますが、再び挑戦者のマインドを持って4年生では日本一を目指します。
-部活動を続けてきて、特に成長したと感じるのはどのようなことですか。
木原:1年次の強化練習では、皆の前で、全力で場を盛り上げるネタを披露したり、声を出したり、という練習をしました。その時は恥ずかしさを捨てきれず、意味があるとも思えなかったのですが、競技ダンスを続ける中で、恥を捨てて全力で取り組んでこそ、自分の表現力が高まり本番で輝けることを実感できました。
武田:私もそれは感じます。以前、バレエを習っていた経験もあって、技術向上に直接結びつくとは思えない、「根性」を重視したトレーニングに疑問を感じたこともありました。しかし、強化練習の後「もっと頑張れたのではないか」と思う瞬間が何度もあり、気を抜いて全力を出し切らずに終わってしまうと、後で悔しい思いをするとわかったのです。「やるなら全力で」と何事に対しても考えるようになりました。
先輩から後輩へ学習面の支援も
-かなりの練習量ですが、部活動と学びの両立で意識したことを教えてください。
木原:時間管理を工夫し、授業の内容を深く理解するため、授業中の集中力を上げて、先生の話を聞き漏らさないことに徹底しました。競技ダンスはペアで練習できる時間を確保することが大切なので、学部の異なる武田さんとも時間割の組み方を相談するようにしました。
武田:大学に在籍しているから競技ダンスもできるのであって、部活動に熱中して学びがおろそかになるのは本末転倒です。定期試験期間中は勉学を最優先とし、大会前には練習量を増やすなど、その時の状況に合わせて優先順位をつけることを意識しました。
体育会ならではの部員同士の距離感の近さから、部内で勉強を教えてもらえることもあります。私はフランス語が苦手だったのですが、フランス文学科の先輩に勉強会を開いてもらって力を付けました。
-特に印象に残っている授業やゼミなどはありますか。
木原:落合功先生の日本経済史Ⅱが印象的でした。貨幣の流通や経済のしくみを知りたくて経済学部を選んだ私にとって、日本が近代的な貨幣制度を整え国力をつけていくプロセスを知ることができる興味深い授業でした。授業時には、さまざまな業界の第一線で活躍する方をゲストスピーカーとして招いてくださるので、将来の年齢の重ね方をイメージしながら、最前線の話を聞くことができる点でも意義深いと思います。
また、心理学Bの授業で、人間のさまざまな行動に影響を与える要因について学んだことが、部活動で後輩を指導する際の伝え方や、やる気の引き出し方など、部員をまとめる上で、非常に役立ちました。
武田:狩野良規先生のゼミナール(ゼミ)でヨーロッパ研究を行っています。3年次後期に取り組んだゼミでの論文執筆は特に心に残っています。入学前から学びたいと思っていたヨーロッパ内の格差をテーマにして、とても興味深く取り組めました。第2次世界大戦中にそれぞれ異なる国の少女によって書かれた『アンネの日記』と『レーナの日記』を比較研究するという私にとってはチャレンジングな内容だったため、苦労することも多かったのですが、先生や他のゼミメンバーに助けられながら論文を完成させました。さらに今年度は冷戦時代のヨーロッパの格差について研究を進めていきます。
多様な選択肢の中で
自分を磨くことができる青学
-卒業後はどんな仕事をすることを考えていますか。
木原:私は小学生の頃から渋谷駅をよく利用してきましたが、この10数年間、渋谷駅周辺は再開発が進み、日々新しい姿に生まれ変わっています。その様子を長い間見てきて、街のあり方は人々の生活に大きな影響を与えるファクターだと感じています。将来、このような都市開発を自分でも手がけたいと考え、不動産業界への就職を目指しています。
武田:学んだことを生かし、将来は、格差や環境など、社会問題の改善につながる仕事に就きたいと考えています。今、金融業界を就職先として考えています。どのような立場、活動内容であれ、お金はあらゆる場面で必要となります。そのような重要な役割を持つお金に携わる金融業界の中でも、社会貢献度が高い企業への就職を希望しています。
-本学を目指す高校生や在学生にメッセージをお願いします。
木原:青山キャンパスのある渋谷・表参道エリアは、カルチャーやファッションの最先端が集まる地域です。ここで4年間を過ごすことで、得られるものは大きいと思います。私自身、思考も身だしなみも少しずつ洗練された実感があります。将来を考える上で、先輩や卒業生にロールモデルとなる方がたくさんいます。このよい環境を生かして自分を磨いてください。
武田:私は、国際政治学科に在籍していますが、学ぶうちに専門的に学びたい領域が変化してきたこともあり、国際コミュニケーション学科のゼミを選んで有意義に学ぶことができています。部活動でも成果を出すことができました。青山学院大学は、何かをやりたいと思ったら、それを実現する幅広い選択肢がある大学です。やりたいことに存分に挑戦してください。
経済学部 経済学科
経済とは人々が生存していくことであり、多様な要因にもとづいて成り立っています。それゆえ、その理解には幅広い視野が求められます。青山学院大学の経済学部においては、このような経済を学ぶ場として多様なテーマの研究が蓄積されており、公正な社会の創造を目指して本質を理解し論理的に行動する力を育成します。
経済学の研究対象は労働、娯楽、教育、医療など人々の社会全体に存在します。経済学科では、理論・政策・歴史という伝統的な視点から、資源配分の効率性について学び、より公正な社会の実現に貢献できるよう、分析力、思考力、行動力を育みます。
国際政治経済学部
青山学院大学の国際政治経済学部は国際社会への貢献を掲げ、国際系学部の草分けとして創設されました。3学科×5コース体制のもと、専門性と国際性、現場感覚を重視した学びを実践しています。グローバルレベルの課題への理解を深め、エビデンスにもとづいて議論・討論するスキルを養成します。領域を超えて学べる独自の学際教育、所属学科を超えて選べるゼミナールブリッジや英語で専門科目を学べるグローバル・スタディーズ・プログラム(GSP)等によって、世界の多様な人々と協働し、新たな価値を創造する実践力を育みます。