懸命に努力し、
学び続けた自分を
誇れるように
最優秀賞受賞>
OVERTURE
フランス語の修得を目指し、文学部フランス文学科で学び、2021年度学業成績優秀者表彰において最優秀賞を受賞した矢澤美咲さん。
ひたむきに努力を重ね、学業に励んだ大学生活を振り返りました。
全力で取り組んだハイレベルな会話の授業
私は幼少の頃より英語を学び、進学した高校の外国語科で、カリキュラムの一環として第二外国語に選択したのがフランス語でした。国連公用語に採用され、多くの国と地域で使用されている言語であること、また「ベルサイユのばら」が好きだったことがフランス語を選んだ理由です。それがきっかけで高校時代に3週間、南仏のモンペリエに交換留学し、フランスの自由で開放的な空気やさまざまな文化に魅せられると共に、その時通った現地の学校のクラスメイトたちが2言語、3言語を当たり前のように話せることに触発されて、私も英語だけで満足するのではなく、もう1カ国語くらい心得ていたいと考えるようになりました。そして、青山学院大学の国際色豊かな環境に惹かれ、フランス語を第一外国語として学べるフランス文学科を志望しました。
フランス文学科は、「読む」「聞く」「書く」「話す」を網羅するカリキュラムで、フランス語を実践的に学べるのが魅力だと思います。1、2年次は課題が多く、毎週締め切りに追われてハードでしたが、その分得られるものも大きく、3年次以降の応用の授業に対応する力が養われました。特に忘れられないのは、1年次の「フランス語会話」の授業です。できるだけ高いレベルにチャレンジしようと既修者クラスに登録したのですが、受講生は本格的にフランス語を学んできた人ばかりで、高校の第二外国語程度の知識しかない私とは歴然とした力の差がありました。語彙力が不足し、発音もできず、自分だけができないという劣等感やフランス語への苦手意識に思い悩んだこともあります。また、当時は部活に所属していたこともあって毎日忙しく、学業に満足に取り組めていなかった時期もありました。一から語学を修得することの難しさを痛感し、苦しくて逃げ出したい気持ちと葛藤しながらなんとか日々を過ごしていました。周りの友人たちがフランス語に長けているのは、これまでコツコツ努力してきた結果なのだと感じ、せめて皆と渡り合えるようになりたいという思いで必死でした。苦しい思いもしましたが、引き続き努力した結果が、留学にチャレンジしたいと思えたこと、また、フランス語とポジティブに向き合えることにつながったのではないかと考えます。
パリへの短期留学とゼミナールでの充実した学び
授業だけでなく、少しでもフランス語力を向上させたいと、実用フランス語技能検定試験に挑戦し、2年次の春休みには1カ月間パリに短期留学しました。はじめは習ったはずの言葉も咄嗟には口から出てこず、もどかしい思いをしましたが、語学学校のクラスメイトも皆同じように悩み、いろいろな形で努力している姿を見て、「私も頑張らなければ!」と多くの刺激を受けました。語学学校やホストファミリー宅でひたすら話して言葉を体で覚えるように努め、街ではフランス人の言動を観察し、真似してみたりもしました。そうすると、こういう時はこう話せば通じるのだ、というのがつかめてきて、その後の学びの大きな糧となる自信を得ることができました。
現在は、日本語とフランス語の言語比較や戦後フランスの思想家についてなど、興味のある分野を幅広く学びながら、3年次から所属しているドルヌ,F.先生のゼミナールで日本とフランスの文化比較の研究を行っています。研究テーマは学生がそれぞれの興味に応じて主体的に決めることができ、私はこれまでに「アニメーション」「食文化」と全く異なる分野のテーマに取り組んできました。ドルヌ,F.先生とのコミュニケーションやプレゼンテーション、レポート等は全てフランス語で行うため大変ではありますが、好きな分野の知識を深められることが楽しく、それと同時に日々フランス語のスキルも磨けて、大変充実しています。
スカッシュサークルで全国大会出場の目標を達成
学業以外では、2年のときに友人に誘ってもらって入ったスカッシュサークルで、全国大会出場を果たすことができたのも思い出深いです。全国大会を目指しながらも、勉強の時間はしっかり確保したかったので、限られた時間内でいかに集中して効果的な練習をするかを心掛けていました。普段の練習からいつも自分なりの目標を持って一つひとつのラリーを行うようにしたり、実力のある先輩や同期と一緒に練習し、アドバイスをもらったりしていました。そうしたことが実を結び、学業と両立して結果を出すことができたのは、とても嬉しく、達成感がありました。
これからも努力できる人間でありたい
今回の受賞は「何かの間違いではないか?」と思うほど思いもよらないことで、非常に驚きましたが、これまで重ねた努力の結果表彰されるという念願が叶い、家族と大喜びしました。3年次からは就職活動が始まり忙しくなる一方、コロナ禍で授業がオンラインになり、当初はどのようにモチベーションを保てばよいか悩みました。それでも、毎日やるべきタスクを書き出して机の前に貼るなどして自分を鼓舞し、真剣に、丁寧に、授業に取り組んできたことが認められたのだと感じています。受賞を知ったのは、就職活動が終盤となり、不安でいっぱいの時期だったので、本当に励みになりました。面接の場で、自信を持って大学で学びに励んだことをアピールできるようになりましたし、自分はどのような人間かと問われた時に、「私は努力できる人間です」と胸を張って答えられるようになりました。
今、振り返って思うことは、この受賞は私一人の力では成しえなかったということです。この学生生活を振り返ってみて、私は、フランス文学科の友人や部活・サークルの仲間、留学先で出会った友人たちにも、本当に恵まれていると思いました。どんなに苦しくても、その逆境を乗り越えて努力し続ける人が私の周りにはたくさんいました。そんな人たちに刺激され、鼓舞されたからこそ自分も「努力できる人間」になれたのだと考えます。
卒業後は、新卒の就職支援をする人材会社で働く予定です。私自身が就職活動で悩むことが多くあったので、自分が感じたことや経験を、これから就職する人たちにつなげていければと思っています。仕事でフランス語を使う機会はなかなかないと思いますが、私ならではのひとつのスキルとして、今後も大切にしていくつもりです。そして、社会に出ても一生懸命に学ぶスタンスを継続し、努力できる人間だと誇れる自分でありたいと思っています。
在籍している学部
文学部
青山学院大学の文学部では、「人類への奉仕をめざす自由で幅広い学問研究」を行うという大学の理念のもと、歴史ある人文学の成果を共通の知的基盤として、文学部を構成する5学科それぞれの専門性に立脚した目標を設定しています。英米文学科、フランス文学科、日本文学科、史学科、比較芸術学科は、その学問領域の特徴を基礎とし、学生一人一人が人間と文化の多様な営みを理解すること、そのための資質を形成することを教育の目的としています。