効率を良くしたい。その思いで学んだ機械学習とデータ分析で世の中を便利にする
理工学部 経営システム工学科 4年
OVERTURE
生活の効率改善に興味があり、経営システム工学科に進学した須藤優衣さんは、入学後にはじめて触れたプログラミングを駆使して、機械学習を身近なサービスの改善に役立てる方法を研究しています。大学の学びを通し、わからないことがわかる楽しさを味わいながら成長し、身に付けた知識と技術を生かせる将来を切り拓きました。
専門科目も教養科目も幅広く、将来を見据えて学べる
高校の時、チアリーディング部の活動が週に6日あり、勉強と両立するためにどう過ごすべきか効率を考える必要性を感じていました。もともと数学が好きだったので、データを集めて分析することで効率改善ができるのではないかと考えていたところ、経営システム工学という分野を知りました。青学の経営システム工学科に進学を決めたのは、システム関係の会社で働いている父からのアドバイスに加え、データ分析やプログラミングなどの技術を経営や経済の知識を身に付けながら幅広く学べる点が魅力的だったこと、そしてオープンキャンパスで実際に訪れたときに広い相模原キャンパスを気に入ったからです。
これまでに受けた授業の中で、2年次に受講した「経営システム工学の最先端」と「経営システム工学特別講座」は印象に残っています。この時期から、経営システム工学の専門の授業が増えて、特に学修が面白くなりました。「経営システム工学の最先端」は、学科の先生方が交代で受け持ち、各専門分野の最新研究事例やトピックを詳しく解説してくださるという内容です。研究内容が具体的にわかることで、3年次以降に所属する研究室選びの参考にもなり、4年次に取り組む研究を見据えることもできました。
「経営システム工学特別講座」では、卒業生がゲストスピーカーとなって、学科での学びが実社会でどのように応用されているのか、実例を豊富に紹介してくださいました。授業内でも、「この分野に詳しくなりたいなら、この授業を受けた方が良いよ」など具体的に教えていただけたので、目的意識をもって各授業を受けることもできるようになりました。
他大学に進学した友人と話すと、青学は幅広い教養科目や他学科の授業を受ける機会に恵まれていると感じます。「青山スタンダード」科目の「自己理解」は、心理学的なものの見方、考え方を身に付けられる内容で、以前から心理学に興味を持っていたため受講しました。この授業のおかげで自分自身の心の動きを客観的に把握し、他者の行動の理由を冷静に考えられるようになり、日常生活にも良い影響があったと思います。
丁寧な指導と地道な努力で、学業成績優秀者表彰の最優秀賞を受賞
私は大学に入ってはじめてデータを取り扱う上で必須のプログラミング技術に触れました。1年次にはコードの解読が難しく、少し苦手意識がありましたが、「授業後の復習に力を入れる」「やることリストを作成して可視化する」ことを意識し、疑問点があれば先生に質問したり、自分で調べることを習慣にし、苦手にならないように努力を続けました。2年次にデータ分析・機械学習を行う研究室に入るという目標ができたことも勉強のモチベーションとなったと思います。2〜3年次に受講した「計算機実習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」は、技術向上にとても役に立ち、最終的には自分で動画やゲームを作成できるようになりました。
プログラミングを楽しめるようになったことで、授業の課題にとどまらず、一緒に受講した友人とWeb上にあった情報を基に家計簿アプリづくりにも挑戦しました。この経験が、将来アプリ開発などの仕事に就きたいという希望を持つきっかけになったと思います。
学修の理解が深まると勉強がどんどん楽しくなるので、その好循環を繰り返した結果、自分自身の成長を実感できただけでなく、学業成績優秀者表彰の最優秀賞をいただくこともできました。
コスメの口コミレビューを、機械学習を用いて自動で分類する研究
「経営システム工学の最先端」を受講時に、画像や言語のデータを処理することでさまざまな予測ができる点が面白いと感じて、3年次から小野田崇先生の機械学習研究室に所属しています。3年次前期には、機械学習を用いたデータの分析や分類の手法を学び、後期には興味のある分野の論文を探して読んでいきました。私は、身近なものに関係する研究に興味があるので、コスメサイトの商品レビュー分析に関する論文を読んで学び、現在の研究テーマにつなげています。
これから研究しようと考えているのは、コスメサイトの商品レビューを機械的に分類する手法についてです。たくさんのレビューのテキストを「価格」「色」「効果」など、何についてのレビューなのかカテゴリー分類ができれば、口コミを利用する上で格段に便利になります。そのために、どんな分析手法が有効か、つまり分類結果を人間が見たときに最も自然である手法が何であるかを明らかにしたいと考えています。この研究を進めるにあたって先輩の協力も得ており、先輩の先行研究では、商品レビューの中から他とは異なる変わった内容が書かれているレビューを探し出すことが行われています。その研究で使われた分類手法に、それ以外の手法を加えて比較検証する予定です。今は、他の分類手法について詳しく調べて理解を深めているところです。
小野田先生は、2年次に受講した時から、優しく親しみやすい先生だという印象があります。授業では具体的な勉強方法まで教えてくださったことをよく覚えています。その印象は研究室に配属されてさらに強まりました。「自分のやりたいことをやりなさい」と学生の主体性を大切にし、コスメに興味があることを話すと、研究や論文の紹介、研究内容の提案など、細かいところまでサポートしてくださるので、丁寧なアドバイスにいつも感謝しています。
実践的な学びで身に付けた思考力と技術力で、社会に貢献する
残りの学生生活は、卒業研究を残すのみです。自由な時間が増える分、スケジュール管理をしっかり行い、内容の濃い日々を過ごして、先生や先輩のサポートに応える良い研究ができるように頑張っていくつもりです。これまでの大学での学びを振り返ると、学んだ技術をどのように生かせるのか、思考する力が付いたと思います。たとえば私は、レストランでアルバイトをしていますが、学んだ手法を使って作業効率化の方法を考えることがよくあり、日常のさまざまな場面で、データに基づいた改善や効率化の可能性を思考するようになりました。
身に付いた力を生かし、卒業後は、IT関連の企業で機械学習を使ったソフトの開発業務に携わる予定です。技術そのものの研究開発よりも、開発された技術に付加価値を付けること、世の中の人が使える形にすることに興味があるので、就職予定の企業は、ソフトやアプリを自社製品としてつくり、世の中に提供している点が魅力です。
就職後も学びを続けて、技術に高い付加価値を付けて製品化できる人材になりたいと思っています。私がつくったものや考え出したもので、世の中を少しでも便利にすることを目標にしています。
このような未来が拓けたのは、ゼロからプログラミングを始めても、実践的な授業で知識と技術、思考力を磨ける青学の経営システム工学科のカリキュラムのおかげだと思います。専門科目が3分野に渡っていて幅広くバランス良く知識を付けられること、教養科目や文系科目など多分野の学びも充実しているおかげで、ひとつの考え方にとらわれず多方面の視点で考える力が得られました。このことは、就職後にも企画などで生かされると思います。アプリを自主的に開発した積極性は、採用面接でも評価されましたが、与えられた課題にとどまらず、友人と切磋琢磨してお互いを高め合える環境が、成長を促してくれたと思います。数学や数字やデータを用いることが好きな人、経営や効率的な改善手法に興味のある人は、大きく羽ばたく力を養えるこの学科への入学をぜひ考えてみてください。
※科目のリンク先「講義内容詳細」は掲載年度(2024年度)のものです。
理工学部 経営システム工学科
青山学院大学の理工学部は数学、物理、化学といったサイエンスと、テクノロジーの基礎から最先端を学ぶ環境を整備しています。国際レベルの研究に取り組む教員のもと、最新設備を駆使した実験、演習、研究活動の場を提供するとともに、独自の英語教育を全7学科統一で実施。未来志向のカリキュラムにより、一人一人の夢と可能性を大きく広げます。
社会は、人・モノ・お金・情報が複雑に関わり合う多様な組織によって成り立っています。企業やNPOなどの組織を「より良く機能させる」ための技術とシステムを開発し、導入からマネジメントまでの全プロセスを学問領域としているのが「経営システム工学」です。経営システム工学科では、現実社会の問題を把握する知識と工学的な視点を融合させた学びにより、高度で先端的な課題解決力を養います。