国際金融を軸に日本と諸外国の架け橋を目指して。留学から始まる人生の開拓|AGU LiFE

国際金融を軸に日本と諸外国の架け橋を目指して。留学から始まる人生の開拓

掲載日 2024/1/11
No.279
経営学部 交換留学生
(オランダ・アムステルダム応用科学大学)
デービー・タン
Davey Tan

OVERTURE

アムステルダム応用科学大学からの交換留学生として青山学院大学で学ぶデービー・タンさん。将来は、国際金融を軸に日本と諸外国とをつなぐ架け橋になることを目指しています。言語スキルは国際ビジネスの中核になるものと、日本語スキルの向上に励むデービーさんは、「東京で暮らす時間は私にとって『帰宅』の感覚」と話すほど日本での生活に深い愛情を持っています。

日本に対する興味をかきたてたテクノロジーと自動車文化

私は、父がオランダで生まれ育った移民第二世代、母はマレーシア人というアジア系です。アムステルダム応用科学大学では、国際金融と金融市場調節について学んでいます。多文化・多民族社会のオランダは言語教育が盛んなので、外国語を学ぶことは当たり前という環境で育ちました。母語のオランダ語の他、言葉を覚え始める頃から英語を学び、またフランス語とドイツ語は中学から履修が義務だったので、4か国語を話すことができます。ここに日本語を加えることができるよう、勉強中です。

日本には家族旅行をはじめ、友人と一緒のこともあれば一人旅を含め何度も訪れており、特別なつながりを感じています。日本に強い関心を持つようになったきっかけが2つあります。1つ目は、テクノロジーです。初めて日本を訪れた2000年代、人々が電車の中で携帯電話をあたりまえのように使っている光景に驚きました。オランダが数年遅れをとっている中、日本の携帯電話は「通話をするためのツール」を超えて、独自のインターネットサービスが利用でき、カメラ、支払い、テレビ視聴機能等、様々な機能を搭載するようになっていることを知り、非常に興味深いと感じました。

2つ目は自動車です。海外でJDM(Japanese domestic market)として知られる、日本の自動車メーカーの右ハンドルの中古車を、海外の視点でカスタマイズする文化を愛好しています。YouTubeチャンネル「スティーブ的視点 Steve's POV」がお気に入りです。テキサスに住むアメリカ人のスティーブが、日本で生活していた時の経験に基づいて、車だけでなく生活文化も含めて日本と海外の違いを日本語で発信するチャンネルで、日本という国に対する興味をさらに深めるきっかけになりました。いつか日本で自分の車をカスタマイズして走らせたいと考えているので、日本の運転免許を取得する方法を調査中です。

東京タワー。新たな高みへ昇り続け、平凡な眺めには決して満足しない人生を!

国際金融を軸に日本と諸外国をつなぐ架け橋を目指して、日本への留学を計画

言語スキルは国際ビジネスの中核になるものと考えています。ヨーロッパで多様な言語に囲まれて育ってきましたが、この言語的素養に日本語が加われば、アジアでのビジネスの門戸を広げる鍵になると考えています。将来的には、国境を超えた金融商品のトレーディングを軸に、日本と諸外国をつなぐ架け橋、より踏み込んでいえば、日本の社会や経済に良い影響を与えられる、貢献できる存在になりたいと考えています。

その目標を実現するために、日本に留学したいと家族に話しました。「旅行」と「生活」するというのは全く違う経験であること、日本で学生生活も経験したいですし、日本の仕事やビジネスの習慣に触れておく必要があると考えたからです。

2019年後半に来日して日本語学校に入学しました。これまでの旅行で知り合った日本人の友人、日本に住んでいる外国人の友人、それぞれから貴重な情報やアドバイスを得て、東京で生活をスタートさせたのですが、COVID-19の感染拡大によってすぐにオランダに戻ることになりました。帰国後は、『みんなの日本語』のような教科書を使って独学を続けましたが、オランダで日本語会話の練習をするには限界がありました。読解や理解力に比べて会話能力が後退してしまったことが残念でした。

COVID-19の影響によりキャリア形成の計画が遅れたものの、2023年春、青山学院大学の交換留学生として再来日が実現しました。留学先を決める際も、日本に住む友人から青山学院大学の良さをたくさん聞きました。日本の有名な私立大学で、東京のど真ん中にあり、強い卒業生ネットワークがあると評判です。さらに詳しく調べると、青山学院大学は多くの英語開講科目が開講され、国際的な学びの環境が備わっていることがわかりました。渋谷で国際的な学びが実現できる、そこが決め手となりました。

青山学院大学での学び、あえて日本語を使う環境に身を置く

青山学院大学の授業で、特に興味深く履修している科目は、須田祐子先生の「国際政治経済学概論[英語講義]」です。様々な貿易協定や国際組織の成り立ちから、政治が経済に与える影響について幅広い内容を網羅しています。授業は英語で行われていますが、クラスメートの国籍は多様で、須田先生は各学生から異なる視点を引き出す進め方をされるので、批判的思考力を養う絶好の機会になっています。また、毎回授業終了時に自分の考えをエッセイにまとめて書く授業スタイルも、知識の定着に役立っています。

「国際政治経済学概論」の授業で、東京証券取引所を訪問

履修したい科目が多かったので、他の留学生より登録科目数が多いと思いますが、無理なく学修ができていると思います。予習復習や日々の課題は、授業の空き時間を最大限に活用することが習慣になっています。授業中は集中して積極的に参加して知識を吸収しています。レポートや学期末課題は、締め切りから逆算して長期的・計画的に取り組めば、留学生活を楽しみながら勉強時間を確保できることに気付きました。多くの漢字を学ぶ日本語の授業など、チャレンジングな科目もありますが、継続的な努力と、必要に応じてサポートを求めることによって、全科目で合格の評価を得ることができました。

日本語学校に通っていた時は物足りなさを感じていました。青山学院大学での学びは、留学期間に限りがあり、協定校の学生としての責任を伴っているので、将来の目標に向かって「社会に出るための準備をしている」という実感があります。ちなみに、私が最も好きな日本語は「改善」です。アムステルダム応用科学大学の「経営学入門」という講義を通じてこの日本語を知りました。絶えずの進化と向上を意味する「改善」の概念を私の人生に取り入れることで、常により良い答えを探し求め、非効率を減らして、成長することができると確信しています。

東京で過ごす時間は「帰宅」の感覚、青山学院大学から始まる人生の開拓

東京での留学生活は、日々、時間を効率的に使うことと、生活のリズムを保つことを強く意識しています。授業の空き時間は、キャンパス中庭の国際センター近くのテラス席で、勉強をしたり、課題に取り組んだりして有効に過ごしています。友人との交流を楽しむ時間でもあります。16歳から投資を始めた経験を生かして、毎週1回、友人に投資の基礎知識を教えています。また、筋肉トレーニングも私の生活に欠かせない要素なので、キャンパス内のフィットネスセンター内のジムに定期的に通っています。

「青山学院大学フィットネスセンター」のジムをフル活用し、筋トレを欠かさない

平日の帰宅後は、自分自身が行う投資のための情報収集、そしてアメリカの金融市場を観察することに時間を費やしています。学業の負担にならない程度に両立を図りながら、さまざまな投資戦略を探求しています。週末は家事をして自宅を整えて、新しい一週間を迎える準備をします。その後、夜は、若者が集まる渋谷のお店に友人と出かけて音楽と飲食を楽しんだり、洗練されたレストランやカフェで人脈を広げたりして過ごしています。東京に住んでいるからできる刺激的で充実した至福の時間になっています。

日本語のスキルを高めるための最も効果的な方法は、日本語を使わなければならない状況に積極的に身を置くことです。それは、友人の通院のサポートや、公園やバーで知り合った日本人との会話も含まれます。キャンパス内でも、私は多くの日本人学生と積極的にコミュニケーションをとるよう努力しています。日本語が十分に通じなくても交流をしたいという気持ちを自分から伝えることによって、日常的に様々な会話の機会が増えてきました。語学力の問題でコミュニケーションが難しい瞬間があっても、日本人の友人たちが私の理解を想像して、簡単な日本語の表現に置き換えて話してくれるので、日本語での対話がスムーズになってきた実感があります。

説明するのは難しいのですが、私は日本にいる時は「自宅」で過ごしているような安心感があります。私はここで生まれ育ったわけではなく、言語も母国ではありませんが、日本こそ自分が身を置くべき場所であり、戻るべき場所だと思うのです。不思議なもので、オランダに戻ると、一時的な休憩地点にいるように感じます。2回目の「日本に住む」という体験から、日本の生活様式やその便利さが私にとってすでに「日常」となっているからでしょう。

青山学院大学で過ごした半年間で、旧友との再会や新たな友情の芽生え、そしてネットワークを広げて、有意義な人間関係を築くことができました。この経験は、私が志向する「架け橋」としての役割の大切な節目となっています。

交換留学を終えた後、日本でインターンシップをする予定です。留学終了後も日本での生活を望むのは簡単なことではありませんが、できる限り東京に留まり、将来的に日本社会に何かを還元できるよう、その準備をしたいと願っています。そして、アムステルダム応用科学大学を卒業後は、日本で長期的に働く機会を追求していくつもりです。

関連リンク:デービーさんのAGU LiFE英語インタビュー記事はこちら

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