化学と生命科学の分野を超えて、自分の興味を掘り下げる|AGU LiFE

化学と生命科学の
分野を超えて、
自分の興味を掘り下げる

掲載日 2023/1/17
No.207
理工学部
化学・生命科学科 4年
青島 友葵
神奈川・私立鎌倉女学院高等学校出身

OVERTURE

理系分野の中でも有機化学、無機化学、生命科学、物理化学、分析化学の5分野 を総合的に学ぶ化学・生命科学科。「学習内容が多岐にわたる分、総合的な視点を身に付けられるのが本学科の魅力です」と話す青島友葵さん。健康に関わる基礎研究や医薬品開発に興味があった青島さんは、化学と生命科学の分野を超えた学びを求めて本学科の門を叩きました。現在は阿部文快研究室に所属して、卒業研究に勤しんでいます。

実験科目で説明する力が飛躍的に向上

化学・生命科学科は、実験科目の多いことが特徴です。3年次前期に履修した「生命科学実験Ⅰ」は、遺伝子クローニングやゲノム編集など6つのテーマの実験をグループに分かれて実行し、結果を解析してレポートにまとめ、さらにプレゼンテーション・ディスカッションを行う授業です。実験内容や結果、それを踏まえた考察を自分自身が深く理解した上で、相手にわかりやすく伝えることの重要性を痛感し、自信をもってプレゼンテーションに挑めるよう、主体的に取り組みました。経験を重ねるに従い、自分の考えを理解しやすい言葉にして簡潔に説明できるようになったと自覚しています。この授業を通して、DNAを扱う実験手法の原理に興味が湧きました。特に酵母や大腸菌を用いた実験がおもしろくて、実験結果を報告する発表や討論にやりがいを感じたこともあり、担当教員の一人である阿部文快先生の授業「バイオテクノロジー」を3年次後期に履修することにしました。

「バイオテクノロジー」では、微生物学や遺伝子組み換え技術という生命科学関連の研究に必須の基礎知識と、これらの知見・技術が食品化学や医薬品化学、産業にどのように利用されているのかを学びます。印象に残っているのは、クラスのみんなで教室の外に出てキャンパス内の土などを採取し、そこに生息している微生物を培養してみたことです。一週間後、シャーレの中は白いカビで一杯になりました。土や体の表面に付着している微生物が繁殖した結果を、自分の目で初めて確認することができました。分子遺伝学や細胞生物学を専門としている阿部先生の“微生物に対する愛着”を、クラスの仲間と少しだけ共有できた楽しい思い出です。阿部先生は、学生の疑問や質問に丁寧に答えてくださいます。鋭い質問に対しては褒めてくださり、また学生の思考に寄り添った話をしてくださるので、もっと学びたいもっと知りたいと学習意欲がどんどん湧いてきます。生命科学の奥深さやおもしろさを毎回実感しながら成長できています。

生活習慣を見直すきっかけになった授業「健康医学」

私は健康や医療に興味があるため、本学独自の全学共通教育システムの青山スタンダード科目では、「健康医学」を履修しました。食事や運動などの日常習慣が将来の健康にどのような影響を及ぼすのか、大学生のうちから健康的な生活習慣を確立することがその後の健康維持においてもいかに重要であるのかが授業の大きなテーマです。具体的には、食生活や飲酒、たばこ、妊娠、性感染症などに関する現代社会の傾向と、健康に過ごすための基礎知識を学びました。
大学生になると生活の自由度が増して、どんなことにも挑戦できる環境が手に入る半面、自分のことは自分で管理しなければなりません。この授業を受けていた2年次は、コロナ禍によりすべての授業がオンラインで行われていました。毎日出される課題も多く、つい食事の栄養バランスをおろそかにしてしまったり、運動をしない日が続いたりしたのですが、こうした暮らしが想像以上に体へ負担をかけていることや、将来的には生活習慣病のリスクがあることを知り、生活スタイルを改善するきっかけとなりました。
若年層に多い病気や健康に関する社会問題などシリアスな内容の多い授業でしたが、小薗康範先生は柔らかい言い回しやユニークな表現を使って堅苦しくならないよう工夫されていたので、最後まで興味は尽きませんでした。何より、健康意識を高めることができたのが一番の収穫だと思います。

年次を重ねるたびに広がる学びの幅

1年次で初めて学ぶ大学の専門科目は、高校までに得た知識をさらに深く掘り下げる内容で、今までの理解がいかに表面的であったかを思い知りました。また、青山スタンダード科目で専門科目以外の知識を吸収することのおもしろさに気づいた1年間でもありました。2年次は全面的にオンライン授業となってしまいましたが、自主学習の厳しさを知る一方で、オンライン学習の利点も感じました。特にタイピング技術や、Word、Excelなどのパソコンスキルを効率的に習得することができ、実りある時間になったと感じます。

3年次になって対面授業が再開されると、先生に直接質問できたり、図書館を自由に使うことができたりと学習の幅が大きく広がりました。特にこの年次からは専門科目が増え、週に複数回実験をこなすようになります。分野の異なる多くの先生方と実験内容や研究室について話す機会が増え、今までの自分の学びが将来の研究につながっていることを意識できました。また、3年次では卒業研究に向けた「化学・生命科学輪講Ⅰ」という演習があります。これは学科の先生方が少人数の学生を相手に、専門分野に関連した英語を教えてくださるというものです。本学科では4年次に研究室配属となるのですが、研究には英語の論文や専門書を読んで理解する機会が必ずあるため、この輪講で基本的な英語読解力や専門分野の語彙力を養います。私のクラスでは、有機化学に関するテキストを読み進めました。日本語では既知の知識が英語でどのように表現されるのか、毎回たいへん興味深く取り組みました。

教職課程も成長の糧にして、将来の道を見定めたい

現在は、阿部文快先生の分子遺伝学研究室に所属しています。3年次に時間割の許す限りできるだけ多くの科目を履修し、「バイオテクノロジー」の授業を担当された阿部先生の研究室のテーマに一番興味があり、研究に打ち込みたいと思いました。
本学科では教職課程を履修し、条件をクリアすることで、中学と高校の理科の第1種教員免許状を取得できます。教職課程の履修によって時間割の重複により学科科目を履修できなくなる点はありますが、教職科目でなければ学べないことも多く、専門科目以外に「教育」というテーマを真剣に考える機会が得られることは大きなメリットです。私の高校時代の恩師も、大学時代にこのように多岐の分野にわたる科目を学んでいらしたのだと、教職課程を履修したことで、改めて教員になる大変さを実感しました。卒業後は大学院に進学します。将来のことは、大学院に進んでさらに研鑽を積んでから決めようと考えています。

インタビュー動画

※各科目のリンク先「講義内容詳細」は掲載年度(2022年度)のものです。

理工学部 化学・生命科学科

青山学院大学の理工学部は物理、化学、生命科学といったサイエンスと、テクノロジーの基礎から最先端を学ぶ環境を整備しています。国際レベルの研究に取り組む教員のもと、最新設備を駆使した実験、演習、研究活動の場を提供するとともに、独自の英語教育を全7学科統一で実施。未来志向のカリキュラムにより、一人一人の夢と可能性を大きく広げます。
「化学」とは、物質の本質とその可能性を分子レベルから探究する学問です。それを基盤として、生命現象の本質を分子の性質とその相互作用に基づいて理解を深めていくのが「生命科学」。化学・生命科学科では、環境、生命、資源、情報をキーワードに多様な選択科目群を配置しています。有機EL照明をはじめとする工業化学や遺伝子関連のバイオテクノロジーなど、最新分野にアプローチできます。

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