グローバルな活動で
国家間の関係向上と
世界の発展に貢献したい
(ホ ナユン)
OVERTURE
世界には、他国と何らかの葛藤を抱える国が少なくありません。そして国家間の問題が個人間の相互理解の機会を少なからず妨害していることも、残念ながら事実といえます。人間同士が友好的に交流できる国際関係を実現させるため、自分にできることを探りたい。そう考えて、韓国から青山学院大学に留学したホ ナユンさんにお話を伺いました。
国際関係と語学を専門的に学ぶために留学を決意
中学3年生の時に参加した日韓中高生交流プログラムをきっかけに、国と国との関係について関心を持つようになりました。国際関係論や国際組織を専門的に学びたいと考え、国際政治学科に進学し、グローバル・ガバナンスコースを選択しました。
青山学院大学を選んだのは、英語をはじめとする語学教育に対して評価が高いからです。国際政治学科では、外国人留学生は、第二外国語として日本語を、第一外国語は日本人学生と同様に英語を履修します。一般的に日本では、留学生の外国語履修は日本語中心になりがちですが、私にとって、英語を集中して学習できる国際政治学科のカリキュラムは大きな魅力です。1・2年次は週3~4回の英語を必修で履修しました。語学科目として学んだ英語を活用し、専門科目を学んだ授業としては、EVANOFF,Richard J.先生の英語講義「国際コミュニケーション総論Ⅰ」「国際コミュニケーション総論Ⅱ」が、特に印象に残っています。EVANOFF先生は、毎回いろいろな国の立場での発言を求められ、私には「韓国の立場で、あなたはどう思う?」とよく質問なさるので、テーマに対して、自分の考えを英語でまとめてから授業に臨むことが、習慣になりました。
ゼミナール(ゼミ)に入る前までの授業は、EUをテーマに国際政治を考える機会が多かった印象です。EUの国際政治上の影響力などを学ぶ「ヨーロッパ政治論Ⅱ」(英語講義)はとりわけ興味深く受講した授業です。新型コロナウイルス感染症の広がりにより世界経済は大きな打撃を受けましたが、EUはコロナ禍からの復興を支える大規模な財政支出計画を立て、「復興基金」を設立しました。異なる歴史・文化を持つ国々が集まった組織でこのような統一的な政策を打ち出せる理由、そして彼らがひとつになれる原動力は何なのか、EUの創設史や現状を学ぶことができ非常に有意義でした。
「パンダ」の背景にある外交政策を研究
3年生になって林 載桓先生のゼミに入り、中国の歴史や国家的特性、政治体制を理解し、未来を展望するための知識と方法を学んでいます。ゼミでは、日本人学生だけでなく、中国人留学生とも日常的にディスカッションをしています。ディスカッションを通じて国際政治を見る新しい視点が生まれ、現在、私が興味深く取り組んでいるのは、中国が外交の手段としてパンダを他国へ送る「パンダ外交(Panda diplomacy)」についての研究です。動物園で見るかわいいパンダの背景に実は中国の外交政策があり、パンダの貸与政策は、軍事や経済での外交よりはるかにソフトなイメージで大きな影響力を発揮する外交政策の一環としてそのメリットなどについて卒論でも深く掘り下げていきたいと考えています。
本学科の授業は、日本語や英語で討論する機会が多いという特長があります。その代表が1年次に履修した「入門セミナー」でしょう。授業で学んだ歴史的な事件や国際問題について、任意で賛否に分かれてディベートを行います。私はもともと自分から何かを主張したり、大勢の前で意見を述べたりすることが得意ではなかったため、最初は苦手意識がありました。しかし経験を重ねていくうち、この3年間でかなり上達したと感じます。3年次のゼミではさらに少人数での討論となりますが、1・2年次の経験が非常に役立ちました。また、同じ問題でも人によってそれぞれ観点が違うのだと実感できたことで、自分の視野が大きく広がりました。
将来は韓国で国家間の問題解決に尽力したい
私の将来の夢は、国家間の葛藤を減らし、相互理解を促進するような仕事に就くことです。めざしているのは韓国の国際協力機関やNGOに勤務し、世界の発展と国家間の関係向上に尽力することです。国と国との関係は、政治外交だけで作られるものではありません。私は直接現地に赴き、人々とふれあいながら活動することが重要だと考えます。そこで実際問題となっている課題を見つけ出し、大学で学んだ専門知識をもとに解決策を考え実行できる人材になりたい。国家間の問題解決に向け、グローバルな活動に励んでいきます。
※登場する人物の在籍年次や役職、活動内容等は取材時(2021年度)のものです。
※各科目のリンク先「講義内容詳細」は掲載年度(2022年度)のものです。
国際政治経済学部 国際政治学科
青山学院大学の国際政治経済学部は国際社会への貢献をそのミッションとし、国際系学部の草分けとして創設されました。3学科×5コース体制のもと、専門性と国際性、現場感覚を重視した学びを実践しています。グローバルレベルの課題への理解を深め、エビデンスにもとづいて議論・討論するスキルを養成します。世界の多様な人々と協働し、新たな価値を創造する実践力を育みます。
国際政治学科では国際社会を国際政治学の観点からとらえます。2年次に選択する「政治外交・安全保障」と「グローバル・ガバナンス」のいずれのコースも、大幅に刷新された新しいカリキュラムの下で、国際政治学の「最新」を広く深く体系的に学びます。学びを通じて身に付けた能力は、近い将来に、国際社会の諸問題の解決のために大いに活かされることになります。
国際センター
国際センターは、大学の国際化に関わる教育支援と国際人育成をサポートしていきます。主な業務は、海外協定・認定校を対象とする「学生派遣」と「留学生の受入れ」、短期語学研修などのプログラムやイベント等の企画・運営、および青山学院中・高等部などの設置学校と大学間のグローバル化に関わる一貫教育体制のサポートなどを担います。国々の多様な文化や慣習および学生の異なる価値観を尊重しながら、海外大学と本学との連携をさらに強化・拡充していきます。