公共の目の届かない場で、時には大衆の面前で、秘密結社は暗躍する。マンカラシステムで人々を駆り立て、目的達成への準備を整えるのだ。さあ、買うべきか、買わざるべきか?
子供たちと遊ぶのを前提に、新発売・未発売のボードゲームの購入を検討する記事です。今回は2025年発売予定「クランデスティン/Clandestine」。
画像出典:Brookspun Games; Clandestine 英語版ルールブック (draft, 2024)
★ゲーム内容の確認
1)基本情報:プレイ人数、プレイ時間など
2)テーマ:世界観、ゲームのあらまし
3)外観:絵柄、コンポーネントなど
4)ルール:手順概要、特徴的な要素など
5)遊びやすさ:言語依存、リプレイ性など
6)入手性:価格、在庫状況など
1)基本情報
[1][2]・タイトル:クランデスティン/秘密結社
・作者: Jason Brooks
・絵師: Joan Belda, James Churchill, Meredith Dillman, Diego Sanchez
・原題:Clandestine
・発売年:2025年(予定)
・出版社(一例): Brookspun Games
・プレイ人数:1~5人
・プレイ時間:30~40分×人数
・推奨年齢:14歳以上
[1] Kickstarter: Clandestine by Jason Brooks
[2]Board Game Geek: Clandestine (2025)
2)テーマ
・年代:近代(推定)
・場所:どこかの国
・プレイヤーの立場:秘密結社の主導者
・目的:自集団の目的を達成すること。
・行うこと:
・計画を遂行し、目標達成への準備を固める。
・秘宝を集め、隠された秘密を得る。
・一般人を引込み、目的の達成に利用する。
・公共の視線をそらし、秘密を維持する。
3)外観
・絵柄:色褪せた色彩、劇画風の人物像
・コンポーネント:
・ボード:メインボード1式、個人ボード5式
・木製コマ:約140個
・紙製チップ:約350個
・カード:約290枚
・箱サイズ:30×30cm(カタンサイズ)
・共通ボード:60×60cm程度(組立状態、推定)
・個人ボード:30×15cm程度(推定)
4)ルール
以下、英語語版マニュアル(Brookspun Games、2024年 Draft)を和訳参照した情報。
○基本システム
・共通ボード上のコマ選択と移動
・個人エリアへの物品収集(効果の累積)
○主要物品
・共通エリア:
・町ボード:各人のコマを移動する。
・達成ボード:レベルアップ時のボーナス。
・秘宝ボード:秘宝カードの売場。
・個人物品:
・個人ボード:未使用物品の置場。
・自色コマ:町ボードを移動する。
・手札:活動カードを持つ。
・個人デッキ:個人用山札。レベルアップで追加。
・資源:2種(現金、エネルギー)
○大まかな手順
1)手番制。終了条件を満たすまで続ける。
・開始プレイヤー:いちばん最近、誰かに秘密を託された人。
2)開始プレイヤーから、時計まわりに手番をとる。
3)手番では、以下を順に行う。
①町ボードのリーダー(自分または共通)があるマス1個を選ぶ。
②手札の活動カードを1枚まで使える。
③選んだマスのコマ数を数え、アクション強度を決める。
④マンカラ方式で、そのマスのコマを移動する。
⑤選んだマスのアクションを実行する。
4)以下いずれかを満たしたら、残りの人が1手番ずつとり、ゲーム終了。
イ)誰かがレベル5に達した。
ロ)秘宝カードの山が尽きた。
○勝敗
・終了後、勝利点を集計し、点数が高い人が勝ち。
・主な得点源:
・ゲーム中:各アクション
・終了時得点:達成レベル、秘宝カード、手札、開放した自色コマ
・終了時減点:カオスチップ
○アクション
a)資金:現金を得る。★現金数
b)探索:秘宝カードを得る。★選択肢
c)開示:活動カードを得る。★枚数
d)達成:レベルアップする。★コスト削減
e)浄化:カオス除去+コマを移動。★除去数・コマ数
f)再編:所定コマを移動する。★コマ数・歩数
★:強度による変化内容
○特徴的な要素
- 共通エリアに町ボードがある。
- 町ボードの街路を、コマが移動する。
- 自色リーダー、共通リーダー、共通メンバー、自在メンバー、がある。
- 町ボードは、共通街路と個人街路で構成される。
- 共通街路と個人街路は、一部のマスが共有されている。
- 自色リーダーは、個人街路のみを移動できる。
- 共通リーダー・共通メンバーは、共通街路のみを移動できる。
- 自在メンバーは、すべての街路を移動できる。
- 町ボードの街路を、コマが移動する。
- 手番では、リーダーのいるマス1個を選び、そのアクションを実行する。
- 自色リーダーまたは共通リーダーを選べる。
- そのマスにあるリーダーは2点、メンバーは1点で、強度が決まる。
- アクション実行前に、すべてのコマをマンカラ方式で移動する。
- そのマスから1歩ずつ進み、コマを1個ずつ置いていく。
- 最初にメンバーを、最後にリーダーを置く。
- コマごとの、街路の配置制限を満たすように置く(分岐しうる)。
- 自色リーダーまたは共通リーダーを選べる。
- 達成アクションで、レベルアップする。
- 現レベルは個人ボードのダイヤルで表示。
- レベルアップ時、達成ボードのボーナスを選べる。
- 新たな活動カードが個人デッキに追加される。
- レベル2になると、合成カードも取得。永続効果など。
- レベル5に達すると、終了トリガ。
- 現レベルは個人ボードのダイヤルで表示。
- ゲーム中いつでも、錬金術を行える。
- 錬金術コマを個人ボードに置き、記載効果を得る。
- 必要コストは、主に現金・エネルギー。
- 自色リーダー/錬金術コマを追加する効果もある。
- 錬金術コマは、手番開始時に手元に戻る。
- 錬金術コマを個人ボードに置き、記載効果を得る。
- 錬金術で、秘宝カードを個人街路に挿せる。
- 秘宝カードは、追加アクションや終了時得点などを与える。
- 合成カードには、秘宝カードの配置順が記載されている。
- その配置順を満たすと、特別な行動カードを得られる。
- 秘宝カードは、追加アクションや終了時得点などを与える。
- 個人別に、初期資源や能力、レベルアップ条件などが異なる。
- イ)船員協会:秘宝カードの取得が容易。
- ロ)公園クラブ:現金獲得の専用手段を持つ。
- ハ)マスクの怪人:カオスチップで他者を妨害できる。
- ニ)蛇の守護者:町のマスに特殊効果を設置できる。
- ホ)青い軍隊:共通コマを移動するアクションを個人街路に持つ。
- イ)船員協会:秘宝カードの取得が容易。
- 以下の要素がある。
- カオスチップ:集まると行動制限。終了時減点。
- 活動カード:手番中に使い、記載効果を得る。
- カオスチップ:集まると行動制限。終了時減点。
5)遊びやすさ
・言語依存:
・行動カード・秘宝カードは、文字による処理記載。
・特に合成カードには、細かい文字で長文の処理説明がある。
・カード名の文字記載あり(フレーバー)。
・プレイ人数依存:
・2~5人用:人数に応じて、共通ボードの配置が変更される。
・1人用:ソロ専用のルールで遊ぶ。
・リプレイ性:
・使用物品変化:
・異なる個人能力を持つ5勢力から、各人1個を選んで遊ぶ。
・合成カードは所定数をランダムに選んで使う。
・ランダム要素:
・秘宝カードの出現順はランダム。
・個人デッキの引き(行動カード)はランダム。
6)入手性
[1][2]・キックスターター情報:
・プレッジ元 :Brookspun Games
・プレッジ期間 :2024/11/22まで
・プレッジ金額 :89USドル+送料27USドル
・発送時期 :2025/9
・一般販売予定:
・発売予定時期:不明
・メーカー予定価格:129USドル
・日本語版の発売予定:
2024/11/3 時点、日本語版の発売予定は確認できない。
[1] Kickstarter: Clandestine by Jason Brooks
[2]Board Game Geek: Clandestine (2025)
★考察:「クランデスティン」の魅力と懸念点
ゲーム内容の確認結果から、魅力と懸念点をまとめます。
◎魅力を感じた点
- 秘密結社。それぞれの目的を持った秘密結社を駆り、町の表に裏に暗躍する、というテーマが魅力的。実際に、街路は共通エリアと個人エリアに分かれている。自陣に潜伏してひっそり準備を整えたり、タイミングを見計らって公共の場に姿を現したりと、秘密結社らしい体験を楽しめそうだ。
- マンカラボード。町はループ状になっていて、コマをマンカラのように移動させる。メインループとサブループに分かれているので、うまく先を考えてアクション実行するマスを選ぶ必要がある。悩ましいパズルを楽しめそうだ。プレイ人数によってボードが組み変わって、見た目が大きく変わるのも楽しそうだ。
◎懸念点
- 細かいルール。基本アクションの処理が煩雑に感じる。マスにあったコマ数でアクション強度が決まるが、この強度の使い方が、アクション内容によって全数だったり1/2だったりと、一貫性がない。個人ボードに細かい文字で記載されているが、それでもかなりの注意力が必要だろう。さらに各アクションには、細かいルールも付随する(例えば、自色リーダーを開放するとき、所定条件を満たしたときはカオスチップを取る、など)。処理が正しいかばかり気になって、チマチマしたプレイ感になってしまいそうだ。
- 言語依存。細かい文字で記載されたカードが多い。本製品の場合、個人デッキの個人別カードになるので、非常に種類が多く、覚えるのは容易でないだろう。子供たち(娘13歳、長男10歳、次男8歳)を交えてスムーズに遊ぶには、相当にハードルが高そうだ。
★判定結果:「クランデスティン」は買うべきか?
以上を踏まえて、「クランデスティン」を買うべきかどうか、判定しました。
判定結果:うちには必要ない。
※ぜひ買いたい/気になる/うちには必要ない、の3段階評価。
「秘密結社」を率いるという、うさんくさいテーマが魅力的。プレイ人数によって組み替えるマンカラボードも見映えがします。ただ、細かいルールが多く言語依存もアリアリで、爽快感が皆無のゲーム体験になりそうな予感がします。残念ですが、購入は見送りです。
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