ジャンパーホック金具の取り付けかたを書いてみます。
【形状・構造】
ジャンパーホックは、次の写真ような形をしています。
オス(♂)側のセットは、「アシ(ホソ)」と「ゲンコ」、
メス(♀)側のセットは「アタマ」と「バネ」、です。
写真の左側の上下パーツ、右側の上下パーツを、それぞれセットにして、別々の革に取り付けます。
ジャンパーホックは、「ジャンパードット」「ドットボタン」などとも呼ばれます。
「ゲンコ」は「ダボ」とも呼ばれるようですが、この記事では、「ゲンコ」と呼ぶことにします。
「アシ」は「ホソ」とも呼ばれるようですが、この記事では「アシ」と呼ぶことにします。
バネホック金具の4パーツのうち、「ゲンコ」パーツと「バネ」パーツが接合し、留める機能が発揮されます。
【用途】
色々な用途で使われますが、革小物の場合は、大ぶりの二つ折り財布や、ペン差し付きのノートカバーの留めのような、比較的、バネホックよりも強めに留めておきたい部分などに取り付けられることが多いです。
洋服のアウターに使われていることも多いです。
【取り付けかた】
<用意するもの>
・ジャンパーホック金具 1組(4パーツ)
・ジャンパーホック用打ち具(下記の※1、2を参照)
・ポンチ(ハトメ抜き)
・金属製以外のハンマー(木槌など)
・打ち台となる金属板(オールマイティプレートなど)
・ゴム板
※1:打ち具は、ジャンパーホックの種類(サイズ)により、異なるものを使います。
※2:金具と打ち具のメーカーは、同じメーカーで揃えることをお勧めします。
メーカーが異なると、サイズが微妙に合わず、取り付けられないことがあります。
結論から言うと、次の図のような取り付けを行います。
図の左側がメス(♀)側の金具、右側がオス(♂)側の金具
バネホックの取り付けは、
革Aにオス(♂)側の金具のセット(ゲンコ、アシ)を、
革Bにメス(♀)側の金具のセット(アタマ、バネ)を、
それぞれハンマーでの打ち込む作業が必要です。
各パーツの名称はあまり覚える必要はありませんが、下記の説明で必要なため、記載しておきます。
まずは、ジャンパーホックのオス(♂)側の金具を付けていきましょう。
1. ジャンパーホックを付けたい所に印を付ける
ジャンパーホックのオス(♂)側の金具を付ける革を、革Aと呼ぶことにします。
革Aの、ジャンパーホックを付けたい位置の中心に、鉄筆や目打などの先の尖った用具で、印(点)を付けます。
2. 適したサイズのポンチ(ハトメ抜き)を用意する
まず、ジャンパーホックの「アシ」パーツを革Aにセットしたいので、革Aに金具を通すための穴を開けます。
ポンチ(ハトメ抜き)を用意します。
用意するポンチのサイズは、次の写真を参考にして決めます。
「使用するジャンパーホックの「アシ」パーツが、ポンチの穴にギリギリ入るサイズ」を探します。
Measure the size of the 'post' part (the red circle) of the dot button.
3. ポンチの跡を付ける
ジャンパーホックを付けたい革Aの箇所(手順1.で印を付けた所)に、ポンチを当てて、軽く跡を付けてみます。
丸いポンチの穴に対して、手順1.で付けた点の印が中央に来るようにします。
点が中央でない場合は、ポンチの跡を付ける位置を調整しましょう。
4. ポンチ(ハトメ抜き)で穴を開ける
手順3.で革Aに付けた丸い跡に沿って、ポンチで穴を開けます。
まず、ポンチを丸い跡の上に置きます。
木槌でポンチの頭を叩いて、穴を開けます。
※ポンチが欠けてしまう恐れがあるため、金属製のハンマーは使わないようにします。
穴を開けました。
5. ジャンパーホックのオス(♂)側の金具(「アシ」、「ゲンコ」)を、革Aに取り付ける
まず、ジャンパーホックの「アシ」パーツを、手順4. で革Aに開けた穴に通します。
このとき、革Aの床面(裏)側から「アシ」の脚部分を差し込みます。
すると、革Aの吟面(表)側に「アシ」パーツが少し出る状態になります。
さらに、革の吟面(表)側に少し出た「アシ」パーツの上に、「ゲンコ」パーツをかぶせます。
Cover the 'post' part with the 'stud' part.
ここまで用意ができたら、打ち具で金具を打ち込んでいきます。
はじめに、ゴム板を用意します。
その上に、金属板(オールマイティプレートを使う場合は、平らな面)を載せます。
Rubber plate & almighty plate
その上に、革Aを、「ゲンコ」パーツが上側になるように置きます。
打ち具を、「ゲンコ」パーツの穴に対して、垂直に置きます。
打ち具の上から木槌で少しづつ叩いて打ち込み、金具パーツどうしをしっかりと付けていきます。
強く打ち込み過ぎて、「アシ」パーツのお皿の部分が変形しないよう気を付けます。
※打ち具が欠けたりするため、金属ハンマーを使わないようにします。
「アシ」パーツの脚部分の上部が、打ち具によって外側に曲げられます(「アシ」パーツを真横から見た図を写真内に赤色で示しました)。
写真では少しわかりづらいですが、これで「アシ」パーツと「ゲンコ」パーツが合体し、革Aに固定されました。
6. ジャンパーホックのメス(♀)側の金具(「アタマ」「バネ」)を取り付ける
次に、ジャンパーホックのメス(♀)側の金具を取り付けます。
取り付ける革を、革Bとします。
まず、革Bに「アタマ」と「バネ」パーツを付けるための穴を開けます。
(穴の開けかたは、手順4. までを参照)
穴の大きさは、「アタマ」パーツの脚部分の直径(写真の赤丸の部分)が革Bにギリギリ入る大きさで開けます。
穴を開けたら、革Bの吟面(表)側から「アタマ」パーツをはめ込みます。
はめ込むと、革Bの床面(裏)側に、少し「アタマ」パーツの脚部分が出ます。
次に、革Bの床面(裏)側から「バネ」パーツをかぶせます。
革から少し出ている「アタマ」パーツの脚部分に、「バネ」パーツの穴部分を合わせて乗せます。
Set the 'socket' part of the dot button to the 'cap' part.
準備ができたら、金具を打ち具で固定していきます。
はじめに、手順5. と同じように、ゴム板の上に、オールマイティプレートを、くぼみがある面を上向きにして、載せます。
オールマイティプレートのくぼみの上に、革Bを、「バネ」パーツが上側、「アタマ」パーツが下側になるように置きます。
金具を置くオールマイティプレート上のくぼみのサイズは、最も金具の「アタマ」パーツとサイズが合うものを選びます。
※オールマイティプレートを使うことで、「アタマ」パーツの丸みが凹まないように取り付けることができます。
打ち具を、穴に差し込みます。
打ち込むときは、打ち具を垂直に立てて、木槌で少しづつ叩きます。
強く打ち込み過ぎると、下側の「アタマ」パーツが変形するため注意します。
写真では少しわかりづらいですが、「アシ」パーツの脚部分と同じく、「アタマ」パーツの脚部分の端も、打ち具によって少し外側に曲げられます。
それにより、「アタマ」パーツと「バネ」パーツが合体します。
以上で、取り付け作業はすべて終了です。
最後に、5回ほど開閉動作をして、金具が問題なく革に取り付けられているか確認します。
金具が革の上でクルクルと回ってしまう場合は、金具の打ち込みが緩いです。
その際は、再度、しっかりと打ち込み作業を行います。
強く打ち込み過ぎないように、様子を見ながら行うと良いと思います。
うまく取り付けられましたか?
以上、ジャンパーホックの取り付けかたについて、でした。
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