【逮捕・監禁罪(刑法220条)】
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。
【逮捕・監禁致傷罪(221条)】
前条の罪(220条)を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
1.「逮捕」とは何ですか。
「逮捕」とは、直接的な強制によって移動の自由を奪うことをいいます。
多少の時間継続することを要し、瞬間的なものは暴行となります。
よって、手錠をかける等の行為は、暴行罪が成立します。
2.「監禁」とは何ですか。
「監禁」とは、一定の場所から脱出できないようにして移動の自由を奪うことをいいます。
なお、監禁手段としては、脱出は全く不可能でなくとも、著しく困難であれば監禁罪が成立します。
例えば、無理やり自動車やバイクに乗せて疾走する行為も監禁罪にあたります。
また、監禁は物理的方法のみでなく、脅迫等により心理的に脱出を困難にする場合も含みます。
よって、入浴中の女性の衣服を脱衣場から持ち去り、その女性が羞恥心のために浴室から出られなくなった場合、監禁罪が成立する可能性があります。
3.逮捕・監禁致傷罪とはどのような犯罪ですか。
逮捕・監禁の手段たる暴行、脅迫から致死傷の結果を生じた場合のほか、被害者が監禁場所から逃亡しようとして致死傷の結果を生じさせた場合に、本罪が成立します。
一方で、監禁中に加えられた暴行による傷害であっても、その暴行が監禁を維持する手段ではなく、単に監禁の機会になされたものであるときは監禁罪と傷害罪の2罪が成立します。
また、「傷害の罪と比較して、重い刑により処断する」という意味は、傷害罪(204条)および傷害致死罪(205条)と220条の逮捕・監禁罪の法定刑を比較し、上限、下限ともに重い方をもって法定刑になるという意味です。
具体的には、致傷の場合は3月以上15年以下、致死の場合は3年以上20年以下の懲役になります。
4.逮捕・監禁罪についてのQ&A
被害者に君の家まで送ってあげると騙して犯人の自宅まで連れてこさせた場合、監禁罪は成立しますか。
成立する可能性があります。
被害者の錯誤(簡単にいうと「思い込み・勘違い」のことです)を利用した場合にも監禁罪は成立すると考えられています。
逮捕・監禁事件における弁護活動
1 早期の示談成立
逮捕・監禁事件において、早期に被害者との示談を成立することができれば、検察官による不起訴処分や裁判を経ても執行猶予判決を受けることが可能となりえます。
不起訴処分を受けると前科が付かなくて済みます。
なお、脅迫罪では起訴されたとしても略式起訴ですむ可能性があります。
できるだけ早く弁護士に依頼することをおすすめします。
2 早期の身柄開放活動
逮捕・勾留されてしまうのは、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるためです。
そこで、弁護士は早期釈放・早期保釈のために証拠隠滅や逃亡の恐れがないことを示す客観的証拠を収集し、社会復帰後の環境を整備するなどして釈放や保釈による身柄解放を目指します。
3 逮捕・監禁罪不成立の主張
被疑者が脅迫行為や強要行為を否認している、あるいは、被害者と言われている方が真の同意のもとで被疑者の部屋や車に乗り込んだ場合、逮捕・監禁罪が成立せず無罪を獲得できる可能性があります。
弁護士は、捜査機関の主張が十分な事実や証拠に基づいていないということを的確に指摘し、不起訴処分・無罪判決に持ち込む弁護活動をします。
逮捕・監禁罪の容疑で捜査機関に捜査され、又は逮捕された方は、すぐに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部の弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件を専門に取り扱う弁護士が、直接「無料相談」を行います。
被疑者が逮捕された事件の場合、最短当日に、弁護士が直接本人のところへ接見に行く「初回接見サービス」もご提供しています。