多忙で体調不良だが、仕事を断るのが難しい|みんなの教育技術

【相談募集中】多忙で体調不良だが、仕事を断るのが難しい

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先生の幸せ研究所

鳥居紗歩

みん教相談室」に50代の女性教諭から相談が寄せられました。専科の授業以外に担任代行の業務や校務分掌が増えて、体調不良が続いているのだそう。この状況に先生の幸せ研究所 コンサルタント 鳥居紗歩さんは、働き方改革を挙げて女性教諭にエールを送りました。

【相談募集中】多忙な上に体調不良のため、学校へ行くのがつらい。のイメージイラスト
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Q. 多忙で体調不良だが仕事を断るのが難しい

小学校教諭34年目、あと3年で定年です。今の小学校に異動して2年目です。異動前に右足を痛め、歩行に支障があったため、体育ができず、学級担任より足の負担がない専科を希望して、4年理科専科となりました。ただし、理科専科だけでは決められている年間700時間に達しないので、年休補助などで学級に入ることになっていました。

昨年2学期、学級担任が数週間休まざるをえない状況の時が2回あり、どちらも担任の仕事を代行しました。しかし、代行で残業だらけになった無理がたたり、右足を庇って左足も痛めてしまいました。運動会の練習シーズンなのに、両足とも痛くて歩行するのさえ困難になり、何も手伝えない自分が悲しく精神的にもつらかったです。

また、3学期はコロナ陽性などで先生の休みが毎日のようにあり、毎日あちこちの学級で代行&理科の実験準備で、休む間もなく残業だらけでした。そうしたら、ある夜、めまいと頭痛で立ち上がれなくなりました。

このように“学校側が困った時にはすべて私が代行をして、その度に体調を崩す自分”という構図があります。校長先生に体調不良を話しても「人手が無いのであなたしかいないのです。」「あなたが1番授業時数が少ないわけですから…」を理由にいろいろ頼まれます。

体調不良は学校では見えず、家に帰って出ているので伝わらない部分もあります。それは新年度になっても変わりませんでした。足の調子がまだ悪く、今年も4年理科専科です。校務分掌が増えて図書館、学級備品、リサイクルと大きいものを担当することになり、新年度は提案など準備がたくさんあり、めちゃくちゃ忙しくしていました。

そこへある学級担当が春休みから病休に入ることになりました。非常勤の先生しか代替できなかったため、「午後の授業〜帰りの会を3か月受け持ってください。」と校長先生に言われました。授業だけと思っていたら、その担任の学年の若い先生から「非常勤の先生がまだ来られないので、学級のお便り(時間割り)を出してください。」と言われました。

最初に校長先生に言われなかった仕事がどんどんやってくるのです。それで本来の理科の準備をする時間がありません。学年の若い先生に「それは私がしなければならないのか、校長先生に聞いてください。」と言ったら、その若い先生が涙ぐんで話しに来たと、あとで校長先生から叱られてしまいました。

なぜ、私が叱られるのか納得いかず「急に予想外の仕事を言われて困っている。」と話しましたが、校長先生は「まずはその学級がうまくスタートを切れるように協力すべきでしょう?」と、まるで私が悪者のような言い方です。結局、私は何でもさせられる便利屋さんにすぎません。

また、残業だらけで超多忙になり、自分の体調が悪くなるだけだと思うと、今の学校にいたい、行きたいと思えません。精神的にもとてもつらく、考えると頭痛がひどくなります。いっそ、早めに退職(校長先生はそうしてほしいのだろうか?と疑いたくなります)した方が、自分の心身のためにはよいのでしょうか? しかし、パソコンやICTが大の苦手なので、今の時代にほかの仕事ができる自信もありません。

どうしたらよいのか途方に暮れて相談しています。明日学校に行ったら、また何の仕事を追加させられるか、校長先生に何て言われるか分からず、行きたくない気持ちでいっぱいです。そんな時は休んでもいいのでしょうか? (みどり先生・50代女性)

A. 「学校が回らなくなる」よりも優先することがあります

学校専門コンサルタントの鳥居です。先生、毎日おつかれさまです。お身体大変な中、多くの業務を抱えてらっしゃるのが想像できました。

自身のお仕事のこと・周りの先生のこと・校長先生のこと……。みどり先生が学校に行きたくないという気持ちになる要因は複雑かと察します。

まずはご自身に優しくすることを優先してください。毎日降ってくるお仕事に対してきちんと向き合い、加えてほかの先生のヘルプにも応えていらっしゃる現状。ほかの人ばかりでなく、みどり先生自身のことも大事にしてください。みどり先生を大切にできるのは、みどり先生しかいません。

「自分に優しくする」観点の一つとして「働き方改革」をご提案させてください。働き方改革とは残業削減だけに思えますが、仕事の効率化だけでなく、同僚との適度な付き合い方や自分の調子を整えることも含まれます。働き方改革とは自分に優しくすることなのです。

具体的には、

■タスクに優先順位をつける(「今日中にやらないと帰れないこと」or「それ以外」)
■体調不良の際はきちんと休む
■休みの日にやりたいことをリストアップする

など、とことん自分に優しくしてあげてください。「そうしたら学校が回らなくなる」「結局ほかの人が大変になってしまう」とお考えになっても、ほかの人に優しくする前に自分に優しくすることを優先して大丈夫です。人は自分のパワーを満タンにしないと、ほかの人に与えられないので、みどり先生のパワーを100にすることを優先してください。

また、校長先生から「人手が無いのであなたしかいないのです。」と依頼されると、返す言葉に困ってしまうというみどり先生のお悩み。目上からの指示に対して角の立たない断り方として、理由と併せて断ってみてください。

「通院がある」「身内の世話がある」など、みどり先生がご苦労している背景も併せて伝えてみてはいかがでしょうか。時間を理由にすると相手への印象を悪くしてしまうことが、心理学の研究でわかっています。「どうしても変えられないこと」を理由としてみてください。

それでも依頼が絶えない場合は、依頼されたときに代替案を出しながら業務量を調整しましょう。

「全部は難しいですが、今週中にここまではできます」
「今の業務の優先順位を下げればできます」
「来週中であれば可能です」

など、みどり先生の業務量もお伝えしつつ、全ての仕事を一気に請け負うのではなく、一部のみを受け入れていく作戦をとってみるのもいいと思います。

限られた時間の中で、身体的にも不安を抱えているみどり先生が、「今、自分にできる仕事はこれが限界です」と、宣言してしまうのも妙案です。 そう“働き方宣言”をすることで、みどり先生の時間を守ることができます。

また、先生方も学校の働き方改革に対して興味や関心が高いと思いますので、ポジティブに発言すれば、前向きに捉えていただくことができるかもしれません。

ほかにも私の知り合いの先生で、毎朝「ジャーナリング」(頭に浮かぶことを紙に書き出して心を整える手法)を行っている方もいらっしゃいます。不安や心配事、悩みや感謝などを毎朝ひたすらノートに書き出すという、気軽に始められる自愛の方法です。「書く瞑想」と言われていて、ヨガや座禅に似た効果が得られて、その日を心穏やかに過ごせるそうです。

好きなアロマを焚いたり、好きな音楽を流したり、好きなコーヒーを飲んだりしながら贅沢な時間を過ごしてみてください。オススメは毎朝もしくは毎晩です。難しければ金曜日の夜など、心落ち着けるときにぜひ取り入れてみてください。

1つだけ、みどり先生とお約束したいです。「働き方改革」や「自分を大切にすること」は楽しんでやってくださいね! みどり先生のための働き方改革なので、みどり先生がやりたいことをやりたいように楽しんでやってみてください!

自分に優しくする方法や具体的な個人での働き方改革の手法がたっぷり載っている「幸せ先生のダンドリ術」という本がありますので、よろしければご覧ください。何かの助けになればと思います。


みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。

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