係活動をもっと楽しく〜「めあて→活動→ふり返り」のサイクルを生かして~
新しい学級で係活動が始まって2、3か月。子供たちは自分たちで工夫しながら活動に取り組んでいるでしょうか。中学年はこれまでの係活動の経験を生かして、「あんなことをやってみたいな」「もっと活動したいな」と、自分たちでどんどん活動を進める力が付いてくる時期です。係という小グループで、「めあて→活動→ふり返り」のサイクルを生かして、自主的に活動することができるよう、教師が支援していきましょう。
執筆/神奈川県公立小学校教諭・山本恭兵
目次
活動のめあてを意識しているか
係で活動する際に、子供は活動のめあてを意識しているでしょうか。活動が停滞してしまう主な原因の一つに、同じような活動ばかりでマンネリ化してしまうことがあります。まずは、子供が活動のめあてを意識しているかを見とりましょう。活動のめあてが意識されていれば、いつまでも同じ活動をくり返すのではなく、工夫をするようになります。
活動のめあてを意識するために
係ごとの相談タイムでめあてを設定
係を編成するときに、子供たちは活動のめあてを相談していることと思います。
しかし、それはあくまで活動前のめあてであり、実際に活動を進めるうちに、当初の想定とは異なることも起きてくるでしょう。そこで、係のメンバーで集まって話し合い、活動のふり返りを基に、めあてを新たに設定する必要があります。
三年生の場合は、朝の時間などを使って打ち合わせができるよう、教師が相談タイムを設けます。「○曜日のこの時間は係相談タイム」のように、毎週の予定に組み込んでおくと、子供たちは自分で動くようになります。
四年生になってくると、特に時間を設けなくても、自分たちで休み時間などに相談することもできるようになります。実態に合わせて、教師が時間を設けることも大切です。
係活動予定表でめあてを確認する
係で打ち合わせをする際に、めあてと実際の活動の予定を記入する「係活動予定表」を作るようにします。活動のめあてを記入し掲示することで、より意識できます。また、活動の予定があるため、忘れずに活動することができます。
ふり返りを次のめあてに生かす
活動をしたら、必ずふり返りをします。このときに、活動のめあては達成できたかを話し合い、次のめあてに生かすようにします。達成できた場合は、めあてをもう少し高くします。これをくり返すことで、だんだんと子供が工夫しながら活動の質を高めていくことができるようになっていきます。めあての設定には教師の助言も大切です。
一学期のふり返りを二学期に生かす
一学期の係活動の総括として、夏休み前にふり返りの機会を設けましょう。ふり返りの中で自分たちの係のよかったところや反省点を明らかにすることで、二学期の係活動に生かすことができます。
この場合のふり返りは、日常的に行っている「活動がうまくできたか」などのふり返りではなく、一歩踏み込んで、「自分たちの活動がクラスのみんなを楽しませたり、クラスのみんなのためになったりすることができたか」という「クラスのみんなにとって」という視点で行うとよいでしょう。
係活動はクラスをよりよくしたり、楽しくしたりするための活動です。係活動が豊かになることで、学級目標にも近付いていきます。
そういう意味で、自分たちだけでなく、友達からの視点を意識することはこれから必要になってきます。中学年の段階で少しずつ意識できるように、取り組んでいきましょう。
子供同士で認め合う
係発表会を開く
自分たちの係の活動内容や、工夫したところ、苦労したところを紹介します。クラスのみんなに詳しく伝えることで、自分たちの活動を改めて「クラスのみんなにとってどうだったか」という視点でふり返ることができます。また、発表を聞くことで、他の係の活動を改めて知ることができます。
メッセージカードを送り合う
同じ係の友達は、互いに一番近くで活動を見てきた仲間です。がんばったところや工夫したところをよく分かっているはずです。そこで、係内の友達とメッセージカードを送り合います。一緒に活動して楽しかったこと、がんばったこと、感謝の気持ちなどを書いて送ることで、「がんばってよかったな」「また次もがんばろう」と達成感を得たり、意欲が高まったりします。
また、他の係の友達にもメッセージカードを送るようにすることで、活動のよかったところやがんばっていたところを伝え合うことができます。
友達から温かなメッセージを受け取ることで、「みんなのためになったな」と、自己有用感を高めることができるでしょう。
活動のふり返りをしたら、記録として残しておきましょう。模造紙にまとめたり、写真に撮って教室に掲示しておいたりすることで、二学期にみんなで見て、一学期のがんばりを生かしながら係活動をスタートすることができます。
イラスト/山本郁子
『教育技術 小三小四』2021年6/7月号より