原田マハさん初読みの「旅屋おかえり」
前から気になっていたのですが、なぜか読む機会がなく、今回初めての出会いです
温かい涙が止まらない、素敵なお話でした。
「旅屋おかえり」登場人物とあらすじ
物語の主人公は、元アイドル、今は売れないタレントの「おかえり」こと丘えりこ
そして、彼女が所属する事務所「よろずやプロ」の社長・萬鉄壁
元セクシーアイドルの事務及び経理担当副社長の澄川のんの
ほっこり旅番組「ちょびっ旅」のスタッフ一同です。
「ちょびっ旅」だけが唯一のレギュラー番組だった「おかえり」が”やらかして”しまい、番組が打ち切られてしまうという崖っぷちに!
もう芸能界を辞めるしかないと落ち込むおかえりに、ある奇跡的な出来事が起こります。
それをきっかけに、旅の代行という不思議な仕事を請け負うことに。
満開の桜を求めて秋田に旅立ったおかえりを待っていたのは…?
舞台は、愛媛県内子町へ。
次の依頼は、よろずやプロとおかえりの未来をも変えてしまうかもしれない重要任務でした。
おかえりの人柄がたまらなく愛しい
旅が大好きなおかえりは、とても優しくて前向きに生きる人です。
依頼人の思いに応えるため頑張る姿がとても愛しく思えてきて、ついつい応援したくなりました。
青空の下の満開の桜を希望した依頼人に応えたかった超晴れ女のおかえりが、雨にたたられて落ち込んだとき、宿のイケメン主人がボソッと
「無意味な旅なんて、ねえべさ」
人は旅に出るだけで意味がある、何かしらの意味をつかむのだと伝えてくれます。
ただ楽しいだけの旅でもいい、失恋を忘れるための旅でも、何かから逃げるための旅でも、その先にはきっと何かが待っていてくれる、その時は気づかなくても何かをつかんでいるのだと。
出来ればそれが、あなたにとって幸せなことならもっとうれしい。
いろんな旅人を迎えてきた宿のご主人の言葉は、おかえりの心に響きます。
素敵な景色が見えてくるよう
旅先でのおかえりが出会う人々や美しい景色の描写も素敵で、懐かしい気分にしてくれます。
登場する人たちがみんな、少し悲しい過去を持ち、それ以上に幸せを願って生きている。
愛媛編では、ボタンの掛け違いが生んだ家族や夫婦のすれ違い、そこから始まる長い長い苦しみにおかえりが立ち向かいます。
人は時に意地を張り、それが原因で一層の悲しみを背負うことがあります。
でもちょっとしたきっかけで、固く閉ざされた心が開くこともあるのです。
叩かれて、叩かれて、強くなった美しい人たち
色々な事情を抱えながらも一生懸命に生きる愛しい人たちをおかえりはこんな言葉で表現します。
自分を振り返ってみても、とても素敵な言葉だと感じました。
叩かれ過ぎて、憎しみだけが残る人生になどしたくない。
強く、美しく、笑って過ごしたいと。
「おかえり」が言える幸せと「おかえり」と言ってもらえる幸せ
おかえりこと丘えりこは、成功するまで実家に帰らないと父や母と約束して東京に出てきていました。
デビュー当時にぼんやり売れた後は、ずっと鳴かず飛ばずの状態の中、結局一度も里帰りをしていないおかえりでしたが、
旅の代行業「旅屋」として新しい道を進み始め、やっと故郷へ帰る決意が出来ました。
「旅屋おかえり」を読み終えて
「旅屋おかえり」は、安藤サクラさん主演でドラマ化されています。
実は、本を読むずっと前に、ドラマの方を見ていたので、ある程度の話は知っていました。
ドラマを見たきっかけは、高知へ旅をする物語だと知ったことです。
高知は、坂本龍馬誕生日であるとともに夫の故郷徳島のお隣さんで、ちょっと親近感を感じていました。
何となく見たドラマでしたが、とても魅力的で静かにでも強く心を捕まれる素敵な作品でした。
そして今回原作を読んでみて…。
とても平凡な言葉ですが、心が温まる、読後感もポジティブになれる物語です。
なにより出会う人たちをほっこり笑顔に変えてくれるおかえりの人柄がとっても素敵。
彼女のような人になりたいと、
おかえりのように、京都の魅力をもっと楽しく、優しく、温かく発信したい。
そんな夢がまた大きくなってしまいました。
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