東京から登りやすくてたくさんの人が訪れる高尾山、先日、日本一遭難者が多い山とのニュースもありました。高尾山は確かに行きやすく初心者向けの山ですが、アラ還はそんな山でも遭難のリスクは高まります。今回は高尾山を例に、身近な山を歩く時に気をつけたいことを、自分の安全登山のためにもまとめてみたいと思います。
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アラ還は遭難のリスクが爆上がり
ちょっと古い情報なのですが、林野庁の報告書では、高尾山で遭難する人のうち、なんと約70%が50歳代以上とのことです。利用者も50歳代以上が約40%と多いものの、遭難率は確実に上がっています。
また、遭難の要因の6割は転倒。歳をとると足腰も弱り転びやすくなりますよね。山での転倒は骨折や滑落などより深刻な遭難につながりますし、そろそろ骨粗鬆症が気になるお年頃のアラ還女子としては極力避けたいところです。
また、これも情報が古いのですが2017年には遭難で5名の方が高尾山系(高尾山だけでなく陣場山の方まで含まれるようです)でお亡くなりになっています。記事のリンクでは高尾山への6号路での滑落による死亡事故もあったようで、本当に気をつけないといけないと感じます。
遭難しないための歩き方
では転んだり滑ったりしないように歩くにはどうしたら良いか、ですが実はそれだけで1冊の本になってしまうくらい大事なこと。私はこの本で勉強しました。
私が歩く時、特に気をつけていることは、
・足の裏全体を地面につけるように歩くこと。
「フラットフッティング」と言うそうです。足全体を地面につければ靴底の摩擦力が大きくなるので、滑りにくくなるらしいのです。
・静かにゆっくり、歩幅は小さく歩くこと。
静かに歩けば滑ったり転んだりしにくくなり、万が一の時も被害が最小限で済みます。免許のある方ならご存知と思いますが、自動車のスピードが遅いほど止まる距離が短くなると、教習所で習ったと思います。それと同じ理由で、ゆっくり行動なら滑っても短い距離ですみ、リカバリーも容易です。
・歩くスピードはなるべくゆっくりで。
また、ゆっくり歩く方ことで体への負担も小さくなり疲れにくくなります。岩崎元郎さんの本によれば、歩幅は自分の靴の長さが目安だそうです。ちょっと遅そうな気もしますが、山はそれくらいでいいのかもしれません。
以前友人と山歩きをした時のことですが、後ろから人が来ているからなどの理由で登りで頑張ってしまい、その結果、疲労や膝の痛みで下山が難しくなったことがあります。そのときはロープウェイやケーブルカーで無事下山できたものの、ロープウェイなどがなければ遭難になっていたのかな、と後で思います。私ももっと強く、ゆっくり歩くようにいえばよかったな、と反省しています。
・体は地面に垂直になるよう意識することで、斜めより滑りにくくなるそうで、気をつけるようにしています。
・高尾山といえどもできるだけ登山靴など滑りにくい靴を履くようにしています。地面が乾いていそうなときはローカットシューズの場合も多いのですが、特に雨のあとなど滑りやすいときは、足首を守ってくれる靴を選んでいます。
キャラバンは私の幅広の足に一番合うシューズ。この色違いを履いています。ゴアテックス素材なのに比較的お安いのもありがたいです。
・状況によってストックも
実はストック使いがあまり得意でない私。今まで装備はしていても使ったことはあまりなかったのです。今では膝のこともありなるべく、特に下山時には使うようになりました。アラ還は頼れる装備はなるべく使ったほうが良いと実感しています。
私は少し古いモンベルのアルパインポールを使用しています。もう少し軽いものに買い換えたいなと思っても、修理代金が比較的安いので長持ちしちゃっています(笑)
高尾山でも危ない場所、危ない時
ところで、高尾山が日本一遭難の多い要因として、来る人が多いことと、ケーブルカーなどで気軽に来れるので楽な山というイメージもあるのかな、と思います。
多分、ケーブルカーやリフトでしか来たことのない方にとって、高尾山はこう見えているのではないかと思います。舗装路で広くて歩きやすい、公園のような山。確かに鎖場や岩場など危ないところはありません。
でも、ちょっとルートを外れれば普通に登山道ですから、山腹を巻くように設けられた道(トラバースと言います)は谷側に落ちれば滑落、遭難になってしまいます。
下の写真は日影バス停から高尾山に行った時のルートです(ちょっと古いので修復されているかもしれません)。ふもと側の登山口には通行止めの表示はなく、うっかりここまで来ちゃいましたが、谷側が崩落していて道幅が狭く、歩いていてヒヤヒヤしました。その先にある4号路の合流地点にはロープでふさがれており、それを見たとき初めて歩いてはいけないルートだったことに気づきました。
人の多い1号路、4号路、稲荷山コースなどを歩くならこのような道に入ることはほぼないとはいえ、ちょっとした道迷いで不安定な道に入り込む危険性もあります。
また、雪の高尾山もきれいなのですが、特に4号路などの北側斜面は登山道が凍結している場合も。私の持っているハイキングの本には「雪の時は登山靴で」とは書いてありますが、アイゼンについては言及されていませんでした。雪の日に高尾山を歩く時、私は必ず軽アイゼンかチェーンスパイクを使用しています。少なくとも脚力の衰えてくるアラ還は、軽アイゼンやチェーンスパイクに頼ったほうが安全だと思うのです。
高尾山でいえば4号路や2号路、6号路などのトラバースでは、滑落に気をつけたいです。3号路もトラバースではありますが、車が通れるほどの道幅があり4号路や2号路よりは安全と思います。
高尾山とはいえ登山届は出しておきたい
高尾山が日本一遭難の多い山である以上、歩くには登山届(登山計画書)を出しておきたいところです。登山届とは、いつ、どの山を、どの予定で歩くのかを記したものです。
高尾山の場合、高尾駅北口や高尾山口駅改札近くに登山ポストがあります。
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ネットで提出の場合、山と自然ネットワークコンパスが利用できます。ヤマレコ の有料会員であれば、ヤマレコ アプリで立てた計画からコンパスに提出もできます。
県によっては警察のHP経由で登山届を提出できるところもあります。以下は埼玉県の例です。
www.police.pref.saitama.lg.jp
コンパスは未対応の県もあるようなので、その場合は登山口の登山ポストやビジターセンター、最寄駅の交番などで提出できると思います。提出場所がわからない場合は郵送の提出も可能です。
登山届を出す時に大事なのは、登山ポストなどに提出するだけでなく、同じ内容を家族などと共有しておくことです。万が一の場合、発見が早くなり助かる可能性が高まります。中には遭難した時の個人特定のためにご自身でコピーを持ち歩いていらっしゃる方も。
若ければ勢いで歩けてしまう高尾山ですが、アラ還が同じことをしたら事故になりかねません(涙)。以前の記事でもご紹介したように、実際、遭難者の7割超が登山届なしとのデータもありますから、ジジババこそ登山計画はしっかり立てて、登山届の提出は忘れずにしたいものです。
地図か登山アプリは必須
高尾山は意外と道が入り組んでいて、人も多いので流れに乗ったら行きたいルートとは違うルートに入ってしまったなんてこともありがち。歩いている間はできるだけこまめに地図を見て、自分が今どこにいるか確認することが大事です。私は地図読みが苦手なので登山アプリを利用しています。「ジオグラフィカ 」「ヤマレコ 」「YAMAP」など、無料で使えるアプリはたくさんありますよ。安全のため、地図もアプリも見るときは必ず止まってから見てくださいね(歩きスマホダメ絶対!)。
geographica.biz
www.yamareco.com
yamap.com
「ヤマレコ 」「YAMAP」なら山歩きの行程を家族に伝えることができます(いずれもアプリの利用は無料)。
www.yamareco.com
help.yamap.com
また、万が一遭難した時に電波を出して発見してもらえる「ココヘリ」を利用すると安心です。(こちらは有料)
www.cocoheli.com
もちろん装備は登山前提で
高尾山とはいえ山ですから装備はしっかりと。急な雨に備えてレインスーツ、これは防寒着にもなりますので特にこれからの季節は忘れずに持参したいです。また、下山が少し遅くなった場合に備えてヘッドライトも。1号路は舗装路で油断しがちですが、霞台(ケーブルカーの高尾山駅)より下には街灯がないのでヘッドライトがないと真っ暗で歩くのが大変です。
高尾山は山頂や霞台には水道も通っていて、お茶屋さんなどでおやつも変えればお蕎麦も食べられるとはいえ、登山道の途中には売店も水道もありません。おやつや飲み物は必ず持参したいです。もちろん救急セットも。
詳しくは以下の記事も見ていただければと思います。
kumamori-hike.com
リフレッシュしたいとき、思い立ったらすぐ行ける高尾山は私にとってのホームマウンテンでもあります。そんないい山、遭難する人が少しでも減ってくれるといいなと思います。もちろん私も遭難しないよう安全登山を心がけていきます!
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