山猫 (Il Gattopardo) : amo il cinema
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山猫 (Il Gattopardo)

私のお気に入り度 ★★★★☆(90点)

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【あらすじ】 1860 年5月、Garibaldiのマルサラ上陸。山猫の紋章を持つSalina家。ブルボン貴族の最後の当主であるSalina公爵Don Fabrizio Corbero(Burt Lancaster)は、貴族社会が衰退していき、貧しい出自で十分な教育を受けていない、ドンナフガータの新町長Don Calogero Sedara(Paolo Stoppa)のような、莫大な資産をもつ新興社会階級が、新たな政治権力を握るであろうことを予感して、憂いに満ちていた。
  Salina公自身は、時流に乗った甥のFalconeri公Tancredi(Alain Delon)が、Don Calogeroの美しい娘Angelica(Claudia Cardinale)と結婚することで、自らの地位を確保する。
 毎年Salilna一家が行く避暑地のドンナフガータに、この夏、北部ピエモンテの役人Chevalley騎士が足を運び、Salina公に新イタリア王国の上院議員への指名を申し出た。しかし公爵は、旧体制のシチリアに縛られている自分に、その役は相応しくないと拒否する。
  Salina公は盛大な舞踏会の終わりに、衰退しつつある貴族階級と、新興ブルジョワジー率いるシチリアの未来について深く考え、自身の道徳的理想や美学の終焉を悟る。Giuseppe Tomasi di Lampedusaの同名小説をもとに映画化。1963年第 16 回カンヌ国際映画祭で、審査員全員一致で最優秀作品賞 Palme d'Or(←音が出ます)を受賞。(作品の詳細


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この映画が忘れられない理由の1つは、187分という長編にも拘らず、美貌のAlain Delonを見たくて、入れ替え制の岩波ホールで10回以上観たから。大舞踏会のシーンではリアリズムに拘るVisconti監督が、毎朝サンレモから大量の生花を送らせ、酷暑のシチリアロケでは出演者の誰もが、あの暑さとホコリに喘いだと。

マッチョで粗野な荒くれガンマンの前歴とは裏腹に、Burt Lancasterが由緒ある名門貴族の頭首として、圧倒的な存在感を屹立させていた。下品なほどの若さや美しさをもつAngelicaの、動物的な魅力に引かれていくSalina公爵が、完全には枯れていない男としての残り火を感じつつ、しかしこれから冬が訪れるように確かに老いがやってくることを、痛いほどに理解している。そんな公爵の姿を描き出した監督の手腕と、それに応えたBurt Lancasterの演技は、もうお見事としかいいようがない。どさくさに紛れて愛人のもとに通う公爵には、人間味溢れた一人の男として好感が持てる。だって公爵夫人が、あんな方ですし。


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華やかな大舞踏会が終わった後、公爵は一人でふらりと会場を後にする。滅びゆくものの悲しみとも、当主としての勤めを全うした充足感ともつかない、大きく小さくうねる複雑な感情。そして自分にひっそり忍び寄る重く荘厳な死の影が、動かし難い説得力をもって観るものの胸に迫る。豪華絢爛たる世界とその落日終焉。こんな空気が、最後のイギリス貴族社会を描いた『日の名残り』にもあった気がする。

その一方でAngelica&Tancrediという新しい世代のカップルに、一族の存続を託し、シチリアの未来への希望をつなげようとする。悲しみだけではありませんね。

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若い頃のAlain Delonは、本当に美しく格好良かった。ちょい役のTerence HillやGiuliano Gemmaも若いが、現在の3人を比べてみると、Giuliano Gemma→Terence Hill→Alainの順に、よい歳の重ね方をしてますかね。

【関連記事】
『山猫』シチリア料理とお菓子
『山猫』よもやま話
『山猫』ロケ地巡礼


by amore_spacey | 2009-09-22 01:51 | ┗ Alain Delon | Comments(6)
Commented by ymomen at 2009-09-22 10:15
こういうのがいかにもヴィスコンティらしい作品だという観念がありました
アラン・ドロンって、わたしはちっとも魅力的だと思ったことがないのですが、自分が歳をとってからその魅力がわかるという場合もありますね
わたしにとってそのひとは、マルチェロ・マストヤニです
アラン・ドロン、いまどんな老人になったのでしょう・・・
Googleしてみます
Commented by マダムS at 2009-09-22 10:20
えーっ!! 10回も御覧になったんですかっ!
しかも、あの岩波ホールで・・。 す、すごすぎます。。

確かにこの頃の(20代)ドロン様は美しいですよね~ヴィスコンティはやはり美男好きですよね(ーー;) 私は30代になってから(冒険者たちぐらいの時)のドロンが好きでした。
うーむ、「山猫」はあもーれさんの記事を読ませていただいて、これはやっぱりリベンジしないといけない作品だとつくづく思います。 今度家でゆっくり再鑑賞しますね。 来年あたり、シチリアへ行きたいと思っているんですヨ(^^) 最近「ゴッド・ファーザー」の3作入りBOX購入して、益々気持ちを募らせておりまする。。
Commented by s_fiorenzo at 2009-09-22 23:12
これは本当に俳優、セットから小物にいたるまで豪華な映画ですよね~
アラン・ドロン、クラウディア・カルディナーレの美しさ、バート・ランカスターの重厚さ、ストーリーが退屈(笑)でも大好きな映画です。
DVDも買ったし、デジタルリマスター版を劇場でやった時も観にいきました。
大画面で観ると映画ならではの画像が映えるというか、10回観にいくのもわかります。
Commented by amore_spacey at 2009-09-23 01:58
☆ もめんさんへ。
私もこれがVisconti監督作品の鑑賞第一号だったので、これが
Viscontワールド!と刻印されたので、『若者のすべて』や『ベリッシマ』の
ようなネオ・レアリズモの色合いが強い作品には、最初の頃は違和感が
ありました。今何回か観ると、どちらも好きですが、より身近に感じるのは
やはり庶民の生活を描いた作品ですね。
Mastroianniもいいですね。母はAlain DelonとMastroianniのファン
なんですョ。
Commented by amore_spacey at 2009-09-23 02:02
☆ マダムSさんへ。
3回めまでは友人が付き合ってくれましたが、それ以上は無理だ!と
4回目からは一人で行きました。そうそう、ちょうどAlainがダーバンのCMで
日本のお茶の間に登場した70~80年代の頃の彼は、俳優としての
キャリアを積み、男としての脂がのって、ぴっかぴかに光ってましたね。
ファンレターを書いたら、大きなポスターと一緒に返事が来ました(*^^*)
『シシリアン』や『ボルサリーノ』を観ていないので、これらは今後の課題です。

わぁ、私もシチリア島に行きたくて行きたくて仕方がないんです。
来年はあちらで待ち合わせして、オフ会しませんか~?って、結構コレ
本気だったりしますョ。前回のイタリア旅行では素通りでしたもんねぇ。
Commented by amore_spacey at 2009-09-23 02:04
☆ ACCOさんへ。
でもやっぱり1入れ替え制のホールで10回も観るのはアホですね、苦笑。
当時はAlainばかり観ていたので、細かいところまでよく覚えていなかった
のだけれど、今じっくり観直してみると(しかし長編ですなぁ)
Burt Lancasterの渋さにドキドキ(*^^*) どーもワタクシはおじさま好みの
ようデス。
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