お米の新商品情報
北海道産米でつくる米料理、時短・簡便ミールキットで需要けん引【ホクレン農業協同組合連合会】
北海道産米でつくる米料理、時短・簡便ミールキットで需要けん引【ホクレン農業協同組合連合会】
豊富な品種を生かして多彩なメニュー
米の食味ランキング(日本穀物検定協会)で、ななつぼしやゆめぴりか等の代表品種が最高ランクを獲得するなど、知名度が高まる北海道産米。その一方で、年々減り続ける米の需要を維持しようと、ホクレン農業協同組合連合会(以下ホクレン)では、時短・簡便のニーズに応える北海道産米でつくるミールキットを発売。パールライス販売課の課長で発案者の今野和人さん、実務を担当した田子博昭さんに話を聞きました。
北海道産米でつくるミールキットは、第一弾として「パエリア」と「中華おこわ」を2022年6月に発売。第二弾の「ジャンバラヤ」と「とり五目おこわ」を23年8月に発売し、和洋中の米料理4品が出そろいました。
- これらのメニューを選んだ理由について、今野さんは「幅広い年齢層の需要をつくるには、驚きやワクワク感が必要。惣菜コーナーにはないものを意識しました」と話します。特に若い層をターゲットにしたのがケイジャン料理の「ジャンバラヤ」です。
長粒米を使うのが一般的な「ジャンバラヤ」や「パエリア」には、北海道産米のきらら397を選定。「粒がしっかりとしていて粘りのないお米が向いています」と田子さんは話します。
- 「とり五目おこわ」に選んだ品種は、北海道産のはくちょうもち。先行の「中華おこわ」にも使用しています。「北海道産のもち米は、冷めても硬くなりにくいのが特徴で、切り餅よりも大福に向いています」と田子さんは言葉を続けます。
ホクレンが取り扱う北海道産米は、もち米は主要なもので3品種、うるち米は10品種以上。「北海道産米は品質が高く、さまざまな米料理に適した品種があることが、商品づくりの強みになっています」と今野さんが話してくれました。
これまでにない商品を開発から販売まで
無洗米とレトルトの具材をセットにした米料理のミールキットは、ありそうでなかった商品です。開発のきっかけは、今野さんが名古屋支店に勤務していた2013年にさかのぼります。
「中京圏で時短・簡便をうたう赤飯がCMを展開して販売されていて、今後は精米だけでなく北海道産米の特徴を生かした時短・簡便な商品を売っていく必要があると思いました」と今野さん。2019年に現在のパールライス販売課に異動し、着想から6年越しでその開発に着手しました。
- しかし、長年米を取り扱ってきたホクレンでも、米のミールキットをつくるのはこれが初めて。先述の赤飯を製造するカネカ食品株式会社(岐阜県)の協力を得て商品開発を進めてきました。無洗米・普通米にかかわらず、米をおいしく炊くために30分~1時間の浸漬をしますが、具材の内容によってその必要がなくなり、米料理の時短が実現しました。
「商品開発の苦労とともに、営業や売場の人たちに開発の思いを理解してもらうことが大変でした」と今野さん。「米の市場を守るために、精米だけではなく、北海道産米の特長を生かして消費者のニーズに応える商品を売っていこう」と呼びかけました。北海道産米でつくるミールキットは、営業の頑張りでスーパーや生協で採用され、最初の2メニューが道内で年間18万食を売り上げるヒット商品になりました。
最初は無地だった無洗米の袋に、途中から「北海道産米」と表示したのは、炊く直前まで印象づけるため。この工夫によって北海道産米の認知が広がったことでしょう。
日本の米売場を、北海道産米で盛り上げていく
- こうして消費者の支持を得て、営業のモチベーションも高まったところで、今回の「ジャンバラヤ」と「とり五目おこわ」の2商品を投入。自社予算によるCM展開と新聞広告のほか、農林水産省の令和5年度米穀周年供給・需要拡大支援事業の補助金を活用して、インストアプロモーション、ランディングページの制作、そして9月から約1カ月、道内のスーパー延べ70店舗でマネキンを活用した試食イベントを実施しました。
「食べておいしさがわかれば、買っていただける頻度が増えると思います」と田子さん。「既存商品を買ってくださっているお客様も多いので、種類が増えれば購入頻度がさらに高まると期待しています」と今野さん。賞味期限が製造日から240日と長く、家庭のローリングストックにもなりつつあるようです。
「米売場にお客様が足を運ぶのは月1回程度ですが、こうした商品があることでその頻度が増えれば、米の需要拡大につながります」と今野さんは話します。そこで、商品パッケージは振り向いてもらえる華やかなカラーリングを意識したそうです。
「お米を使った料理自体に興味を持っていたければ、米の需要を拡大できるのではないでしょうか」と田子さんは話します。パールライス販売課では、北海道産米でつくるミールキットのラインナップを拡充させるため、すでに次の商品も企画中とのこと。
- 「主食である米の需要を創出・拡大するためには、目新しくワクワクさせ、愛されて定着する商品をつくり、広告や売場展開などのプロモーションを工夫していくことが必要です」と今野さん。北海道産米のコーナーからますます目が離せません。
【事業者紹介】
ホクレン農業協同組合連合会
北海道札幌市中央区北4条西1丁目3番地
【販売情報】※販売中(2023年12月時点)
道内のスーパー、生協各店
自社ECサイト・ホクレングリーンプラス
JAタウン、Amazon、ヨドバシ・ドット・コムなど