児童向け教育施設「モンテッソーリ・エレメンタリースクール北九州」(北九州市小倉北区足立1)が4月6日、オープンした。運営は特例認定NPO法人「Scuola dei Bambini」(吉野町)。
同施設が実践する「モンテッソーリ教育法」は、イタリア人女性医師マリア・モンテッソーリが20世紀初頭に提唱した教育法。同NPO代表の大谷育美さんは「モンテッソーリ教育法は幼児向けだと思われがちだが、0歳から24歳まで、未就学児だけでなく、小学児童を含めて大きく4段階のプログラムがある」と話す。「モンテッソーリ教育法を取り入れた児童向け教育施設は関東エリアにいくつかあるが、西日本では当施設が初では」とも。
大谷さんは2017(平成29)年、北九州市小倉北区吉野町に2カ国語会話を取り入れたモンテッソーリ教育型保育園「カーサ・デ・バンビーニ」を、2019(平成31)年には0歳からの子どもを受け入れる「RIVERWALKこどもの家」を北九州市小倉北区室町に開設した。大谷さんは「卒園児が小学校に進学する際は原則、校区の学校に進学しなければならない。モンテッソーリで育った子どもたちは、既存の小学校でも十分に適応できるが、より(モンテッソーリ教育の)深みを求める保護者のニーズに応えたいとの思いから、児童クラスの開設に踏み切った」と話す。
教室の風景は公的な小学校とは大きく異なり、黒板や個別の机・椅子を設置せず、数や言語、動物、宇宙、自然科学などを手で触れながら学べる多くの「教具」を設置する。「子どもたちはグループワークを通じて自ら学ぶ力を培っていく」と大谷さん。
施設は住宅街の10年以上空き家となっていた古民家を活用した。大谷さんは「場所探しには市の空き家活用推進制度を利用した。内装や外装の改修の多くは『九州職業能力開発大学校』(小倉南区志井)の学生が担当し、建築資材は地元の建設会社『大英産業』(八幡西区下上津役)に提供いただいた。産官学連携の船出となった」と振り返る。
4月6日には入学式が行われ、児童4人が出席した。長男のために茨城県から転居してきたという親子の母親は「今年2月には3日間の体験入学を行った。知的好奇心が刺激され生き生きした子どもの姿を見て、正式に利用を決心した。息子は毎日『実験をやりたい』と言い、ワクワクが止まらないようだ」と期待を寄せる。