子なし夫婦の現実。怖くても一人で対応しなくてはならない老後

―――前回の続き。

高齢夫婦ふたり暮らし。一人になる日が近付いてきたという恐怖
早朝の犬の散歩で再会この猛暑では愛犬の散歩もまともに行けない。
子供はいるけど頼らず夫婦で生きてきた
「子供さんは遠くに住んでいるのですか?」
私は聞いた。
以前、確か子供がいると言っていたので。
すると子供は娘と息子が一人ずついるらしく、どちらも遠方だと言う。
確かに聞いていると、突然何か起こったとしても、「今すぐ行く」と言える距離ではない。飛行機のチケットを手配し、日帰りも厳しいだろうから仕事も数日休まないといけない。
「だから子供には迷惑をかけたくないし、出来るだけ夫婦で今までやってきたの」と、その女性は言った。
その相棒である夫が病に倒れ、もしかしたらこれが最期になるかもしれないと思うと、どれ程不安で辛いだろうと察する。
親を大切にする子供達
しかしその女性が言った。
「でも子供達から頻繁に電話があってね。また来週もこっちに来てくれるみたい」と。
さらに、「息子も娘も、お母さんには私達がいるんだから、何かあっても心配しなくても大丈夫だからって言ってくれるんだけどね」と言った。
どうやら親子関係は良好で、それも子供達は親をとても大切にし、気遣っているらしい。
さらにさらに、「息子の嫁も良い人で、最近は毎日電話をくれるのよ。こっちが気を使うぐらいだけど、心配だから…って言ってくれて」と言った。
高齢になるほど子供がいる事が羨ましくなる
何て恵まれているのだろう。
ご本人が大変な時に不謹慎だが、この話を聞いているうちに私は羨ましく感じた。
やっぱり子供がいるのは心強い。
特に70代や80代になり、自分の気力だけではどうしようもない年齢になってきた時、いざとなれば助けてくれる子がいるというのは何よりも支えになる。
距離なんて関係ない。
一週間後でも一ヶ月後でも、いつか来てくれる、そう思える事が救いになるのだ。
私の老後なんて、何年待っても誰も来てくれる人はいない。
またそんな風に捻くれた気持ちが沸き上がった。
この女性の子供達が親思いなのも、きっと子に頼らず今まで頑張ってきた親だからこそだと思う。
自分の未来は不安と恐怖しかない
女性は言った。
「来週また先生から病状の詳しい説明があるんだけど、その時も子供達が来てくれるって言うからホッとしたの。私一人だと怖くてとても聞けないから」と。
「子供さんがいてくれて良かったですね」
そう言いながらも私は自分の未来を想像して暗い気分になった。
私がその女性の立場になれば、怖いと思いつつ一人きりで医師の説明を聞かねばならないのだろう。そして誰にも言えず一人で家に帰る。耐えられそうもない。
私が先に逝けたらいいのだけど。それはそれで夫も可哀想だし。
子供がいない事を今更どうこう言っても仕方がない。
だがせめてこのような不安を聞いてもらったり、共感してもらえる友人、もしくは知人が欲しい。
と、この女性と話していて改めて感じた。
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