誰でもいいから話を聞いて
ラインの着信音。
夫からだろうか。
重い体を起こし、ソファからゆっくり起き上がった。
まだ生理痛が治まらず、昨夜もウツウツとしたものの、あまり寝た気がしない。
電気毛布が放せず、トイレに行く時以外はずっと毛布の中でジッと耐える。まるでひな鳥になった気分。
夫は朝から実家に帰っている。
義父の体調が少し悪いようで連絡があったのだが、私もこの状態でとても行く事が出来ない。その為夫が代わりに様子を見に行ってくれた。
よく考えれば自分の親なのだから夫が行くのは当たり前なのだろうけど、すっかり嫁である私の仕事という意識が定着してしまっている今、何となく罪悪感。犬の為なら無理をしてでも動くのに、義父の為なら動けないのか…と誰かに言われているような気がして落ち着かない。
絶不調。これからの夏の季節、月経困難症が最も酷くなる。もう一か月も経ったのか。つい先日終わったばかりだという気がするが…。..
私はスマホを手に取った。
その画面には美智子さんの名前が表示されていた。
美智子さんとは前回心療内科で会ったのが最後。
心療内科の待合室で座っていると、背後から声をかけられた。「ころりさん」ドキッとして振り返ると、そこには穏やかな笑みを浮かべた美智子さんがいた...
会話の途中で別れてしまい気まずかったものの、もう二度と連絡はないような気がしていた。
だがまた送られてきたライン。
その名前を見た時、なぜか嫌な気はしなかった。
あれ程、距離感の詰め方が苦手で、関わるのが億劫になっていたのに…なぜだろう?
上手く説明出来ないが、急に人恋しいような気分になったのだ。
誰でもいい。優しくしてくれるなら。話を聞いてくれるなら。女同士の会話がしたい。
すぐに既読をつけてしまう事に悩んだが、そのメッセージの続きが気になり、すぐに開いた。
「先日は先に帰ってしまってごめんなさい。その後、体調はいかがですか?私は最近寒暖差のせいか気分が落ち込み気味です――」
そんな文面が今の私の心にフィットした。
パート先や近所には「落ち込み気味」なんて言う人はいない。
たとえ本当は落ち込んでいても、皆元気そうに振舞っている。明るさが正義と言わんばかりに女性同士で大声で笑い合っている。
そこに合わせようとすると疲れてしまう。だが合わせられないと疎外感。
美智子さんは重いと感じる面もあるが、明るさを求められないので時には楽だと感じる。
友人でもないし、心から信用もしていない。
だが今の私にはこの人以外に女同士の会話が出来る相手がいない。都合よく利用してもいいのではないか。そんな気持ちになった。
その名前を見た時、なぜか嫌な気はしなかった。
あれ程、距離感の詰め方が苦手で、関わるのが億劫になっていたのに…なぜだろう?
上手く説明出来ないが、急に人恋しいような気分になったのだ。
誰でもいい。優しくしてくれるなら。話を聞いてくれるなら。女同士の会話がしたい。
すぐに既読をつけてしまう事に悩んだが、そのメッセージの続きが気になり、すぐに開いた。
「先日は先に帰ってしまってごめんなさい。その後、体調はいかがですか?私は最近寒暖差のせいか気分が落ち込み気味です――」
そんな文面が今の私の心にフィットした。
パート先や近所には「落ち込み気味」なんて言う人はいない。
たとえ本当は落ち込んでいても、皆元気そうに振舞っている。明るさが正義と言わんばかりに女性同士で大声で笑い合っている。
そこに合わせようとすると疲れてしまう。だが合わせられないと疎外感。
美智子さんは重いと感じる面もあるが、明るさを求められないので時には楽だと感じる。
友人でもないし、心から信用もしていない。
だが今の私にはこの人以外に女同士の会話が出来る相手がいない。都合よく利用してもいいのではないか。そんな気持ちになった。
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