銚子駅から犬吠埼まで歩いたが、海以外も見どころ満載だった - ココロ社

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主著は『モテる小説』『忍耐力養成ドリル』『マイナス思考法講座』です。連絡先はkokoroshaアットマークkitty.jp

銚子駅から犬吠埼まで歩いたが、海以外も見どころ満載だった

銚子を旅するとき、JR銚子駅から銚子電鉄に乗って犬吠埼まで行く人が多いと思うし、実際に行ってみるまではわたしも同じイメージを持っていた。しかし調べてみると、徒歩なら直線距離で1時間程度。海沿いに激しく寄り道しながら歩いても3時間程度で着きそうだ。帰りは銚子電鉄を満喫するとしても、せっかくだし銚子から海沿いに歩いていこう……と思って年末に実行した。楽しかったので、また近いうち行こうと思っている。
 
特急「しおさい」で銚子が身近になる
まず銚子に行くところの話から。
わたしの住む多摩ニュータウンから銚子に行くにはいろいろ乗り継がねばならないと思っていたのだが、調べてみたら東京から「しおさい」という特急に乗れば乗り換えなしであることが判明。

東京からだと2時間以上かかり、新幹線で京都に行くのと変わらないが、特急料金がすごい安さなので、コスト的な意味あいで「そうだ 京都、行こう」とならない方でも「そうだ 銚子、行こう」は可能である。
 
醤油工場が思いのほかメカニカルで工場好きの人にもオススメ
ろくに下調べせずに、とりあえず関東の端っこに行ったら楽しかろうと思って銚子を選んだのだが、駅を降りてメインストリートを北上しているとき、ふと右を見ると無骨な工場……。

 
地図を見てみるとヤマサ醤油の工場だった。

年末なので操業はしていなかったのかもしれないが、駅を降りてから香ばしい匂いがしていた。醤油が正体だったとは。

 
多摩市民、利根川>>多摩川であると知る
この日はそれで心がいっぱいになって寝て、翌朝、利根川の河口付近から歩きはじめた。
わたしは大河経験が浅いため、インドでガンジス川を見て人生が変わった的な人と対峙すると気後れしてしまうかわいらしい一面を持っているのだが、多摩川や荒川の橋はよく渡っているので、国内の河川についてはある程度把握しているつもりだった。しかし甘かった。

利根川は多摩川と比べものにならないくらい大きいことは見た瞬間にわかった。そもそも、ここからはるか遠くの地である多摩市に住んでいるわたしですら利根川の恵みにあずかっているのだから、これくらい大きくないとまずいのかもしれない。
 
営業時間外だったけれどいい感じの店を発見。

仕込みのためにマスターが出てきたのだけれど、このシーマンのような似顔絵はかなり似ていることが判明した。
 

あぶらぼうずをロゴ化している。
自分が宇宙人に囚われて地球名物「にんげん」としてロゴ化されて調理された自分の肉の写真がレイアウトされていたら……と想像して興奮した。次回銚子に行ったときは絶対に行きたい。
 
見たいタイミングで登場する古刹、圓福寺(飯沼観音)
海とは反対側に塔が見えた。そろそろお寺か何かが見たいと思っていたことに気づく。歩いていくと圓福寺というお寺だった。

奈良時代に創建という古刹で、銚子電鉄の観音駅はここの観音のようなのだが、観音像は秘仏。その代わりに五重塔もあれば大仏もある。

大仏にはスペシャルサンクス的な記述があるが、吉兵衛だけは読めた。吉兵衛さん、見てますか……わたしも死ぬまでにどこかにいくらか奉納してスペシャルサンクスに名を連ねたい。
 
帰宅してから、大仏の膝に太平洋戦争のときの機銃掃射の跡があると知った。写真におさめることができなかったけど、これこそ「膝に矢を受けてしまってな……」の日本近現代史版である。
 

海を見にきたのにこんな立派な五重塔を見ることができてありがたい限りだが、建立は平成21年。千葉県唯一の五重塔であるという背景を知るとありがたさが倍増する。
 

意外な場所で水準原標石を発見。日本水準原点って永田町になかったっけ……と思ったのが、元祖と本家の違いのような感じなのかもしれないし、そうでないのかもしれない。
 

突然の焼きそば専門店。
まだ営業時間ではなかったのだが、Google Mapで検索したらすばらしい写真が出てきた。次は営業時間内に行けますように……。
 
朝から豪華な定食がいただける場所を発見
漁港の近くなので朝早くから営業している店はあって、近辺では「お食事処 こころ」がよさそうだったので寄ってみた。

まず、お店の名前が最高よね……。
そして、どこでもいいと言われたので、一人客でありますが、小上がりに着席した。

小上がりというか小宇宙でした。漁港に来ているのだという実感が改めて湧いてきた。
 
感動しているうちに、おまかせ定食が登場。

充実度をご確認くださいませ。お盆におさまってないね!
 
まだ利根川にいるのに海感がすごい
この行程、3割ほどが利根川河口で、まだ海に出ていないのだが、利根川が広すぎてすっかり海気分で、たくさんの漁船が留められていた。

船に詳しくないので、この船首の形状を見ると「戦艦大和だ!」と思ってしまう。
 
千人塚で銚子の自然の厳しさを知る
朝からお盆にのせきれないほどのおかず群に心身ともに満たされたのだが、わたしの旅はまだ始まったばかりであった。
 

モニュメントの集合地帯があると思って説明を読んだら「銚子の川口てんでんしのぎ」の文字列を発見。「てんでん」といえば「津波てんでんこ」を想起し、のどかな文字列とは裏腹に緊張してしまう。わたしが歩いてきた利根川の河口と銚子港だが、50年ほど前に運河方式の新しい航路ができるまでは難所だったとのこと。

来た道を思い返してみると、川幅が広いはずの利根川が、河口付近では対岸が近くに見えた。そのまま航行するとかなり流れが速いのだろう。水揚げ日本一を誇る銚子も、先人たちの尊い犠牲の上にあることを実感した。
 
銚子ポートタワーのチート感
そのまま海沿いを歩くとタワーが見えてきた。

この銚子ポートタワーの高さは58メートルで、今回の目的地としている犬吠埼の高さは31メートル。灯台は見晴らしのよさがすべてでないにせよ、テクノロジーの進化を感じてしまう。

 

さきほど学習した河口方面も見えて感慨深いが、その先の鹿島灘も大変魅力的(なので別途行ってきて、後日記事にする予定)である。
 
テトラポット工場やキャベツ畑など、何もないところにあるものがある
タワーを降りて、さらに海沿いに歩くと、わりと何もない感じの海沿いで、まさに何もない感じの海沿いも求めていたので感動したのだった。

テトラポット置き場。
写真だけだと伝わらないと思うのだが、かなり大きい。加湿器が「部屋の広さ:12畳まで」などがあるように、テトラポッドも「波の高さ:3メートルまで」みたいなのがあるのかもしれない。
 

キャベツ畑。
三浦半島でもたくさん見かけたけれど、千葉県で見るキャベツ畑はまた格別である。小学校でキャベツ=千葉県八街市と習ったからなのだけれど、キャベツの生産量は群馬県と愛知県がトップの座をかけてしのぎを削っており、千葉県は3位である。
 

ここはなにかの廃墟だろうか。海沿いの水族館でこのような感じの廃墟を見たことがあるけど詳細は不明。まさか露天風呂ってことはないよね???だったら現在との落差が大きすぎて泣いてしまうわ……。
 

エビちゃん。
 
犬吠埼は灯台以外も楽しい
何もないな、そしてそれがまさに自分の求めているところなのだ……なおわたしの住んでいる多摩ニュータウンも、わりと「何もないところ」と呼ばれがちなので、何もないところの住人が何もないところを求めてやってきたという構図だな……などと感激しながら歩いているうちに犬吠崎が見えてきた。

この日は大晦日だったので初日の出を見たい人がすでに駐車中。銚子は日本でもっとも早く初日の出が見えるところらしいのだ。
初日の出を見るために昼間から車を停めて待つ気持ちは理解しかねるが、フェスみたいな感じだろうか。まあわたしはフェスに参加する人の気持ちもじゅうぶんに理解しているという自信はないので同じことだが……。
 

犬吠埼の灯台にも登れるようなのだが、さきほどポートタワーで見晴らし欲は満たされたので、灯台のまわりを一周して歩くにとどめた。次回行ったときは登ることにする。
 
犬吠埼といえば、初日の出とともに有名なのが、映画の冒頭のザッパーンと出てくるところ。個人的には映画館に行くことが数年に一度しかなくて、さらにザッパーンと出てくるのは邦画で、わたしが最近見たジョーカーやミッドサマーなどの外国の映画は本編でザッパーンに代替する表現をしていると思う。ザッパーンを久しく見ていないため、近い角度で撮れているのか自信はなかったが、ほかの人の撮り方を参考にして撮ってみた。

上から見下ろしている感じでザッパーンに寄り添っている感じがだいぶ足りないのだが、誰もが知るところに来ているというのはそれだけでうれしい。
 
これだけでも犬吠埼に来てよかったと思ったのだが、さらに南下していくと、天然記念物の「白亜紀浅海堆積物」がある。

白亜紀と浅海と堆積物のそれぞれの語義は知っているが、ぜんぶ合わせるとよくわからない……白亜紀の地層が露出しているから詳しい人が見たらまるわかりということなおのかもしれないが、詳しくないわたしが見ても月旅行をしている気分になった。
 
 
犬吠駅は駅というよりアトラクションだった
帰りは銚子電鉄の犬吠駅から帰ることにした。

駅のメルヘンチックな佇まいがたまらない。
 

窓から電車がチラ見えする構図が好きなのだが撮り鉄の人には論外なのかもしれない。
 
そして期間限定だったのかもしれないが、ホームからよく見えるところに廃の墟があって驚いた。

壁の切り取り方が美しすぎて解剖図を見ているようである。
 

こういうときにブラウン管のテレビがあると落ち着く。
 
廃墟に見とれているうちに電車が到着……したのだが、京王れーるランドで見たやつ!

こういう感じで撮っている人の後ろで撮っている人の感激するさまも構図におさめたいと思ってしまうのだが、わたしも他の誰かにそんな感じで撮られたりしたい。
 
形も色もsuki...と思って銚子駅に着いてからもじっくり撮った。

京王線ではとっくの昔に引退したのだが、まさか現役稼働中の車両に乗れるとは思っておらず、次回京王れーるランドに行ったときに銚子電鉄に乗ったときの感動が蘇るに違いない。
 
銚子でいちばんメジャーなルート、冬でも最高に楽しかったので、春や秋に行くともっと楽しいだろうと思う。有休をとって3連休を手作りしてまた行ってみたいが、我慢できなくて早々に日帰りで行ってしまうかもしれない。