韓流を「はんりゅう」へ – 田代親世の韓国エンタメナビゲート

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韓流を「はんりゅう」へ

2009年1月発行「恋する韓流」(朝日新聞出版より) ※記事の転載禁止

「韓流」と書いて「はんりゅう」。
日本語として「あれ?」となるが、
いつのまにか多くの人が「はんりゅう」と呼んでいる。

2004年、ペ・ヨンジュン来日の数日前。

韓国観光公社の主催で、
韓流に携わる仕事をしているマスコミの専門家たちが集められた。
韓流をより良い方向に盛り上げていこうという目的で、
「韓流マーケティング委員会」なるものが発足したのである。

私のようにフリーランスで取材活動やコメンテーターをしている者や、
韓国ドラマライターで、ツアーアドバイザーもしている安部裕子さん、
インターFMで韓国専門番組のDJやコーディネートをしている
古家正亨さんをはじめ、
韓国大衆文化を扱ってきたTV、新聞、雑誌、
配給会社などに所属する韓国通がメンバーとなった。

この集まりは一部メンバーを入れ替えながら今でも続いている。

 

この第一回の会合で取りあげられたのが、
「韓流」という言葉の呼び方をどのように統一すればいいか
ということだった。

「韓流」はもともと中国の新聞社が見出しに使ったのが始まりなので、
語源は中国語。
中国語式に読むと「ハンリウ」となり、
韓国語もこれに近い発音になる。

日本語読みでは「カンリュウ」となるが、
現地式に発音する人もいて、どうにも統一感がなかった。

それを、本格的なブームになる前にできるだけ統一させたい
というのが韓国観光公社の意向だった。

いろいろと意見交換をした中で、
スカパー!がすでに韓流イベントを立ち上げていて、
そこでのローマ字のロゴを「HAN–RYU」にしている
ということがわかった。

そして、韓国でも中国でもこの音だと通じやすいから、
できれば「カンリュウ」よりも「ハンリュウ」の方がいいね、
ということになった。

それに、「韓」の韓国語読みの「ハン」と
「流」の日本語読みの「リュウ」を合体させるという意味にもなり、
日韓交流という意味でもぴったりだということに落ち着いたのだ。

それからは、私をはじめ、委員会メンバーのライター、
編集者たちは、記事を書くとき、
「韓流」には必ず「ハンリュウ」とルビを振るようにし、
韓国観光公社も各メディアにその告知徹底を呼びかけ、
今日に至るのである。

ただNHKは正しい日本語にこだわるので、
今でも局内の正式な呼び方は「カンリュウ」だ。

思ったよりもスムーズにみんな
「ハンリュウ」という呼び方になじんでいる気がするが、
ブームに先んじて呼び方を決めてしまおうという
韓国観光公社の先見の明はさすがだった。