甲府の映像制作会社「KIRIN」(甲府市中央4)が現在、指定難病を抱えたJuriさんの楽曲を多くの人に届けるためのドキュメンタリー映画「生きる」の製作を中心としたプロジェクトに取り組んでいる。
甲府の映像制作会社、指定難病を抱えた女性のドキュメンタリー映画製作へ
社長の桐原侑希さんは甲州市出身。大学在学中に趣味だったスケートボードの映像を作ったことがきっかけで映像制作を始める。大学卒業後は山梨県内の企業に就職するが、2021年2月、映像制作を手がける「Kiri Films.」として個人事業を開始。以後、山梨県内外の企業や自治体、学校などを主なクライアントに制作を手掛がける。昨年8月に法人化した。
今年の初夏、友人の紹介でJuriさんと出会った桐原さん。「実は私、リリックを書いている。いつか、音楽を作って人に勇気を与えたい」と、Juriさんが生まれ育った小田原酒匂の海を見ながらウキウキした表情で話す姿を見た桐原さんは「あぁ、これはきっと彼女の挑戦を追いかけるべき出会いなのだろう」と直感したという。
Juriさんは4歳の頃、1万人に2人の確率といわれている国の指定難病、紫斑病性腎炎を発症。17歳で慢性腎不全となり緊急的に血液透析をし、生体腎移植を行った。今年で移植後11年が経過し、現在は通院と投薬を続けながら日常生活を送る。
以前から音楽や詩や歌詞を書くことが大好きだったという。入院中や1人で辛い時などに書いたりすることも多く、「いつか私が書いた歌詞を誰かの耳に届けたい」と思うようになり、音楽制作に興味を持ったという。「音楽はいつでも近くで応援してくれる最大の味方。私自身何度も、歌詞や言葉に救われてここまで生きてきた。私がこれから作る歌でも音楽や言葉を通して、一人でも多くの人に勇気やパワーを届けたい。『生きる』ことの素晴らしさを伝えたい。誰かを少しでも勇気づけたり、少しでも前向きにできたりすれば」と思いを込める。
桐原さんは、Juriさんの初めての楽曲制作からステージデビューまでの挑戦過程を追いかけるドキュメンタリー映画の製作を決意した。ドキュメンタリー映画「生きる」は2025年1月25日、東京・代官山で初上映を予定している。
同プロジェクトでは現在、楽曲制作と上映会・トークショー開催に向け、クラウドファンディングで協力を呼びかけている。リターンの全てに共通して、同プロジェクトでJuriさんが制作する楽曲のCDが付く。
桐原さんは「クラウドファンディングで、まずはJuriさんのことを多くの人に知ってもらえれば。彼女の初めての挑戦過程を追ったドキュメンタリー映像作品と共に、彼女の生き様や楽曲に込めた思いなどを楽曲と合わせて届けることができれば、少なからず彼女を取り巻く環境に何かしらの変化を与えることができるのでは」と話す。
クラウドファンディングは10月31日まで。