なんか夏だし、突然行く気になって、標高910mの鍵掛峠を越えるとそこは奥大山!
島根側から見ると、出雲富士とも伯耆富士とも呼ばれる柔らかい印象の大山ですが、南側・・・鍵掛峠から見ると強烈な岩山です。そこを少し下ると鳥取県江府町の御机。
お松:「おつくえ」じゃないよ「みつくえ」だよ。ちょっと丁寧に言ってみた訳ではないんです。
やや:・・・。
そんなに遠くでもないので、いつでも行けると思っていたら、いつまでも行けないところってありますよね。
お松:で、えいやぁって行ってきた訳ですね。
やや:鳥取県江府町で最も有名なただの小屋です。
お松:雪をかぶった冬景色や、田植え直後の水面に映った様子なんかが有名ですが、真夏の景色もよいですね。照れ屋の大山は、ちょっと雲に隠れ気味ですが、それでもいい感じです。で、この小屋はいったい?
やや:なんの情報もありませんが、とっても有名な小屋です。
お松:だ・は・は・・・。
やや:付近の道路沿いには巨大な五輪塔があったり・・・。
御机神社があったりしますが、いずれも、何の情報もありません。
お松:鳥取県の事になると、とたんに情報が無くなってしまうややさんです。
やや:すみません。でも、おもしろいなぁと思ったのは、五輪塔も御机神社の狛犬さんたちも、溶結凝灰岩ですね。
お松:よ~けつぎょ~かいがん?
やや:溶岩が結合した凝灰岩ってな意味かしらん。大山が噴火したときの噴出物が冷えて押しつぶされてできた岩ですね。出雲の狛ワンコで見慣れた来待石は凝灰質砂岩。とっても柔らかく加工しやすい石ですが、溶結凝灰岩は固そうですね。でも、大山周辺では豊富にあるので、大山周辺の石造物には時々見かける石です。
お松:何の情報も無かったわりに、なにがしのうんちくを語らないと気が済まないややさん。
ん!
- 2017/07/31(月) 18:55:36|
- お松との会話
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お松:いろいろあって消しちゃったりなんかもして、すでに何回やったか、どうなっているかも分からないスクナヒコナのお話ですね。
やや:う・・・。
お松:と言う訳で、例によって、『古事記』なんかのストーリーからお願いしますね。
やや:・・・。
『古事記』によれば・・・。
スサノオらの試練をスセリビメを始め、多くの他の神様の尽力により突破し、出雲にたどり着いたオオクニヌシ。美保の岬にいたとき、波の彼方から小さなちいさな神様がやってきます。
その神様は名乗らず、また、その神様のことを、周囲の神々も誰も知りませんでした。困っていると、ガマガエルが「かかしのクエビコなら、きっと知っているでしょう。」と言うので、かかしのクエビコを呼ぶと「カミムスヒ神の御子のスクナヒコナ神です。」と言う。そこで、カミムスヒを呼ぶと、「確かに、生まれてすぐに手の指の間から漏れ落ちた子だ。オオクニヌシと兄弟となって、この国を作り固めなさい。」とおっしゃったと記されています。
お松:生まれてすぐに生き別れた親子が、感動の再会もそこそこに、別の神様と兄弟となって、国造りに励まなければならないんですね。
やや:ものすご~く唐突に始まるスクナヒコナの物語です。
で、たまらないのはかかしのクエビコ!かかしのクエビコは、「山田のそほど」と呼ばれるかかしの神様です。かかしなので、自ら歩くことはできないけれど、世の中のことは何でも知っているって記されています。ガマガエルもいろいろ知ってそうだけど、この二人・・・この二柱の神様、おもしろすぎる!
お松:で、その後、どうなるんでしたっけ?
やや:オオクニヌシとスクナヒコナは、協力し合って国を作り固めようとするのですが、スクナヒコナは、国造りも終わらないのに、よじ登った粟の穂にはじかれて、常世国にビヨヨヨヨ~ンって飛んで行ってしまいましたとさ。めでたし、めでたし。
お松:いきなり終わらないでください。途中いろいろあるでしょ?
やや:それが、『古事記』では無いんです。スクナヒコナ、いきなりやって来たかと思えば、突然飛んで行ってしまって、終わりです。元々あった『古事記』のストーリーに後にムリヤリぶち込まれたお話のようですね。
お松:・・・。
やや:ところで、『万葉集』にはスクナヒコナが読まれた句が、4首あります。いずれも「大汝少彦名(オオナムジスクナヒコナ)」と読まれ、後にオオクニヌシとなるオオナムジとセットで記されている点も示唆的です。
その1首に
大汝(オオナムジ)少彦名(スクナヒコナ)のいましけむ
志都の岩屋は 幾代経にけむ
と、言う句があります。「オオナムジとスクナヒコナの居た志都の岩屋はいったいどれほどの年月を経たのかねぇ・・・。」ってな意味かと思いますが、つまり、オオクニヌシとスクナヒコナが国を作り固める相談をしたとされる「志都の岩屋」と言う場所が、万葉集の時代にも知られていたようです。
その志都の岩屋だったと伝えられている場所が、米子市彦名町の粟島神社、大田市静間町の静之窟などの他、この邑南町の志都の岩屋神社があります。
志都の岩屋神社のある山は、花崗岩の塊のような山で、あちこちに奇岩・巨石が露出していて、巨石マニアにはたまらない感じの場所です。
中でも、ひときわ巨大な一枚岩が立つ鏡岩の前に、志都の岩屋神社の御本殿が置かれており、その脇からは清水が湧き出しています。
お松:オオクニヌシとスクナヒコナがどこで相談していたのかは判りませんが、この立派な岩は、どれほどの年月を経たのでしょうねぇ・・・。
やや:お?いつになくきれいにまとめましたな。
- 2017/07/30(日) 09:12:28|
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梅雨が明け、夏真っ盛りのはずの山陰地方ですが、なんだかスキッと晴れませぬ。なんだかくそ忙しいのも相変わらずですが・・・久しぶりの休みに、やっぱり夏の海が見たくなって、やってきたのは七類港。隠岐諸島への入り口です。
ドババババァ~っと入港してきたのは隠岐と境港、そして七類を結ぶレインボージェットです。
明治25(1892)年に隠岐諸島を旅した小泉八雲は、鳥取県の境港から隠岐丸に乗って出港しており、当時、隠岐への入り口は境港からが一般的でした。
七類港から隠岐諸島へのフェリーが通うようになったのは昭和47(1972)年からと言われていますので、・・・なんだ最近じゃん。
お松:40年以上も昔のことですけど・・・。古代はどうだったんですか?
やや:『出雲国風土記』の時代は、官道が出雲国府(松江市大草町)からまっすぐ北に延び、千酌(松江市美保関町)から船を出していたようです。七類よりは松江市中心部に近い位置ですね。
お松:って事は、七類は、古代は良い港ではなかったって事ですか?
やや:いや。『出雲国風土記』「島根郡条」には「質留比(しちるい)浦」と見え、「三十の船泊つ」と記されていますから、メチャメチャ良い港です。その文章中には、「南に神の社あり」と記され、現在でも質留比神社が置かれています。
お松:メチャメチャ良い港なのに、使われていないんですか?
やや:港は、陸と海の接点です。船にとって都合が良くても、陸の側の都合は別物です。千酌は、出雲国府からの距離が短く、古代官道として都合が良かったと思います。でも、水深が浅いので、現代の大型船は入れません。境港は、外洋を行く船と、中海~宍道湖の内水面を行く船の接点として非常に便利な港です。現代の七類港が便利なのは、県道が通り、車が使えるからですよね。
お松:なるほど。
おまけ
質留比神社境内の手水鉢・・・
お松:こ、これがまた不思議な形の・・・。
やや:松江藩の息のかかったお庭なんかに見られる1点豪華主義の手水鉢に雰囲気が似てますよね。
お松:そ、そう言えば、これ、お庭のブログだったこともありましたよね。
やや:まだ、看板を下ろしたつもりはありませんが!
「ふん!もう神社巡りブログにしちゃったら?」
- 2017/07/23(日) 18:43:22|
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松江市大井町の大井神社です。現在の主祭神は天照大神とされ、応神天皇の事ともされる誉田別(ほんだわけ)命など、多くの神様が合祀されていますが、『雲陽誌』には「七社明神」の名で、大国主命を祀ると記されています。
近頃、この周辺の遺跡が気になってます。『出雲国風土記』「島根郡条」の大井浜の記述には、「陶物を造っている」とあり、古代には、須恵器を生産したことが判っています。出雲地方の古墳時代後期から古代の初頭にかけては、この大井産の須恵器が、ほぼ独占状態で出雲中に流通していたことが判っており、この付近は、焼き物の村だったようです。
大井神社の背後の丘陵は、松江東工業団地として造成され、現在では、工場が建っていますが、造成前の発掘調査では、焼き物の村らしい様々な物が出土しています。
例えば、古墳時代のお墓は火葬しないので、遺体を納める木棺か石棺が必要なのですが、ここでは、お棺までも焼き物で造っており、そのお棺の一部が、出雲市大社町の古代出雲歴史博物館に展示されています。そのお棺には、人物と馬の絵が描かれていて、馬の飼育に関わった人のお棺だったようです(←お松:この馬がまた・・・。←やや:興味があれば、古代出雲歴史博物館で見てください)。
大井は、『出雲国風土記』に大井浜と記されるように、浜です。大井で生産された須恵器は、船を使って出雲一円に運ばれたことでことでしょう。大井浜が面しているのは、現在は汽水の中海ですが、『出雲国風土記』の頃は「入り海」であり、現在よりも塩分濃度が高かった事が判っています。
大井神社の拝殿にかけられたお清めの海藻も、そんな歴史を今に伝えている様な気がします。
おまけ
お松:なんか、鼻水たれてませんか?
やや:わ・は・は!雨の日の狛ワンコもおもしろいですねぇ。
- 2017/07/07(金) 22:51:41|
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