けさ明け方、や~っとゲームクリアできた……! さすがに寝るかあ、とパソコンを閉じたら、急に緊張の糸が切れたみたいに悪寒がしてきて、トイレで歯とかガチガチなったりして、これアレやん、さすがにアレなやつやん、と思いながら布団に潜ったら、やっぱりそうでした。昼に起きて測ったら、熱があります、喉もカッサカサです。久々の風邪だ。
今日はぜひとも大学で作業するつもりだったけど、ふらっと訪れた卒業生がウイルス撒き散らして帰ってくの普通にカスだなと思って、登校はお預け。家でできる最低限のことだけやって、あとはだるいので飯でも炊きながらだらだらします。タイマー鳴るまでYoutube見ちゃお。
DECO*27 さんの「モニタリング」という曲が結構好きです。口ずさみたくなるサビと、サイケで鮮烈な印象の映像。元々自分は、歌詞とビデオをそのまま受け取って、ヤンデレ気質のあるミクが男の子の家の前まで押しかけてストーキングしている歌、と理解していました。
ところが今日、こういうのは視聴者が盛り上がってるのも楽しいんだよね~とコメント欄に目をやってみたら、英語ニキの何やら物凄い長文コメに注目が集まっていまして。その主張はどうやら「これはミクではなく男の子側のメンタルヘルスを意識した歌だ。ミクは心配して会いに来ただけの普通の子。そんな彼女を小さなレンズを通して見ている男の子が、鬱や性欲から妄想を膨らませ、ミクを(自分のことが好きな)狂気のストーカーだと思い込んでいる」とのこと。
この一連の文章を読んで、まさしくキュピーンと電球が閃きました。すごく面白くて、確からしい解釈だ! 映像を見返してみると、特に終盤にかけてミクが狂気的ではない素の心配げな表情をしていたり(そこだけ画面が歪んでおらず色も落ち着いている)、むしろ男の子側の方が必死に穴を覗き込んでミクを探しているんじゃないか……? と思わせるような描写があったりする。極めつけはラストの、ようやっと男の子が扉を開けたら、そこには驚きつつもほっとした顔の「普通の」ミクが立っていた、という締め方。これをどう解釈するか考えたときに、英語ニキの提唱がすごくしっくり来て、ポンと手を打ちました。いやあ、素敵な考察と出会ったことで、曲に対する自分自身の納得がさらに増したような気がして、なんだか嬉しくなっちゃうな。
……ところが、この時点で辞めておけばいいものを、せっかくだからとさらにいろんな人のコメントを読み進めて行ったら、だんだん内容が怪しくなってきました。「実はミクではなく男の子の方が異常」、ここまでは大体見解が一致しているのですが、どうしても男の子のキモさを主張・共感する方向に行きたいのか、解釈の根拠がこじつけめいていきます。ミクは男の子をキモがっていて、最後の表情も気まずそう(←そこまでの表情には見えない)。ミクの眼帯は、男の子のことを片目くらいでしか見ていないことの比喩。間奏がほぼ無いのは、男の子の妄想が止まらなくて気持ちよくなっているから……。
考察というのは得てして自分が気持ちよくなるためにするもので、このコメ欄はだんだん「ねえねえ私こんなことに気づいたよ!」な大喜利大会になっているのかもしれません。とはいえ、先ほどの英語ニキの読ませる文章と真っ当に比較してみると、大づかみだし粗いし、自分の主張に持っていきたいがための深読みが過ぎるんだよな。こういうのはあんまり好きくないかもな~。
世の中のいろいろな作品(特に、恋愛やメンタルヘルスが絡むような作品)に少しでも「深そう」な雰囲気が察知されると、途端に「考察」が大好きな人々が集まってきて、まさしく大喜利のように有象無象の発言が飛び交い始めるきらいがあるなあと思っています。もちろん、作り手側が意識して謎解きを促しているような作品なら、それもいいと思いますよ(メズマライザーとか)。けれども、大してミステリアスに演出する意図はなく、ただ公表された設定とされていない設定があるだけの比較的素直なつくりになっている作品に対して、呼吸をするように深読み・こじつけ・拡大解釈をするのはなんだかなあ。ズレまくってる意見がさも公式解釈のように大きな顔をしていたり、あるいはその周りで喧嘩が起こったりもするわけで、見ていて清々しくはないんですよ。隅っこでやっててくんねえかなあ。
……まあしかし、一旦冷静になってみると「考察厨どっかいけ」もまたひとつの過激発言な訳で、一体何があって自分はこういう主義になったんだっけなあ、と考えます。ひとつ覚えているのは大学の文芸サークルでの出来事かな。私は高校時代、かなり真剣にポエムをやっていまして(全国レベル)、したがってサークルでも技巧的・理知的な意見交換ができるものと信じて疑わなかったのですが、あるとき日常の素朴な感性をそのまま書いたような一文を、登場する花の花言葉を根拠に勝手に初恋のポエムに仕立て上げられたことがありまして。なんだよそれ、あんたは世界に咲く全ての花に意味が込められてなきゃならないと本気で思ってんのかよ。「たまたまそこに咲いていたきれいな花」の感動を素直に受け取ってくれないのかよ、と少し残念に思った記憶があります。
花言葉はまあ意識的な作り手も多いから許すとして、自分が本当に苦手なのは「お菓子言葉」ね。マシュマロもらって凹む女の子のイラスト、もうやめません? なんでお菓子言葉とかいうワケわからん迷信を信じて、目の前の少し不器用な男の子の純朴な好意には気づかないわけ?「君がくれたお菓子」というただそれだけで察される思いの強さ、振り絞った勇気、そういった喜びには目もくれないで「マシュマロだ;;実は私のこと嫌いなんだ;;」じゃねーよ。こいつはお前のこと大好きなんだよ。ちなみに俺はお前のこと嫌いだけどな。もうこいつ放っといて男子だけでカラオケ行こーぜ。
あー、なんか熱上がってきたな……。ホワイトデーも近いしな……。ミュートワードに入れようかな。Temuと修論とマシュマロをミュートワードにしてるやつあんまいないだろ。
考察とこじつけの狭間、ちょうど「面白い!」と「確かに!」のバランスが取れた素敵な解釈を書いてくれるオタクに感謝しながら生きていきたいと願う日でした。

研究協力者に電話したら第一声ガサガサでワロタ