ストレスが増加すると、涙が止まらない状態になることがあります。
これは自律神経の不調と密接に関連しており、特に重度のストレスが自律神経のバランスを崩すことで起こります。
涙が止まらないことは、時に精神的な健康問題のサインである可能性もあります。
この記事では、涙が止まらなくなる原因、それが示す可能性のある精神疾患、そしてその対処法について詳しく解説します。
涙が止まらない精神状態になる原因とは?
涙が止まらない状態を引き起こす主要な原因として、自律神経の乱れがあります。
涙は本来、涙腺によって生成され、涙腺から排出管を通じて目を潤すために常に分泌されています。しかし、何らかの外的、内的要因によって涙の生成が過剰になると、涙が目からあふれ出ることになります。
自律神経は、私たちの体温調節や消化機能などの無意識の体の活動を制御しています。
この神経系には、興奮や活動を促す交感神経と、リラックスや休息を促す副交感神経の二つがあります。涙の分泌は主に副交感神経の支配を受けています。
感情の高ぶりや緊張、悲しみなどが副交感神経を刺激し、これが副腎皮質ホルモンの分泌を促します。
このホルモンの過剰な分泌が、涙を通じて体外に排出される過程で、涙を流すことになります。
この涙の流出は、本来はストレスの解放手段として機能しますが、ストレスが持続すると涙が止まらない状態に陥ることがあります。
涙が止まらない症状で考えられる精神疾患
涙が止まらない状態は、単なる一時的な感情の表現を超え、いくつかの精神疾患の兆候である可能性があります。
ここでは、涙が止まらなくなる可能性のある疾患とその特徴について解説します。
- うつ病
- 不安障害
- 適応障害
- 自律神経失調症
- 統合失調症
- 更年期障害
うつ病
涙が止まらない症状で考えられる疾患として挙げられるのは「うつ病」です。実はうつ病は、心の病気ではなく脳の病気と言われています。
うつ病は、持続的な気分の落ち込みや活動レベルの低下が特徴です。
この状態は、セロトニンなどの神経伝達物質の不均衡によるもので、無理由に涙が出る、悲しみが止まらない、不眠や食欲不振、極度の疲労感などが伴います。長期間にわたるストレスがこの状態を引き起こすことがあります。
不安障害
涙が止まらない場合、不安障害の可能性も考えられます。不安障害は、出来事に対して必要以上に不安を感じる障害です。過度な不安や恐怖を感じることにより、日常生活にまで支障をきたします。
不安障害には、パニック障害、社会不安障害(社会恐怖症)、強迫性障害が含まれ、これらは過度な不安や恐怖によって日常生活が困難になることが特徴です。
パニック障害
突然の激しい不安発作が特徴で、これらの発作はしばしば予期せぬ状況で発生し、胸の痛み、心拍数の増加、呼吸困難、めまいなどの身体的症状を伴います。
社会不安障害(社会恐怖症)
公の場でのパフォーマンスや社交的な状況に対する極端な恐怖や不安があり、これによって普段の社交活動が極めて困難になることがあります。
強迫性障害
不合理な思考や無意味な儀式的行動(例:手洗い、数え上げ、物の配置の確認)の繰り返しが特徴です。これらの行動は不安を軽減するために行われますが、通常は一時的な解決に過ぎません。
適応障害
適応障害も、涙が止まらない症状が出ることがある疾患です。適応障害は、強いストレスにより日常生活に支障をきたすほどの心の不調が続く病気です。
適応障害は、重大な生活の変化やストレスが原因で発生し、個人がその変化に適応できないときに診断されます。これには転職、離婚、大切な人の死などが含まれます。
適応障害の特徴は、発症の原因がわかりやすいことです。原因となる場所から距離をおいたり、原因が解消されたりすれば、症状が改善しやすくなります。
抑うつ、不安、行動変化などの心理的な症状を経験する可能性があり、これらの症状は通常、ストレスの原因が取り除かれると改善します。
また、適応障害の場合、症状が長期間は続きません。涙が出たり不安を感じたりすることが半年以上続くのであれば、うつ病をはじめとしたほかの疾患の可能性が考えられます。
自律神経失調症
自律神経失調症も、涙が止まらない症状が出る疾患のひとつです。
自律神経失調症は、自律神経系の不調によって引き起こされる一連の症状であり、過剰なストレスや身体的な疾患が原因で発症することがあります。
以下の症状は、特に情緒的な場面で増加することが一般的です。
- 涙
- めまい
- 不眠
- 倦怠感
- ほてり
- 便秘
- 下痢
- 頭痛
- 動悸
- 息切れ
- しびれ
自律神経失調症の場合、これらの症状が出ることで、日常生活に支障をきたすケースがあります。
統合失調症
涙が止まらない症状が出る疾患には、統合失調症も挙げられます。
統合失調症は、現実との接続が断たれた経験、非論理的な思考、そしてしばしば幻覚や妄想を伴う精神障害です。
この障害は、社会的撤退や意欲の低下といった「陰性症状」も引き起こすことがあり、これにより患者は感情が薄れ、日常生活に対する関心が失われることがあります。
統合失調症は、感情や思考の整理がうまくできなくなる疾患で、以下の症状が現れます。
- 陽性症状:幻覚や幻聴、思考の混乱、妄想、異常行動
- 陰性症状:感情・意欲の減退や集中力の低下、周囲への関心がなくなる
- 認知障害:注意散漫になる、融通が効かない、作業スピード・記憶力の低下
100人に1人がかかる病気ともいわれ、主に10代後半~20代といった若年層で発症するケースが多いことが特徴です。発症原因が明らかになっておらず、現段階では強いストレスや遺伝、生活環境といった要因が重なり合い、発症すると考えられています。
また、本人自身が症状を自覚できない場合もあります。
更年期障害
更年期障害も、涙が止まらない症状が出る疾患です。
更年期障害は、女性が閉経を迎える年齢の前後で、女性ホルモンのバランスが崩れることにより発症する障害です。
女性ホルモンの急激な変動が引き起こす主な症状には、「気分の波」「涙もろさ」「イライラ」「熱感」「睡眠障害」などがあります。これらの症状は、しばしば日常生活に大きな影響を与え、社会的、職業的な活動に障害をきたすことがあります。
女性には以下の4つの時期にホルモンバランスの変化があり、その変化は心身に大きく影響します。
- 月経を迎える思春期
- 月経があり妊娠・出産可能な成熟期
- 閉経前後の更年期
- 閉経後の高齢期
3つ目の更年期では、卵巣の機能が徐々に低下し、女性ホルモン「エストロゲン」の分泌が減少します。それによりホルモンバランスが崩れ、さまざまな心身の不調が発生するのです。
更年期に、日常生活に支障をきたすほどの症状が出たものが「更年期障害」と呼ばれています。
涙が止まらなくなったときの6つの対処方法
涙が止まらなくなる状態は、心身の不調を示す重要なサインであり、適切に対処することが必要です。
以下に、涙が止まらないときに試すことができる6つの対処法を詳しく解説します。ストレスの原因から距離をおく
- ストレスの原因から離れる
- 気持ちを整理する
- 健康的な食生活を心がける
- 誰かに話してみる
- 休みをしっかりと取る
- 定期的に運動をする
これらの方法を組み合わせて実践することで、症状の改善につながる可能性が高まります。
ストレスの原因から離れる
涙が止まらない主な原因の一つが、過度のストレスです。涙が出るきっかけとなる原因には、強いストレスを受けているケースがあります。
そういう時には、ストレス源から物理的、または心理的に距離を置くことが有効です。
例えば、問題を抱えている場所や人から一定時間離れてみる、環境を変えてリフレッシュする時間を持つなどが挙げられます。ただしまったりとした場所で心を落ち着かせることも、感情のコントロールに役立ちます。
原因を取り除けるような対象であればいいものの、簡単に原因を取り除けないケースもあります。強いストレスを受けている状態が続けば、症状はなかなか改善しません。ストレスの原因となる場所から離れることにより、気持ちが落ち着くこともあります。
その場から離れ、トイレや人が少ない場所に移動するだけでも、落ち着きを取り戻せるかもしれません。
気持ちを整理する
涙が止まらなくなったときの対処方法は、気持ちを整理することです。辛い経験を思い出したり、悲観的な気持ちを持っていたりする場合でも、涙が止まらなくなるケースがあります。
その場合、今の気持ちを書き出し、自分を客観的に見つめ直せば、涙が止まるきっかけになります。
感情の波が激しい時は、日記をつける、感情を整理するための時間を設けるなどして、自分自身の心情を理解しやすくすることが効果的です。
ストレスや悩みを可視化することで、それに対する具体的な対策を立てやすくなります。
健康的な食生活を心がける
涙が止まらなくなったときの対処方法として、食生活を見直すことも重要です。強いストレスを受けた場合、食欲がなくなったり過食になったりします。過食は一時的にストレス発散になる場合がありますが、長期的には体に悪影響があります。
喫煙や飲酒も同様です。とくにアルコールの摂り過ぎは精神状態を悪化させる原因にもなるため、注意が必要です。
栄養バランスが整った食生活は、心身の健康を支える基盤となります。
ストレスによる過食や不食が見られる場合は、食事の質を見直しましょう。特にビタミンやミネラルを豊富に含む食品を積極的に取り入れることが推奨されます。
アルコールやカフェインの過剰摂取は避け、水分と必要な栄養素をバランスよく摂ることが重要です。
誰かに話してみる
涙が止まらなくなったときの対処方法は、誰かに話すことです。涙が止まらないときは、自分を客観的に見られないため、なぜ自分が悲しい気持ちになっているのかわからない場合があります。
心の内を誰かに話すことで、抱えている問題や感情に対する新たな視点を得ることができることがあります。信頼できる友人、家族、または専門のカウンセラーに話をすることで、心の重荷が軽減され、解決の糸口が見つかることがあります。
これらの方法を試す際には、一つひとつをゆっくりと実践し、自分に最も合った方法を見つけることが大切です。
涙が止まらない状態は、時として深刻な健康問題のサインであることもあるため、改善が見られない場合は専門家に相談することをお勧めします。
休みをしっかりと取る
涙が止まらなくなったときの対処方法は、休養を取ることです。
人間の体は、十分な休養をとることで自然治癒力を発揮します。特に精神的な疲労を感じている時は、質の高い睡眠を心がけることが重要です。
不眠とうつ病には関係性があり、不眠を抱えている場合、うつ病を発症するリスクが高いという研究結果もあります。
不眠の症状がある場合、自律神経が乱れている可能性も考えられます。より良い睡眠をとるためには、生活リズムを整えること、リラックスすることが大切です。例えば以下のような方法があります。
- 就寝前4時間のカフェイン摂取を避ける
- 就寝2時間前にぬるま湯のお風呂につかる
- 目覚めたら日光を浴びる
- 休日と平日で就寝・起床時間を変えすぎない
- 就寝前の飲食は避ける
規則正しい生活リズムを保ち、リラクゼーション技法(深呼吸、瞑想、ヨガ等)を取り入れることで、心身ともにリフレッシュすることができます。
定期的に運動をする
涙が止まらなくなったときの対処方法は、適度に運動することです。前述のとおり、涙が止まらなくなった場合、質の高い睡眠によって症状が改善する可能性があります。
また、運動は、ストレスホルモンを減少させ、気分を高めるホルモンを分泌させる効果があります。
睡眠の質を向上させるには、運動がおすすめです。運動で疲労を感じると、眠りやすくなります。ただし、就寝前の運動は興奮を促し入眠を妨げる可能性があります。
就寝の6時間前までに運動を終わらせておくことで、寝る前の興奮を防ぐことができます。運動は、激しいものである必要はありません。とくに、有酸素運動であれば、睡眠ホルモンと言われるセロトニンの分泌も促進されます。
適度な運動にはウォーキング、ジョギング、水泳などがおすすめです。運動は睡眠の質を向上させる効果もあるため、適切な時間に行うことでより効果的です。
涙が止まらない時、一人でその重さを抱え込まず、誰かの手を借りてみませんか?
涙が止まらなくなるときは、心身の不調を示している可能性があります。
特に自律神経のバランスが崩れている場合、このような症状が現れることがあります。
緊張や悲しみなどの感情が高まると、副交感神経が活発に働き、副腎皮質ホルモンの分泌が増えます。本来ならば、涙を通じてこれらのホルモンが排出され、心のバランスが取り戻されるはずですが、過度のストレスがかかると涙が止まらない状態になることもあります。
また、このような症状は、うつ病や不安障害、適応障害、自律神経失調症など、何らかの精神疾患が背景にある場合も考えられます。こうした状態が続くときは、生活習慣の見直しを行い、ストレス源から距離を置くことが効果的です。
生活の中で食生活を改善したり、適切な休養をとったり、適度な運動を行ったりすることも、症状の軽減に役立ちます。また、自分の気持ちを言葉にして整理することも重要です。
一人で解決が難しいときには、信頼できる誰かに話をすることで新たな視点を得たり、解決策が見えてくることがあります。
そして、心の専門家であるカウンセラーに相談するのもひとつの方法です。
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