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kimikura

2022/05/18

きみくらセレクション-ISSEN- 小杉佳輝

投稿者:きみくら編集部

日本最高の茶師と言われた伝説の茶を継いで

静岡市の市街地から北へ1時間ほど安倍川沿いに山側へ進むと、美しい川が谷間を流れるのどかな田舎風景が広がる玉川地区へとつながっていく。
街なかの風景から一変し、釣り人も訪れる美しい川が谷間を流れるこの地区では果樹や茶畑が家の前に植えられ山の斜面からは霧が流れていくのを眺めることができる。

小杉佳輝(よしき)さんは現在36歳、世代交代を経て後継者として今年7度目のお茶時期を迎える。
大学で農業を学んだあとは地元のJA職員として農家の指導などにあたってきた。
お茶時期に取材へ訪れると寒冷紗を外し、地元の方々と作業に没頭している朝の摘採の時間帯だったこともあり話しかける隙きもないような緊張感が伝わってくる。茶葉の摘採は小杉さんにとって最も気を使う場面の一つ。
この日に作業をした茶畑では斜面の山側と谷側で成長の度合いが微妙に異なり、それに応じて茶葉の採り方を細かく注意しながら刈り取り、更に袋を分けて蒸し時間をそれぞれ調整できるようにしていた。
畑での仕事の様子からもお茶に対しての真剣さや周囲への繊細な心遣いが伝わってくる。
長年作業を共にしている地域の方々と小杉さんの無駄のない作業に見とれていると「工場へ行きます」と いつのまにか車いっぱいに茶袋を詰め込み、驚くようなスピードで細い山道を抜けて茶工場へと続く急斜面を下っていく。

山側と谷側に分けられた茶葉

茶工場へ着くと入り口から奥まで整然としてお茶時期の忙しい工場とは思えないほど汚れがほとんどなく清潔なことに気がつく。
先程まで車に詰め込まれていた茶葉も山側と谷側のものに分けられコンベアの脇に2列に並べられている。

海野さんと小杉さん

やがて製造ラインが動き出し、蒸気を吹き上げると再び緊張感が広がる。
先代の頃から製造を任されてきたベテランの工場長・海野さんとしばらくやり取りをして、ラインが安定してくると少しだけ話を聞くことができた。

言葉では表現できない、本当に美味しいお茶を作りたい

「いま作っているお茶は玉露では無いのですが、それに近いような深みのある味わいを楽しめる煎茶です。 もともと手揉みに近いようなお茶を作ってきているので深蒸しではないのですが、 うちのお茶は水に浸しておけば茶葉が開いて摘み取ったときのような葉っぱに戻っていきます。」
「無駄なことはしたくない、楽をしたい訳ではないけれど畑から工場に入って仕上がるまでとにかく余計に時間をかけたり、不要なストレスをお茶に与えたくないんです。 蒸しもそういう意味では極力お茶の良さが残るように他と比べたら蒸気も圧力や温度が最低限で済むように本来設備についている蒸気を漏らさない為のカバーもうちでは取り外して使っています。 最新の機械はどうしても力が強すぎるので、自分たちの理想のお茶をつくり続けるにはこの機械を大事に長く使っていかないといけないと思っています。」

迷いなくお茶づくりについての考えを語ってくれる佳輝(よしき)さんは、実はそのお茶づくりを日本最高の茶師と言われた叔父・築地勝美さんから託された若き後継者だ。

「手摘みは希少性もあり価格も高くなりますが、今回のものはハサミ(手持ちの茶刈機)でやっています。 ハサミのものはお茶屋さんには評価されにくいこともありますが、手摘みに比べて品質の面でも手刈りするメリットはあるんです。 まず摘採の時間を大幅に短縮できることと、工場に運ぶまでの茶葉の劣化も手摘みより少なくできるという大きな利点があります。 手摘みの良さももちろんありますが、相場に左右されない品質で勝負できるお茶を作ることが何より大事なことだと思います。 お茶を生産する側が自信を持って提供できるものを作り続けていけば、どんな時代でも必ず誰かが評価してくれると思っています。」


「叔父が亡くなる少し前に、日本茶を本気で学びたいというある外国人の方が叔父のお茶を飲んで「日本に来てよかった」そう一言つぶやいたそうです。
その方は海外で日本茶の素晴らしさを知り、それを産地に来て学びたいと思い、彼の中にある理想のお茶を長年探し求めていたそうです。

自分もその同じ年に叔父のお茶を飲んだときの事を覚えているのですが、本当に素晴らしいものに出会った時、 人は簡単に「おいしい」とか「すばらしい」なんて言えないのだと知りました。
言葉にならないくらいの感動を与えられるお茶を自分も作れるようになりたいと思っています。」

小杉 佳輝(こすぎよしき)

1985年生まれ
現在就農7 年目。大学の農学部を修了しJA に6 年間勤めた。 農学部を選んだことは叔父の影響もある。( 叔父:築地勝美さん 東頭を日本一のお茶にした名人) 叔父の容態が悪くなり佳輝さんが叔父の後継者となる。

きみくらセレクション-ISSEN-
浅蒸し煎茶 やぶきた
小杉 佳輝

丁寧に手摘みをした茶葉本来の旨みと香りを際立たせつくられた浅蒸し煎茶は、やさしくでも芯のある力強い味わいで、爽やかな山の香りが口いっぱいに広がります。

[30g 小箱入り] 1,980円(税込)