2020年08月 欅平ビジターセンター STAFF BLOG

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欅平ビジターセンター
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欅平ビジターセンター STAFF

欅平ビジターセンター
〒938-0200
富山県黒部市宇奈月町黒部奥山
TEL:0765-62-1155
 
黒部峡谷の景観とそこに生息する動植物の紹介。黒部峡谷の誕生や歴史・地形・地質・景観・動植物・登山ルート、峡谷と人間の関わりをマルチイメージスライドにより紹介しています。

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夏の雲と秋の花

暑い日が続いていますが。もう8月も終わろうとしています。
台風もいくつか発生しているのですね。
遠く離れているとはいえ欅平でも雲行きの怪しくなることがあります。

そんな先日。パノラマルート(シジミ坂)の巡視に行ってきました。
ルートについては→ 去年の記事 も。ご参考までに。
※今年度の「パノラマ展望ツアー」は残念ながら全面中止となっております。(T-T)また来年。

まだ気温は昼間30℃近くにまであがるのですが。秋の花も咲き始め。

20200829_1.jpg 
20200829_2.jpg
オオアキギリです。
名前の由来は葉の形が桐の葉に似ているから(!!! お前もか!)。
。。。前回の記事 をちょっと思いだしました。
さておき。お盆を過ぎると青色系の花が増えるような気がします。

20200829_3.jpg
1本目の鉄塔を過ぎると ウォー太郎 が。今年も応援してくれています。

20200829_4.jpg 
20200829_5.jpg
こちらはオクモミジハグマ。
漢字で書くと奥紅葉白熊。奥山に咲くモミジハグマの意。
葉の形がモミジ(カエデ)に似て、花の形は白熊(はぐま)=兜の飾りなどに使う白いふさふさしたものに見たてたとか。

秋の花など愛でながら1時間ほど登ると展望台に到着します。

20200829_6.jpg
奥鐘山。
右下のほうにちょっとだけ西壁の端っこが見えます。
「パノラマ展望台って行ってみる価値あるの?何が見えるの?」
と聞かれることがあります。
天気が良ければ遠くに立山連峰の毛勝三山とか後立山連峰の唐松岳の稜線などが見えたりします。
個人的には奥鐘山の全体像を眺められるのが一番のおススメと思っています。
下からは見られないキレイな釣り鐘の形。
登ってみて「何を」得られれば満足するかは人それぞれですので。
登ってみられた方の中に「何か」一つでも残っていただければ良いな。と思います。

写真の奥鐘山の周りにもくもくと怪しい雲が湧いていますが。
お察しの通り。このあと夕方にかけて雨が降りました。
登山なさる方くれぐれも急激な天候の変化にご注意くださいませ。

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牡丹の葉

最近トロッコの車窓から見ていて気になっていた白い花
わしゃわしゃと他の木や草にまとわりついて咲く蔓性の植物
宇奈月駅駐車場でも見つけました。

ボタンヅル1
ボタンヅルです。

ボタンヅル2
名前の由来は葉の形がボタンに似ていて蔓になるから。
花の様子はボタンには全く似ていません。

ボタンヅルはトロッコ沿線でも宇奈月からせいぜい森石あたりまでしか見つけられません。
欅平にも無さそうなのですが代わりにこの花をご紹介。

クサボタン1
クサボタンです。
こちらも名前の由来は葉の形がボタンに似ているから。

ボタンの葉ってそんなにポピュラーなものだったのでしょうか。

クサボタン2
涼しげな淡紫色の花の形は釣鐘型。。。と一応申し上げますが。
実は花びらのように見えるのは萼(がく)と呼ばれるもの。

ボタンヅルとクサボタンはぱっと見あまり似ていませんがどちらもキンポウゲ科センニンソウ属 Clematisの一種です。
クレマチスといえばガーデニング好きの方ならよくご存じの。あのテッセンとかカザグルマの仲間です。
センニンソウ属の特徴は花弁(花びら)の無いこと。園芸品種のクレマチスのあの色とりどりの花びらに見えるものは正確にいえば萼片です。
あと共通する特徴といえば有毒植物なこと。
薬に使われることもありますが基本有毒なのであまりさわらないほうが良いものです。
草の汁などがつくと皮膚に炎症を起こすこともあるそうです。

葉の形がボタンの葉に似ていることがセンニンソウ属の特徴ではありません。念のため。
たまたま「ボタン」の名がつく花がふたつ揃ったので。ご紹介しました。

クサボタン3
クサボタンの花は名剣温泉手前の道の両側で今ちょうど見頃です。
そう。あの場所。
やっぱり 崖っぷち

「蝶」と「舟」

まだまだ暑い日が続いていますが立秋も過ぎてまもなく処暑。
ゆるやかに秋に近づいています。

タテヤマハギ1
秋の七草のひとつ萩の花が見頃です。

万葉集の中で植物を詠んだもののうち萩を詠んだものが最多の141首なのだそうで。
日本人にとって万葉の時代から身近な植物だったのでしょう。
ちなみに2番目に多いのが梅の118首。令和。

一般的に萩の花といえばハギ属Lespedezaの花のことを指します。
日本にはおよそ10から20種ほどが自生しているようで。
よく見られる野生種はヤマハギ、ケハギ、マルバハギなど。
栽培されているものではミヤギノハギが有名です。

タテヤマハギ2
欅平周辺では名剣・祖母谷方面道路でよく見られるのがケハギの仲間。
あえて分類するならタテヤマハギかと。
ちょっとそのあたり(ミヤギノハギとケハギとタテヤマハギあたり)線引きがあいまいなので。。。なんとも。
まあともかく萩の花です。
山の崩れたところなどに真っ先に入ってくる先駆植物(パイオニア)でもあります。
よく陽の当たる 崖っぷち!。好きなんですね。

タテヤマハギ3
ハギを含むマメ科の植物の多くは蝶形花冠という花の形(構造)をしています。
蝶の形だろうか。。。横から見ると蝶が止まっている形に見えなくも。ない。です。
他のマメ科の花には蝶により似た感じのものもありそうです。

タテヤマハギ4
その蝶形花冠。3種類の花弁(花びら)から成り立っています。
写真のハギの花でいうと上に1枚大きく突き出した花弁が旗弁。
一番下の膨らみのあるのが竜骨弁(舟弁)で2枚が合わさり雄蕊や雌蕊を包んでいます。
そして真ん中の横に2枚突き出しているのが翼弁といいます。ケハギの仲間ではこれがちょっと短めなのがポイント。
竜骨は英語ではKeel。船底の曲線部分の構造(部材)を指します。たしかに。これは納得。
そして上に帆を立てているような旗弁を目印に虫たちが蜜を求めてくるのだそう。

蝶の形なのか舟の形なのか。
みなさんは何を連想しますか。

ただいま猿飛遊歩道にも行けませんので。
ちょっとこちらで萩の花の観察とか。
いかがでしょう。

令和2年8月13日猿飛峡遊歩道の新たな場所の被災状況

猿飛峡遊歩道の被災
令和2年8月13日猿飛峡遊歩道が新たな場所(1号トンネルと2号トンネルの間)で落石・落木が発生して遊歩道が被災し、さらなる落石が予想されることから、令和2年8月13日午前9時から通行止めとなっております。通行可能となりましたら当ブログでもお知らせいたします。
来訪者の方々には御理解いただきますよう、お願いします。

虫の声

酷暑。極暑。炎暑。。。どれもがふさわしい感じで暑いです。
欅平でも今日は30℃近くにまでなりました。

蝉時雨も季節とともにちょっと変化して
先月まではヒグラシが大合唱していましたが
梅雨明けとともにミンミンゼミに移り変わりました。
(早朝や夕方にはヒグラシの声も聞かれます。)

ヒグラシ
ヒグラシの♂。体長3、4cmほどの小さなセミです。

そういえば 去年ビジターセンター窓に来たミンミンゼミ は♀でした。

虫の声は他にも。
草むらではキリギリスの声が時折聞こえてきます。

ヤブキリ
こちらはキリギリス(たぶんヤブキリ)の♀。お尻に長い産卵管があります。
タニウツギの葉の間で隠れていました。

セミもキリギリスもなかなか鳴いている♂の姿を見つけられません。
大きな声で鳴くために敵に見つからないよう用心深くしているのでしょうか。
声はすれども。。。
そんな中鳴いている姿をよく見かける虫が現れました。

ホソクビツユムシ1
ホソクビツユムシです。ブナ帯に多いのだそう。

ホソクビツユムシ2
「じいっ。じっじっじっじっじっじっ。じきじち。」
と鳴いてはすぐにせかせかと移動して止まってはまた鳴きます。
見ていると。ひとことで言えば。せわしない。
良く動くので鳴き声が聞こえたら少しそのあたりを見ているとうろうろする姿を見つけることができます。

虫の声といえば「秋の夜長を鳴き通す♪」と歌われ
秋でなくともスズムシやコオロギなど夏の夜に鳴くものも多いのですが。
夏の炎天下で聞こえる虫の声もありますので見つけてください。

ミンミンゼミの声とか。。。きもち暑さ倍増してきますが(^^;)。。。
これも今の季節だけのもの。
まもなく暑さのピークも折り返します。

パノラマ展望台まで通行可能

IMG_7228.jpg
ビジタセンター横から登れるパノラマ展望台ルートが7月31日より通行可能となりました。雨量規制等で通行止めになることもありますが、欅平周辺の散策コースとして楽しんでいただけます。
ただし、急勾配ののぼりが続く登山道です。それなりの装備(トレッキングシューズ、飲料水など)が必要となります。パノラマ展望台の標高は858メートルですから、およそ250メートル登ることになります。
でも、そこから見える山々は、そこまでの疲れを吹き飛ばしてくれますよ。準備と心構えをしっかりしたうえで入山してください。

青いクルミ

広場 サワグルミ大木
ビジターセンター前のサワグルミの大木。
このブログでは何度も登場していますのでおなじみなのでは。と勝手に思っています。

ごくたまに「え?クルミ?食べられるの?」と聞かれることがあります。
ひとことでお答えするなら「食べられません」。

サワグルミ果実
夏の間よく見るとふさふさとたくさんの果実をぶら下げています。

サワグルミ落ちた実
まだ青くて熟していないのですが(ちなみに茶色く熟した様子→ 去年の9月
先日の大雨で落ちてしまった果実を見てみましょう。

サワグルミ青い実
翼(よく)と呼ばれる羽根のような形のものが両脇についています。
中央の膨らんだ部分の中にいわゆるクルミが入っています。

サワグルミ去年の実
これはおそらく去年落ちたもの。
硬い殻につつまれているあたりはおなじみのクルミと同じといえますが。
とにかく。小さい。
毒があるかどうかはちょっとわかりませんが殻を割って食べられる部分があるとしても小さすぎますね。

オニグルミ果実 オニグルミ木
こちらが食べられるクルミの一種、オニグルミです。
宇奈月駅からの散策ルート「やまびこ遊歩道」のトンネルの先にオニグルミの大きな木がありました。
直径3、4cmほどの丸い果実をたわわに実らせていますがこちらもまだ青くて食べられません。
秋になって熟して周りの柔らかい果肉をはがすとおなじみのクルミの実が現れます。

サワグルミもオニグルミも川の近くに多く分布します。
特にサワグルミは沢沿いで大きな群落を作ることもあります。
熟して落ちた果実が長時間水に浸かったとしても中の種子はクルミ特有の硬い殻に覆われているので腐らずに発芽に適したところにつくまで守られるのでしょう。

やまびこ遊歩道入口
宇奈月駅横の「やまびこ遊歩道」の看板の後ろにもオニグルミの木がありますのでお時間があれば(まだ青い)クルミの実探してみてください。

ちなみにこの看板の後ろの草むらでここ数日キリギリスが大合唱しています。
なかなか姿は見えませんが。
ぜひご鑑賞ください。
「ぎいいいいい…っちょん。」

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