黒部峡谷の植物 欅平ビジターセンター STAFF BLOG

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〒938-0200
富山県黒部市宇奈月町黒部奥山
TEL:0765-62-1155
 
黒部峡谷の景観とそこに生息する動植物の紹介。黒部峡谷の誕生や歴史・地形・地質・景観・動植物・登山ルート、峡谷と人間の関わりをマルチイメージスライドにより紹介しています。

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紅葉と楓

11月です。
朝はやい時間や雨の日などはかなり冷え込みます。
おかげさまで紅葉もよく色づきました。

先日ナチュラリストのT(I)さんに
「モミジとカエデはどう違うの」という質問を承りました。

この「モミジ」と「カエデ」問題。けっこう皆さま気にされているようで。
インターネットで検索するとたくさん説明が出てきます。

まずは「モミジ」。
漢字で書くと「紅葉」。
「もみじ」とも「こうよう」とも読みます。
そもそも葉の色が変わることを紅葉(こうよう)といいます。
この語源が「もみづ」という動詞。
おそらく「揉み出る(もみいづる)」から来ているのではないかと。
水の中で染料を含んだものを揉むと水がじわりと染まっていくようなイメージですか。
確かに紅葉していく様子もじわりじわりと変化するように感じます。

つまりもともと「モミジ」は色づいた葉の総称を指していたと考えられます。
その後ひときわ赤く色づくものの代表として特定の木の名前に当てられたもの。
一般的に「モミジ」の名前で呼ばれるものはイロハモミジの仲間。

yamamomiji.jpg 
yamamomiji3.jpg
欅平で見られるのはヤマモミジ。
切れ込みが深くて裂片が細くはっきりしていていかにも「モミジ」という葉の形です。

では「カエデ」。
こちらの語源は「カエルの手」。
これはもう。葉の形の特徴から来ています。指の間に水かきのある形。
分類学的にはカエデ属Acerに含まれるもの全体を指すこともあります。
先ほどのヤマモミジ(イロハモミジの仲間)もカエデ属に含まれます。
ということでは「モミジ」は「カエデ」の仲間ともいえます。

他にも欅平周辺で見られるカエデ属はいろいろ。

hautiwakaede1.jpg
ハウチワカエデ(コハウチワカエデかも)。
団扇っぽい形です。天狗の持ってそうなやつ。

itayakaede2.jpg 
itayakaede1.jpg
イタヤカエデの仲間(たぶんエゾイタヤ)。
黄色くなる葉の代表種です。

kominekaede2.jpg 
kominekaede1.jpg
コミネカエデ。
落ち葉には真っ赤のものがあるのですが枝に赤い葉がなかなか見つかりません。
崖の上のほうの陽当たり良いところのものが飛ばされてきているのでしょうか。

urihadakaede1.jpg 
urihadakaede2.jpg
ウリハダカエデ。
幹が瓜の実のように緑がかって縦じまがあります。

カエデ属というだけあっていかにもカエルの手のような形の葉のものもありますが。
葉の裂けていないものもあります。

megusurinoki1.jpg 
megusurinoki2.jpg
メグスリノキ
残念ながら欅平では見つかりませんが鐘釣周辺やその下の沿線の所々に見つけられます。
他の木に比べると紅葉が少し遅いのでこれからキレイに赤く色づきます。

ひとくちに「カエデ」といっても様々。
「モミジ」や「カエデ」が脚光をあびる季節です。
どうぞお楽しみください。

小さな赤

日に日に秋が深まっています。
紅葉も日毎に色を変えるので毎日が違う景色。

20201017_1.jpg
猿飛遊歩道から見た奥鐘山。

20201017_2.jpg
山頂付近はかなり色づいています。

20201017_3.jpg
駅前広場から対岸を見ると所々に赤い葉も目立ち始めました。

20201017_4.jpg
赤く紅葉する木といえば ナカマナド が有名なのですが。
欅平のものは(去年もそうでしたが)葉がチリチリに枯れてしまって。キレイな紅葉は見られそうにありません。
赤い実はキレイに熟しています。

20201017_5.jpg
ナナカマドと同じく羽状複葉で赤く色づいているのがヤマウルシ。よく目立ちます。

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大きな丸い葉は オオカメノキ

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ハウチワカエデも部分的に赤くなっています。手前のほうはまだまだ緑色。

20201017_8.jpg
ヤマモミジ。なんなのでしょう。このポツリポツリと赤い葉が点在するのは。
同じ木の同じ枝で赤くなる葉とならない葉の理由が知りたいです。

20201017_9.jpg
ひときわ赤いヤマブドウ。つる性なので他の木の樹冠におおいかぶさっていると大きな赤い葉が遠くからでも目立ちます。

他にも足元の小さな草の葉も部分的に赤く紅葉していたりするので見つけてみてください。

完全に赤や黄色に紅葉してしまった葉はまもなく落葉します。 参考※紅葉と落葉の話
今日見た景色は今日だけの色。
ぜひ一期一会の景色をご堪能下さい。


ブナとミズナラ

10月です。

VC前広場
まだ紅葉には程遠いですが真夏の緑は影を潜め
やや黄色がかったりぽつりぽつりと赤い部分も見え始めました。
昨年は例年に比べると1週間から10日ほど紅葉のピークは遅れました。
はたして今年は。如何なりましょう。

紅葉や落葉は植物にとって 来年の準備
色が変わった部分は普通に黄葉している葉もあるのですが、傷んでしまったのか落葉を急いでいるものもあるようです。

ブナ落葉木
猿飛遊歩道途中のブナの木。
なぜだか今年はすでに葉を落としてしまったものが目立ちます。
(まだ葉をたくさん残している木もありますが。)
冬芽はちゃんと出来ているようなので枯れてしまったわけではありません。たぶん。

紅葉も気になるところですが
今年もっと気になっているのがブナの凶作。2年連続の凶作。

ブナ堅果
昨年みつけたブナの果実。
ほとんど見つけられないくらい数も少なかったのですが
やっと見つけても中の堅果が膨らんでいませんでした。

ブナの結実が豊作となるかどうかに周期性があることはよく知られています。
おおよそ5~7年に1回程度豊作となり、その他の年は並作や凶作となります。
今年は去年以上に果実が見つかりません。
富山県だけでなく近隣の長野、岐阜、愛知でも同じ状況とのこと。

ミズナラ堅果
今年みつけたミズナラの果実。どんぐりです。
猿飛遊歩道でころころと所々に落ちています。が。
こちらも去年に比べると格段に少ないようです。

河原園地ミズナラ
河原園地のミズナラの木。
ミズナラの実のつき方にもやや周期性はありますが、ブナほどシビアではなく、地域差や個体差も大きいので全く実らないということはなさそうです。

ブナの実もミズナラの実も
野生動物にとってこれから長い冬を越すための貴重な栄養源となります。
クマの行動にも影響してしまうかもしれませんね。
心配です。

菊日和

この4連休の最終日は秋分の日。
お彼岸ですね。
暦の上でも季節の節目。
これからどんどん秋も深まります。

日本の秋の花といえば「菊」でしょうか。
花屋さんで売られている様々なキクも思い出されますが。
欅平周辺でこの時期に花が見られるキクの仲間をご紹介。

20200921_1.jpg 
20200921_2.jpg
まずは。秋といえばのアキノキリンソウ。
鮮やかな黄色で草丈が大型のものは花もたくさんつくので良く目にとまります。
小型のものは高山に咲くミヤマアキノキリンソウとよく似ています。
が。欅平のものはアキノキリンソウ。
。。。と思います。※正直あまり違いはない。
ちなみにミヤマアキノキリンソウの別名はコガネギク。
どちらもまさしく黄金色。

20200921_3.jpg 
20200921_4.jpg
うっすらと紫色のノコンギク。
山や里の野菊の代表ともいえる花です。
葉をさわるとザラザラするのがポイント。
よく似たヨメナはあまりザラつきません。
「野菊のような人だ」の野菊はノコンギクだという説も。

20200921_5.jpg 
20200921_6.jpg
ちょっと特徴的なところでチョウジギクです。
花のつき方がスパイスの丁字(クローブ)に似てるからの名前です。
高山に咲くウサギギクの仲間で
別名がクマギク。。。ウサギでクマなのか。。。

渓流沿いや谷筋などに多いようで
見つけたのは祖母谷方面道路の名剣温泉の先。雪崩沢あたり。
春先に スノーブリッジ ができるあたりの道端。
 ※今年は雪が少なくて見られませんでした。(T-T)
水が崖を流れ落ちる周辺にまとまって咲いていました。

キク科は植物の中でもかなり多種多様に分化している大きな分類群です。
なかにはいわゆる菊の花っぽくないものもありますし
生育している環境の違いによっても色々。

色々見つけて比べてみるのも良し。
ただ見て愛でるのも。楽しい秋です。


牡丹の葉

最近トロッコの車窓から見ていて気になっていた白い花
わしゃわしゃと他の木や草にまとわりついて咲く蔓性の植物
宇奈月駅駐車場でも見つけました。

ボタンヅル1
ボタンヅルです。

ボタンヅル2
名前の由来は葉の形がボタンに似ていて蔓になるから。
花の様子はボタンには全く似ていません。

ボタンヅルはトロッコ沿線でも宇奈月からせいぜい森石あたりまでしか見つけられません。
欅平にも無さそうなのですが代わりにこの花をご紹介。

クサボタン1
クサボタンです。
こちらも名前の由来は葉の形がボタンに似ているから。

ボタンの葉ってそんなにポピュラーなものだったのでしょうか。

クサボタン2
涼しげな淡紫色の花の形は釣鐘型。。。と一応申し上げますが。
実は花びらのように見えるのは萼(がく)と呼ばれるもの。

ボタンヅルとクサボタンはぱっと見あまり似ていませんがどちらもキンポウゲ科センニンソウ属 Clematisの一種です。
クレマチスといえばガーデニング好きの方ならよくご存じの。あのテッセンとかカザグルマの仲間です。
センニンソウ属の特徴は花弁(花びら)の無いこと。園芸品種のクレマチスのあの色とりどりの花びらに見えるものは正確にいえば萼片です。
あと共通する特徴といえば有毒植物なこと。
薬に使われることもありますが基本有毒なのであまりさわらないほうが良いものです。
草の汁などがつくと皮膚に炎症を起こすこともあるそうです。

葉の形がボタンの葉に似ていることがセンニンソウ属の特徴ではありません。念のため。
たまたま「ボタン」の名がつく花がふたつ揃ったので。ご紹介しました。

クサボタン3
クサボタンの花は名剣温泉手前の道の両側で今ちょうど見頃です。
そう。あの場所。
やっぱり 崖っぷち

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