星見用の忘備録

星見用の忘備録

主に天体撮影に関する忘備録です。撮った条件とか、画像処理条件とか、トラブルについて忘れないように。

ASIAIR Proでのキャリブレーション不良

昨日は台風の影響か久しぶりに晴れたので、撮影に行ってきました。とはいえ体調があまり良くなかったので、近場かつ1対象のみの撮影です。その際にASIAIR Proでトラブルがあったので、現段階でわかっていることを記録します。

 

 

・発生した問題

ASIAIR Proを使用しオートガイドを実行しようとしたところ、キャリブレーションが失敗するという現象が確認されました。オートガイド画面へ移動→過去のキャリブレーション情報を消去→露出開始(2秒)→ガイド開始→キャリブレーション開始と進めましたが、キャリブレーション中に「星の動きが不十分だったためキャリブレーションを完了できませんでした」というウィンドウが出てキャリブレーションが中断されるというものでした。
ホットピクセルを星と誤認した可能性を考え、オートガイド画面を見ながらガイド鏡を遮り、光が消えた点を基準星に指定してキャリブレーションをしましたが、それでもエラーは解消されませんでした。

他、ガイド鏡のピントを合わせなおしたり、システムを再起動したりもしましたが、エラーは解消されませんでした。

装置構成は7/4に撮影を行ったときから変えていなかったため、過去のキャリブレーション情報を使用して追尾ができるかも試しましたが、追尾を開始するとDECは補正されるのに対してRAは補正されずズレが拡大していってしまい、試しにフリップをして様子を見ると今度はRAは補正されるのにDECが補正されない、という動作をしていました。

 

・装置構成

鏡筒:FSQ-85EDP(QB0.73レデューサー) 328㎜ F3.9

架台:ビクセン SXD2(リミテッド)

カメラ:ASI2600MC Pro

ガイド鏡:ミニガイドスコープ 30F4 

ガイドカメラ:ASI385MC

フィルター:CBP(ASI2600MC Proに付属のUV-IRカットフィルター併用)

その他:ASIAIR Pro(2.2.2(11.30))

    ZWO EAF

 

・解決法

あれこれ弄っている際に、撮影直前にASIAIR Proのファームウェアをアップデートしたことを思い出しました。ASIAIRは基本的にファームを戻すことはできないので頭を悩ませましたが、予備で買ったASIAIR Proがあることを思い出しました。予備の方はファームをアップデートしていなかったので、古いファームでキャリブレーションができるかを確認しました。

最新のファーム:2.2.2(11.30)

予備ASIAIR Proのファーム2.2.2(11.08)

 

結果として、予備のASIAIR Proでは問題なくキャリブレーションを行うことができました。この結果だけ見れば、最新のファームウェアに問題があると言えそうです。

 

・問題の原因予想

不思議なのは、キャリブレーション時の信号はASIAIR Proからスターブック10へ適切に送られている(とみられる)点です。スターブック10使用時にASIAIRでキャリブレーションを行うと、追尾誤差測定のためにASIAIRから赤道儀にRAまたはDEC方向に一定量動くように信号が出ます。その信号に合わせてスターブック10の矢印が赤く光り、赤道儀が一定量動きます。最新ファームのASIAIRでもスターブック10の矢印は光っていたため、ASIAIRからの信号をスターブック10が受信していることは間違いなさそうです。

このことから問題点は

 

〇ASIAIR→スターブック10の通信はできていているのに赤道儀が動いていない、

赤道儀が動いていてもその変化量をASIAIRが読み取っていない

 

いずれかだと考えています。過去のキャリブレーション情報を使用して追尾を試した際には、星は認識するもののRA・DECの一方に補正がかからないという挙動をしていたため、赤道儀がASIAIRの信号を拾えていないような印象があります。

 

これが全面的に最新ファームウェアが悪いのか、最新ファームと装置構成の相性の問題なのかは現状不明です。ただ国内・海外問わず同様のエラー報告があまりみられないことや、前回の記事(ASIAIR使用時のトラブルについて - 星見用の忘備録)でも書いたとおり、ASIAIRとビクセン赤道儀(スターブック10)の相性はあまり良くなさそうという実体験もあるので、装置構成を変えてテストをしてみたいと思っています。

 

ASIAIR、うまく動けば便利ですが、なかなか一筋縄ではいかない装置ですね(´・ω・`)

ASIAIR使用時のトラブルについて

 過去の機材紹介の記事(使用機材について~カメラ・撮影補助機材・眼視用機材・その他~ - 星見用の忘備録)にも記載しましたが、私は撮影時にASIAIRを使用して撮影を行います。ASIAIRはZWOの販売する機材(冷却カメラ、オートフォーカサー、ガイドカメラ、フィルターホイールなど)や赤道儀をコントロールできるユニットです。タブレットをASIAIRに接続することで、離れた位置から機材をコントロールすることができます。これにより、車の中で仮眠を取りながら撮影状況を随時確認することができるようになるので、私のような極力楽をしたいものぐさな人間にぴったりな道具となっています。

 ただ往々にして、便利なツールはトラブルを起こすと全てが台無しになる可能性を秘めているものです。今回は過去にASIAIRを使用した撮影で発生した問題について、忘備録としてその内容と解決方法を記したいと思います。

・はじめに

今回の記事は、2021年10月あたりに起きたASIAIRの問題をまとめたものです。そのころからASIAIRのバージョンは何度も更新されているため、現在では発生しない現象である可能性があることを念頭に置いて頂ければと思います。
またあまり画像が残っていないため、文章ばかりの見苦しい内容になってしまうことを予め謝罪いたします。

 

・背景

 ASIAIRは対象を導入してオートガイドを開始し、撮影条件(露光時間、ゲイン、温度、枚数)を指定すれば、あとは放っておくだけで自動で撮影を行ってくれます。設定はASIAIRとWifi接続したAndroidiOS端末で行います。基本的にASIAIRがスタンドアローンで動作するため、撮影を開始すればWifiが切れてもASIAIRの動作が止まることはないと代理店から説明を受けていました。
 実際にASIAIR ProはWifi電波が弱いという弱点があり、車外で設定を行った後に車内へ端末を移動させると接続が切れることがあったものの、しばらく放置するか車外へ出れば再接続が行われ、その間も正常に動作していることが確認されていました。

 

・発生した問題

 ASIAIR購入直後は特に問題なく稼働していましたが、2021年10月初旬以降、オートラン中にASIAIRは起動しているのに撮影した星が大きく流れて映る現象が発生するようになりました。ASIAIRのステータスを確認すると、撮影開始前にはASIAIRに接続されていたガイドカメラと架台が切断された状態になっていることが分かりました。

ガイドと架台接続が切れるパターン
(直撮りで見苦しい画像です……。すみません……。)

 ガイドカメラと架台がASIAIRから切り離されたことにより、ガイドなしで長時間露光を行っている状態となり、星が流れて映るようになったと判明しました。撮影中にASIAIRとガイドカメラや架台をつなぐUSBコードがどこかに引っ掛かり外れた、または接触不良状態になったかとも考え確認しましたが、USB接続に問題は見られませんでした。

 またこの現象に特徴的な点として、接続が切れてしまったガイドカメラや架台を再接続しようとしても受け付けない様子が確認されました。

ガイドカメラの際接続不可

 こうなってしまったカメラや架台は一度ASIAIRの電源を切り、再起動をしないと再接続できないことがあることが分かっています(再接続できることもあります)。この現象は複数回確認され、高確率でガイドカメラのみ接続が切れ、稀にガイドカメラと架台の両方の接続が切れるという状態でした。架台の接続が切れているときはガイドカメラの接続は100%切れていたと記憶しています。
 
 背景で記したように、ASIAIRはスタンドアローンで望遠鏡や架台の動作を制御し撮影を行うシステムです。そのため撮影中に突然ガイドカメラや架台との接続が切れて復帰しないのは致命的な問題であり、なぜこういった現象が起こるのかを調査することになりました。

 

・装置構成

当時問題が発生していた構成は以下の通りです。

 鏡筒:REDCAT51、FSQ-85EDP
 架台:ビクセン SXD2 リミテッド
 カメラ:ASI294MCP、ASI533MCP
 ガイド鏡:60mmガイドスコープ、ミニガイドスコープ 30F4
 ガイドカメラ:ASI120MM-mini、ASI385MC
 その他:ASIAIR Pro(後に購入したASIAIR Plus)
     EAF
             ASIAIR制御用タブレットAndroid

これらを組み合わせ、条件を振って検証を進めました。

 

・着手した検証

 発生している異常は「架台とASIAIRの接続が切れる」と「ガイドカメラとASIAIRの接続が切れる」の2点でした。そのためそれらに影響がありそうな要素から確認を行いました。

〇ASIAIRへの供給電力不足
 ASIAIRは撮影用のカメラやガイドカメラ、EAF、その他状況によってはEFWなどを接続して使用します。そのため消費する電力も相応と考えられ、高めの電力(電流・電圧)を供給しないとASIAIRがうまく動作しないのではないかと考えられました。(実際に供給電力が不足するとASIAIRの動作が不安定になることが代理店から注意喚起として発信されています。)
 そこでASIAIRに電力を供給するACアダプターを確認しました。問題発生当初使用していたACアダプターはDC12V3Aでした。推奨は12V5Aだったため、12V5Aのアダプターに変更して様子見をしましたが、問題は解消されませんでした。電圧の不足も考え13.5V3Aで動作させる試みも行いましたが、それでも問題は解消しませんでした。
 
〇架台とASIAIRの接続不良
 ASIAIRをSXD2赤道儀で使用する場合、SXD2赤道儀のコントロールユニットであるSTARBOOK10とASIAIRをLANケーブルで接続する必要があります。このLANケーブルに劣化や損傷がある可能性を考慮し、新品のLANケーブルで撮影を行いました。結果として、LANケーブルを交換しても問題は解消されませんでした。

 

〇ガイドカメラとASIAIRの接続不良
 ガイドカメラとASIAIRはUSBケーブルを使用して接続します。このケーブルに損傷や接触不良がある可能性を考慮し、ケーブルの交換を行いました。しかし結果として、USBケーブルを複数回交換しても問題は解消されませんでした。

 

 このように、ハード面でASIAIRとガイドカメラ・架台との接続に影響しそうな要素は無さそうという結果が得られました。一方でこれらの検証をしている際に、ASIAIRとタブレットとのWifi接続が頻繁に切れる環境にあると「ASIAIRとガイドカメラの切断」が発生しやすいような感触を得ることができました(具体的には撮影中にタブレットを車の中に持ち込む、等)。
 しかしASIAIR Proとタブレットの接続切断は双方が近距離(2m以内)に置かれた状況でもまれに発生するため、仮にWifi接続が切れることが「ASIAIRとガイドカメラの切断」の原因だったとしても対処のしようがなく、頭を悩ませる状態となっていました。

 そんな折に、ZWOから新製品のASIAIR Plusが発売されました。この製品はASIAIR Proに見られた「Wifi電波が金属製のボディに遮蔽され弱くなる」という問題を改善したもので、「ASIAIRとタブレットの接続の不安定さ」を改善できる可能性を秘めた製品でした。
 そこで発売とともに最速で入手できた某代理店から購入を行い、ASIAIR Plusとタブレットの接続強度についてと「架台とASIAIRの接続が切れる」「ガイドカメラとASIAIRの接続が切れる」という2つの問題が発生するか検証を行いました。

 

 しかし結果としては惨憺たるもので、ASIAIR Plusの電波強度は間違いなく向上しているにもかかわらず、「架台とASIAIRの接続が切れる」「ガイドカメラとASIAIRの接続が切れる」といった問題は解消しませんでした。

ASIAIR ProとPlusの電波強度比較

 加えてなぜか電波強度が最大であるにもかかわらず、タブレットとの接続が一瞬切れて再接続が行われるという現象が確認されました。
 タブレットとASIAIRの切断・再接続が何らかの悪影響を発生させているという懸念が自分の中で強まったため、その旨をASIAIR Plusを購入した代理店に相談することにしました。その際に以下のような検証を行い結果を共有しましたが、解決の手掛かりは得られませんでした。

 

①ASIAIR PlusのWifi強度の確認
   →正常(ASIAI Pro<Plus)
②ASIAIR Plusに流れる電圧の確認
   →12.2Vで正常の範囲内
③ASIAIR Plusにメインカメラとガイドカメラだけを接続し、時間経過でガイドカメラが切断されるか
   →ASIAIRのWifi切断が何度か起こり、ガイドカメラが切断される
④ASIAIR PlusにメインカメラとSXD2だけを接続し天体を自動導入して放置した際に、時間経過でガイドカメラが切断されるか
   →Wifiは何度か切れたが架台とASIAIRは切断されない
⑤ガイドカメラに使用するケーブルをUSB3.0のものからUSB2.0に変更し、接続先もUSB2.0に接続する
   →USBの種類、接続先にかかわらずガイドカメラとASIAIRの接続が切断された
⑥ASIAIR Plusにメインカメラとガイドカメラだけを接続し、タブレットWifi電波の弱い場所に置く
   →電波強度4~3では約11時間放置でもガイドカメラとASIAIRの接続は安定

    電波強度2~1の場合、ガイドカメラとの接続が切断された

 

 結局のところ代理店からは「ASIAIRにとってタブレットはリモコンでしかないため、ASIAIRとタブレットの切断は撮影に影響を与えない」、「ZWOに問い合わせたが、現象を再現できなかった」という回答を得た程度で、問題の解決はなされませんでした。
 その後は尻切れトンボに代理店の反応がなくなり、自力での対処を行う必要に迫られました。

 

SNSでの調査

 これまでの調査で、タブレットとASIAIRの接続安定性がガイドカメラや架台との接続の切断と関連している可能性が示唆されたため、同様の問題が発生していないかTwitter(現X)で調査を行いました。特に撮影設備と切断現象の有無について詳しく聞き取りをさせていただきました。
 結果として5名の方から回答をいただき、内2名で同様の現象が発生していると報告をいただきました。装置構成と切断現象の有無をまとめると以下のとおりです。

 

私:Android10+ASIAIR+ビクセン赤道儀(スターブック10使用)→ ガイドカメラや架台とASIAIRの接続切断あり
Aさん:Android10+ASIAIR+ビクセン赤道儀(スターブック10使用)→ ガイドカメラや架台とASIAIRの接続切断あり
Bさん:Android13+ASIAIR+ビクセン赤道儀(スターブック10使用)→ ガイドカメラや架台とASIAIRの接続切断あり
Cさん:iPad(第5世代)+ASIAIR+ZWO AM5 → 正常動作
Dさん:iPad+ASIAIR+アイオプトロン架台 → 正常動作
Eさん:iPad(第5世代)またはAndroid10+ASIAIR+SkyWatcher赤道儀 → 正常動作

 

 これらの結果から、Android端末+ASIAIR+ビクセン赤道儀(スターブック10)の組み合わせで切断が発生すると推測されました。そこで前述の「・装置構成」で示した構成からタブレットだけを第五世代iPadに変更して、一晩運用を行いました。結果、iPadを使用した場合は一晩安定して撮影を行うことができました。この日以降はASIAIRの操作端末をiPadに変更しましたが、ASIAIR Plus・Proいずれであってもガイドカメラや架台がASIAIRから切断される現象は発生しなくなりました。

 加えて回答をいただいた方の中から、Android端末+ASIAIR+ビクセン赤道儀(スターブック10)の組み合わせであってもオートランで撮影開始直後にZWOのアプリをシャットダウンし、タブレットとASIAIRがWifiで接続されないようにしてしまえば安定動作するという報告も得られました。実際に私もこの方法を使用してみましたが、確かにアプリを落としてしまえばASIAIRの動作異常は発生しませんでした。(アプリを落とすので、当然撮影された画像をリアルタイムで確認することはできません。)
 このことからAndroid端末使用時にASIAIRの接続が切断されたタイミング、または接続を回復するタイミングでASIAIRとガイドカメラ・架台の接続切断が発生するのはほぼ間違いないのだろうと考えています。

 

・結論

 ASIAIRで撮影を行っている際にガイドカメラや架台との接続が切断される問題は、

ビクセン赤道儀(スターブック10使用)
Android端末
③ASIAIR(Pro、Plus)

 この3つを満たす構成でASIAIRに架台やガイドカメラを接続した状態で、タブレットWifi接続が切断される、または再接続されることをトリガーとして生じると考えられます。

 

・回避方法

 上記①~③の要素のうち、どれか一つを回避すれば問題は発生しないと思われます。一番簡単なのは、ASIAIRのコントロール用の端末をiOS端末にすることだと思います。

 第五世代iPadを購入した際に、ASIAIRとの接続安定性を確認したことがあります。ASIAIRを起動し、Android端末または第五世代iPadを接続した状態で、タブレットを起動していない電子レンジの中に入れました。電子レンジは電磁波の遮蔽性が高いため、タブレット‐ASIAIR間の接続を悪化させることができます。
 結果としてAndroid端末は電子レンジの中に入れて扉を閉めた時点で接続が完全に切断され再接続もできなかったのに対して、第五世代iPadは電波強度は下がったものの接続を安定して維持することができました。理由は不明ですが、Android端末よりも第五世代iPadのほうがWifi接続が安定しているようです。
 
 この結果は「ASIAIRの接続が切断されたタイミング、または接続を回復するタイミングで動作異常が発生する」という予想を支持するものであり、Wifi接続が不安定なAndroid端末で不具合が頻発する理由を説明できると考えています。
 なぜAndroid端末のWifi接続が不安定なのか、なぜ端末とASIAIRが切断・再接続されるとガイドや架台との接続が切れるのかに関しては、はっきりとしたことはわかっていません。ただ恐らくこの問題はとてもややこしい話で、複数のメーカーで構成されたシステムを1つの機器でコントロールしようとしたため、偶然このような落とし穴ができてしまったという予想外の事故だったのではないかと思っています。ZWOが悪い、ビクセンが悪い、Androidが悪い、という話ではないと私は思っています。

 

・おわりに

 この問題は発覚当初からWebで原因を調査していましたが、なかなか類似の事例を見つけることはできませんでした。これには日本特有の事情があるのではないかと思っています。

 

①ASIAIRの普及率
 ASIAIR自体があまり普及しておらず、SharpCapやNINAで撮影する人には無縁の問題であった。
ビクセン赤道儀のグローバルな普及率
 海外含めASIAIRの使用環境を調べると、SkyWatcher赤道儀を使用していることが多かった。日本ではビクセンが比較的廉価かつ高性能の国産赤道儀メーカーとして知られるが、特に海外ではビクセン赤道儀はあまりメジャーではないようで、結果的に問題を生じるのに必要な3要素のうち1つを回避していたと予想している。これにより海外での同様なトラブルの報告がなかなか見つからなかったと推測している。
③日本でのiOS端末の普及率
 日本はアップル製品の普及率が高いと言われている。特にスマホはiPhonの利用率が高いため、撮影にiPhon(iOS端末)を使うことになり、結果的に問題を生じるのに必要な3要素のうち1つを回避していたと予想している。これにより日本でのトラブルの報告数が非常に少なかったと推測している。
 
 これらの要素に加えて、問題が発生したとしてもTwitter(現X)でつぶやく程度で、Blogのような方法で情報発信をする人が少なかったのも問題が見つかりづらかった理由であると考えています。この文章を書いている現在(2024/9/24)時点でも、「ASIAIR ガイドカメラ 接続 切れる」というような単語で検索をかけても、解決に至りそうな情報は簡単には得られない状態です。
天体撮影でトラブルが発生した際の、問題解決の難しさをひしひしと感じる出来事でした。 


 以上で過去に見られたASIAIR使用時のトラブルについてのまとめを終わります。
 アップデートにより現在のASIAIRではこの問題は解決されている可能性がありますが、もし同様の問題で躓いている方がいらっしゃれば、上記の「・結論」に示した3要素のうち、いずれかを変更して試すか、AutoRunで撮影開始直後にZWOのアプリをシャットダウンする方法を試してみていただきたいです。

 また可能であれば、うまくいった場合・うまくいかなかった場合どちらであっても、装置構成や状況についてコメントで共有を頂けるととても助かります。現状でも情報が少ないため、データ数を増やしたいと思っています。

 

 

最後に、SNSでの調査にご協力を頂いた5名の方には感謝申し上げます。皆さんのコメントがなければ、私は天体撮影を辞めていたかもしれません。厚くお礼申し上げます。

 

つたない文章に長々お付き合いいただいた事に感謝いたします。

久しぶりの天体撮影 わし星雲

前回の記事「久しぶりの天体撮影 北アメリカ星雲とペリカン星雲」の続きで、同日に撮影した「わし星雲(M16)」についてです。

 

わし星雲(M16)

撮影条件、画像処理内容は以下の通りです。

・使用機材

鏡筒:FF-130-Apo(0.7倍レデューサー) 700㎜ F5.4

架台:SkyWacher EQ6R

カメラ:ASI533MC Pro ゲイン100 -10℃ 300s/枚

ガイド鏡:ミニガイドスコープ 30F4

ガイドカメラ:ASI385MC

フィルター:Baader UV-IRカットフィルター(2")

その他:ASIAIR Plus

    ZWO EAF

    

・画像処理

ライトフレーム:50枚 

ダークフレーム:30枚

フラットフレーム:8枚

 

処理手順:

PixinsightでWBPP(Drizzle 2)→STF→PCC→STF→BXT(Auto)→HT→CS→TGVD→SCNR→NXT

Affinity Photoで色合いや明るさを微調整

 

わし星雲はメジャーな天体ですが、SXD2を買って星撮り始めて5年、1度も撮影したことがありませんでした。特に理由があったわけではないのですが、夏の星雲だと網状星雲や先日アップした北アメリカ星雲、ペリカン星雲のほうが見栄えもよく、そちらにばかり目が行っていました。

今回はF5.4で300sec/枚で撮影しましたが、露光時間が長すぎましたね。星雲中心の星が完全に飽和し、白飛びしてしまっています。180sec/枚でも良かったかもしれません。ただその代わりにわし星雲の外側の淡い部分や、創造の柱付近の反射星雲の成分がよく映ったと思います。創造の柱の横の青白い部分、分子雲が揺蕩う感じが出ていて個人的にGOODです(笑)

 

創造の柱付近をクロップ

 

創造の柱自体もよく映っていますね。これはDrizzleの効果もありそうです。ASI533MCPは900万画素程度なので、4K(830万画素)とほぼ同等です。しかしクロップすると画素的に厳しくなり、輪郭が荒くなりがちだと思っていました。そこでDrizzleを使うことで画素を倍にして、クロップ耐性を上げています。結構効果的に働いたようで、Drizzleなしの画像とありの画像にBXTをかけると、Drizzleなしの画像では強拡大でジャギーが目立ちました(スマホで見る分にはDrizzle無しでも十分なので、重箱の隅をつつくような話ですが……)。低画素機のスペックを底上げしてくれるDrizzleは、ASI533MCPでは効果的な処理だと感じました。

 

Drizzleの効果
左:DrizzleなしでWBPP→BXT→STF→HT 右:Drizzleを2でWBPP→BXT→STF→HT
Drizzleを行わない場合、恒星の周りにジャギーが顕著にみられる。

 

ひとまず手持ちの画像の処理は終わりです。次は以前から撮りたいと思いつつ、タイミングのなかったアイリス星雲(NGC7023)か、秋の名物アンドロメダ銀河あたりを撮ってみたいと思っています。早く晴れろー!

久しぶりの天体撮影 北アメリカ星雲とペリカン星雲

7/4~7/5にかけて、久々に天体撮影に行ってきました。北関東では夏の晴れ間はとても貴重です。梅雨の時期を過ぎれば、秋の終わりまで夜間一回も晴れないこともざらにあります。正直、勘弁してほしいものです。

 

夏の時期といえば、天の川銀河の中心方向を写すチャンス。メジャーな天体が多くあります。今回は架台2つで2対象を撮影してきました。「北アメリカ星雲(NGC7000)とペリカン星雲(IC5067-70)」と「わし星雲(M16)」です。今回は前者について掲載。

 

アメリカ星雲とペリカン星雲

撮影条件、画像処理内容は以下の通りです。

 

・使用機材

鏡筒:FSQ-85EDP(QE0.73レデューサー) 328㎜ F3.9

架台:ビクセン SXD2(リミテッド)

カメラ:ASI2600MC Pro ゲイン100 -10℃ 300s/枚

ガイド鏡:ミニガイドスコープ 30F4 

ガイドカメラ:ASI385MC

フィルター:無し(ASI2600MC Proに付属のUV-IRカットフィルター使用)

その他:ASIAIR Pro

    ZWO EAF

    

・画像処理

ライトフレーム:48枚 

ダークフレーム:30枚

フラットフレーム:無し(ステライメージの周辺減光補正で対応)

 

処理手順:

PixinsightでWBPP→STF→BXT(Auto)→PCC→STF→HT

ステライメージ8(SI8)で周辺減光処理

Pixinsightに戻ってCS→SCNR→TGVD

Affinity Photoで色合いや明るさを微調整

 

結構きれいに写せたように思います(北アメリカ星雲が若干青く見えるくらいに調整するのが個人的なこだわり)。

この領域は似たような構図で過去にも撮った気がするのですが、今回初めてペリカン星雲の右下に青色の構造が僅かに写りました。形状的にゴーストではないように見えるので、酸素の輝線星雲か、反射星雲か……。露光時間をさらに伸ばせばもっとはっきりしそうな気がします。

それにしてもBXTの効果は素晴らしいですね。この領域は微恒星が多く、普通に処理すると星がかなりうるさくなります。それが正しい姿だと言われればそうかもしれないですが、自分は星雲のうねうねもくもくが好きなので理由がなければ星は小さめにしたいと思っています。

BXTはその願いを容易に叶えてくれます。実際はメリットだけではなくて、リスク*1を伴う処理でもあることがわかっているので過信は禁物ですが……。今後もうまく使っていきたいですね。

 

一方で残念なのは、元の画像が非常に重いので画質を落とさないとアップロードできなかったことと、フラットフレームを撮る時間がなく手動の処理で対応せざるを得なかったことですかね……。特に後者のせいで画像処理の手順がめちゃくちゃになってしまいました。

多くの人はフラットはフラットジェネレーターを使って撮影していると思いますが、私は失敗しづらいスカイフラット*2を使用します。なので曇りの夜にでも撮影に出てフラットを取り直せばよかったのですが、撮影前にQE0.73レデューサーを売ってしまい、フラットは二度と入手できなくなってしまいました。

まぁ……、仕方ないよね!(開き直り)

周辺減光への対応は、当初はPixinsightのABEを使うつもりでした。しかしABEを使うとどうしても画像外周の彩度が落ちてしまい、あまりうまくいかなかったのでSI8で行いました。手わざなので正しい輝度分布になっていない可能性もありますが……やむをえませんでした。

 

とまぁ、こんな感じで失敗や悩むことも多い撮影になってしまいましたが、結果的にはそれなりのものが出来上がったのでひとまずは満足です。

わし星雲(M16)については、次回の記事で記載します。

 

2024年9月9日追記

画像にPixinsightでannotationをつけてみました。

annotation

こうするとどこに何が写っているのかよく分かりますね。北アメリカ星雲の中に2つもNGCナンバーの天体があるとは知りませんでした。StellariumによるとNGC6997は散開星団、NGC6996はアソシエーションというものみたいです。アソシエーション……初耳()。

ちなみに画像右下の青色の星雲らしきものが写ってるあたりはIC5068みたいです。日本での注目度は低いようで、検索してもあまり作例が出てきません。出てきたとしてもハッブルパレットの画像なのですが、どうもこの形状のOⅢ領域があるのは正しそうな感じです。ゴーストではなさそうなのでほっとしました(笑)

*1:設定値次第でアーティファクトが生じる。

*2:実際の夜空を使ってフラットを撮影してます。

低価格ノートPCとPixInsightについて

この間実家に帰った時のネットサーフィン用、兼Polemaster用のノートPCを買ってみたという記事を書いたのですが、ふと「このノートPCでPixInsight動かせるのか?」と疑問に思ったので試してみました。

 

この記事を書いている時点でのPixInsightの最低動作スペックは、Windowsの場合以下の通り。

OS:Windows10または11

プロセッサ:最低8コアを備えた AMD Ryzen Ryzen Threadripper CPU、 Intel Core i9/i10/i11 、Xeonのいずれか

RAM:16GB

 

買ったノートPCのスペックは

OS:Windows11

プロセッサ:AMD Ryzen 5 7530U2GHz/6コア

メモリ:16GB

 

プロセッサのコア数足りんやんけ!

これだとさすがに厳しいかなーと思って、メインPCのスペックを確認してみると……

OS:Windows10

プロセッサ:Intel(R) Core(TM) i5-12400F   2.50 GHz(6コア)

メモリ:32GB

 

コア数足りてないやんけ!!!!()

え、今までCPUの能力不足の状態で動かしてたのか。これなら買ったノートでもそれなりに動くのでは?ということで、メインPCとサブPCで同じ画像をWBPPにかけた時の処理時間を比較してみることに。
ただ流石にASI2600MCP(APS-C)みたいな重い画像だと、ノートPCでの処理は実用的な時間で終わるとは到底思えないので、ASI533MCP(1inch)の画像でテストをすることに。

 

ライトフレーム44枚、ダーク6枚で処理開始。PixInsightのバージョンはどちらも1.8.9-3。電源の設定をハイパフォーマンスになるよう設定してスタート。

 

結果はこちら

・メインPC 10分25秒

WBPPの処理時間(メインPC)

・ノートPC 16分31秒

WBPPの処理時間(ノートPC)


流石にメモリが倍違うのもあり、メインPCの方が早いという結果に。そりゃそうだ。でもノートPCも結構善戦してます。ASI533MCPの画像なら使っても大丈夫そうな感触。もしメモリ増設ができるなら、メインPCに迫るかもしれないですね。

 

……メインPCのプロセッサ、更新した方がいいかなぁ。

 

 

追記

Intel(R) Core(TM) i5-12400F   2.50 GHz(6コア)はハイパースレッディングで疑似的に8コアとして動かせるみたいですね。あくまで「疑似的に」なので、本物の8コアやそれ以上のコア数を持つプロセッサには勝てないのでしょうが……。

ちなみにこの記事を書いた後にメインPCのRAMを64GBまで上げましたが、処理速度は変わりませんでした。プロセッサ律速ですかね……。最新のInetleプロセッサは問題があるみたいだし、買うにしてもだいぶ先かな。

PoleMasterとWindows11

つい最近、サブのPCを買い換えました。

今まで使っていたサブPCは、購入当初はファンタシースターオンライン2PSO2)を実家に帰った時にも遊べるよう、ささやかながらグラボを積んだそこそこの性能のノートPCでした(OSはWindows8)。

その後PSO2を引退し、天体趣味を始めてからはPoleMaster用+実家でのネットサーフィン用で長らく使っていたのですが、流石にスペックも相当時代遅れ。おまけにWindows8では脆弱性もあるので、新規にノートPCを購入しました。特に詳しいスペックは書きませんが、6万円台の安価なPC(Windows11、HP製)です。

 

で、先ほど一通り必要なアプリをインストールし、PoleMasterが起動するか試しました。とりあえずアプリは普通に立ち上がったのですが、いざカメラをUSBに接続し「接続」ボタンを押したところ……

 

「カメラが検出できませんでした」

 

おうふ。

 

ドライバーをインストールし忘れたかと思って再インストールしても直らず。そこで「Polemaster 認識しない」で調べたところ、スターベースさんのWebページで「Win11では認識されない事象が確認されている」ということを知りました。

対策として「ポールマスターのソフトウェアを最新版にアップグレードする、Prolific USB to Serial Drivers を古いバージョンに変える」とありましたが、ソフトウェアやドライバーはQHYのWebページからダウンロードした最新ものでも動きませんでした(Prolific USB to Serial Driversを古いバージョンに変えるは未着手)。

 

悩みはしましたが、結果的にはWindowsのメモリ整合性をOFFにすることで正常に動作するようになりました。

このメモリ整合性、通常はONになっていて、使用しているPCが悪意あるソフトウェアから攻撃を受けた際に被害を軽減する効果があるようですね。詳しくはググってもらった方が間違いがないと思います。

で、PoleMasterのドライバーが信用できないとPCが判断したようで、カメラへのアクセスをできないようにしていたみたいです。とりあえずこのサブPCはほぼPoleMaster専用で、たまーに数日ネットサーフィン……というかYoutube閲覧をするだけのものなので、メモリ整合性をOFFにして運用する方針にしました。

ただリスクのある設定になっていることは理解しておく必要がありますね。

 

まぁ後程Prolific USB to Serial Driversを古いものに変えるのもやってみようとは思いますが、一旦はこれで仮処置ということで。

 

 

追記:メモリ整合性を再度ONにしようとしてみましたが、PoleMasterのドライバーの互換性がないと表示され、メモリ整合性をONにできませんでした。解決策を見ると、「更新された互換性のあるドライバーが入手できるか調べろ。なお問題のドライバーの削除はお勧めできない。」という内容の文章が出てきます。

 

要はメーカー側が対応するまで待てや、ということみたいです。まじか。

 

最新のドライバーでこれですから、QHYが対応するドライバーを出すまではメモリ整合性のONはできないみたいですね。PCセキュリティを重視するなら、無視してPoleMasterのドライバーを消しても良い気がしますが……。まー、自分の用途では困らないのでこのままで運用します。

 

追記の追記:調べていたところ、Win11でPolemasterが動作しない問題の報告がありました。どうも2021年時点で認識されてたみたいですね。中には「Dellでは動くがHPだと動かない」という報告があったりします。なんでやねん。

結構な人数が改善依頼をQHYに送っているようですが、反応がないようです。

極軸合わせは天体撮影用フリーソフトのNINAやASIAIRでもできるので、Polemasterに頼る時代ではないのかもしれないですね。いずれにしろ、もし新規にPoleMasterを購入しようとしている方がいるのであれば、おすすめはしません。

使用機材について~カメラ・撮影補助機材・眼視用機材・その他~

前回に引き続き、使用している機材についてつらつらと書き出してみます。

今回は撮影をする際に使用しているカメラや補助的な装置や機材、眼視に使用しているアイピースなどを書き出します。

 

・カメラ

〇ASI2600MC Pro

 ZWO製のAPS-Cサイズの冷却カメラで、2台持っています。ゼロアンプグロー回路に裏面照射CMOSと、スペックはかなり良い水準でまとっていると思います。約2600万画素と画素数も十分です。センサー保護ガラスがUV-IRカット仕様なのも、フィルターを買い足さなくてよくてありがたいですね。これ以上の大きさのセンサーだと画像データが重かったり、消費電力が増加したり、周辺像の悪化を気にしたりしないとならないため、気楽に扱える最大サイズのカメラだと思います。もっぱらリードノイズが低下するGain100の5min露光で使っています。

〇ASI533MC Pro

 1インチサイズのZWO製冷却カメラです。遠方の対象を撮影するのに使っています。基本的なスペックはASI2600MC Proと同じで、面積だけ違う感じです。センサーが小さいので画像が軽く、処理をさっさと進められるのが良いですね。一方で恒星が大きく映りやすいので、見栄え良く撮るのは難しいなぁといつも思っています。

 

 以前にはASI294MC Proや294MM Proなども持っていました。ただ294MC Proはアンプグローが強く出てしまう点が気になり売却。294MM Proはナローバンド撮影やLRGB撮影で使用していましたが、フィルターをいくつも使って撮影するスタイルがめんどくさくなり売却してしまいました。特に294MM Proは画質は良かったのですが、撮影中に雲がきたりすると特定のスペクトルの撮影枚数が少なくなってしまったりしてストレスフルだったのが致命的でした……。

 

 

・撮影補助機材

〇60mmガイドスコープ

 ZWO製のガイド鏡で、焦点距離280㎜とガイド鏡としては長めの焦点距離になっています。すでに手放してしまったビクセンのR200SSで撮影をする際に使用していて、現在はFF-130-APOのガイド鏡として使用しています。プラスチック製で軽いのと、鏡筒全長を短くすることができるのでいろいろと役に立つのですが、恐らくすでに販売されていません。口径が大きいおかげでバーティノフマスクを使用でき、正確にピントを合わせられるので重宝しています。

〇ミニガイドスコープ 30F4

 こちらもZWO製で、わりと使っている人も多いガイド鏡じゃないでしょうか。こちらは恐らく全金属製で、持った感じがっちりしています。ただピント合わせが鏡筒前部を繰り出すタイプなのですが、固定用の赤いリングを緩めるとねじ部の遊びが大きくガタガタするため、「ここだ!」という点でピントを固定しづらく感じています。バックフォーカスが合うなら、QHYCCDのミニガイドスコープの方がピントは合わせやすかったですね。Askarも似たガイド鏡を出してますが、そっちは扱いやすいんですかね?

〇ASI385MC

 惑星撮影用に買った小センサーの非冷却カメラです……が、最近は惑星撮影をしなくなったのでガイドカメラに転用しています。一般にガイドカメラはモノクロカメラが利用されていますが、FSQ-85EDP+ミニガイドスコープ+ASI385MCのような比較的短焦点の撮影では特に問題は発生していません。

〇ASI120MM-mini

 こちらは正真正銘ガイド用のカメラです。主にFF-130-APO+60mmガイドスコープ+ASI120MM-miniの組み合わせで使用していますが、特に問題なく使用できています。

〇ASIAIR Pro、Plus(32GB)、mini

 天体撮影を始めた当初はPCにSharpCapを入れて撮影していたのですが、PCにコードをいろいろつなげてなんやかんやするのがすごく面倒でした。そんな折にASIAIRの存在を知って、これは良いものだと飛びつきました。その後ちょっとトラブルに巻き込まれたりもしましたが、ZWOのカメラを使用しているならASIAIRがあると非常に楽ができます。私のような楽して撮影をしたい人にはぜひお勧めしたい機材です。ただ現在主流のASIAIR Plus(256GB)は高すぎると思います。32GB仕様の復活を望みます。

〇ZWO EAF(追記)

 すっかり忘れていたので追記。ASIAIRと組み合わせることでピント合わせをオートにすることができます。過去にEAFのオートフォーカスの精度をバーティノフマスクで確認したことがありますが、全く問題ありませんでした。気温が変化したりすると自動でピントを合わせなおしてくれるので、精神衛生上非常に良いものです(過去に温度変化でピントがずれて撮影に失敗した経験あり)。持っている鏡筒にはすべてEAFをつけています。

〇PoleMaster

 QHYCCD製の極軸合わせ補助装置です。極軸望遠鏡を使うよりも簡単に極軸合わせができます。ASIAIRでも極軸合わせはできるのですが、ASIAIRでの極軸合わせは動作に対して反応が遅く、北極星が狙いに対して移動しすぎてしまうことが良くありました。それが若干ストレスだったため、いまだに極軸合わせにはPoleMasterを使用しています。

〇各種フィルター

 あまり使うことはありませんが、SIGHTRONのCBP、QBP、IDASのNB1、LPS-D1、BaaderのUV-IRカットフィルター、SVBONYのUV-IRカットフィルターを持っています。

まぁどれも光害地で撮影する用かガイドカメラ用ですね。撮影ではCBPの出番が一番多いように思います。QBPだと赤色の星雲の写りは良いのですが、全体的に赤っぽい画像になってしまいがちなので……。CBPは若干その傾向を改善しつつ、光害を抑えてくれます。

 

・眼視用機材

〇NPL 4㎜、10㎜、20㎜、40㎜

 ビクセンアイピースです。……はい。可もなく不可もない、普通のアイピースだと思います。

〇HR 2.0mm

 こちらもビクセン製のアイピースです。非常にシャープに見えるのですが、すでに生産終了になっています。もともとはR200SSでの眼使用に購入したものです。今後、使う機会あるかなぁ……。

〇Tele Vue POWERMATE 5x

 惑星撮影用に買ったバローレンズです。眼視でも使用でき、高倍率にしてもシャープな見え方をしていたと記憶しています。お高かった割に最近あまり出番がないのが残念……。

〇Ultra Wide68° 9mm

 SVBONY製のアイピースです。安価で比較的視野が広く、見え味も良いということで買ってみたものです。感想は……まぁ確かに良く見えますが相応では?と思っています。ただ視野が広いのは見ていて楽しいですね。

〇EF 19mm 65°

 笠井トレーディングのアイピースです。これも比較的広い視野を持っていますが、よく見えるアイピースだと思っています。つくりも頑丈で、高級感があります。一番使用率が高いアイピースですね。

〇31.7mmDX天頂プリズム

 笠井トレーディングのプリズムです。特別際立った点はないですが、普通に使えますね。FF-130-APOで使ってみたいのですが、機会がありません……。

〇BS双眼装置

 笠井トレーディングの双眼装置です。これは眼視をするときには必ず持って行き、EF 19mm 65°を2本差して使っています。1本の鏡筒から来た光を1/2に分けて両目で見ているので見え方は悪くなりそうなものですが、そこは脳みそが上手く処理してくれます。両眼で見ることで片目でみるより圧倒的に楽で、楽ゆえに見やすく感じます。課題があるとすれば、バックフォーカスにゆとりのある鏡筒でないと、そもそも双眼装置を取り付けられないことでしょうか。

 

・その他

〇pixinsight

 天体写真専用の画像処理ソフトです。世界的に使用されているものらしく、機能もとても充実しています。ただ機能の多さ、パラメーターの多さに加え、文章がすべて英語なのでしんどい時があります。基本は丹波雅彦さんの著書「PixInsightの使い方[基本編]」を見返して使っています。

 最近はBXTやSXTなどの機能を追加したので、多少気楽に処理ができるようになったと感じています。

〇Affinity Photo

 ほんとに最近買ったレタッチソフトです。買ったばかりなのでまだ使い方をよく理解していません……。ただPhotoshopと違い買い切りなのが素晴らしく、購入に至りました。使い方は触ってればそのうちわかるでしょ(適当)

〇風よけとおもり

 北関東では風が良く吹きます。無風の夜なんてほぼありません。小型の望遠鏡なら多少の風があってもびくともしないのですが、R200SSのような反射式望遠鏡やFF-130-APOは風に吹かれるとガイドがものすごく乱れます。それを防ぐために架台の周囲を取り囲むような風よけが欲しいと思っていました。で、見つけたのがこれです。

天井部分が解放されていて、外周だけシートで覆われている仮設テントです。本来は被災地で使用する想定らしいですが、使えるんじゃないかと。結果としては大成功で、EQ6R+ピラーだとテント中心に設置した場合にぎりぎりポールマスターで極軸合わせができ、防風性能もピカイチでした。ただ当然軽いので、4本の足に5kgずつおもりを乗せています。場合によってはもっと重い重りを乗せるか、何とかして車に接続するなど工夫しないと、暴風が吹いたときに飛ばされるかもしれません。加えて場所をとるので使えるのは人が少ないエリア限定ですが、とても優秀な仮設防風設備となりました。

 

 

以上で機材紹介を終わります。今後は撮った写真とか、撮影時のトラブルレポート、実際に撮影した画像、新しく買った機材の感想などをまとめたいと思います。