“自動化時代”のパートナーとして活躍の場を拡げる産業用ロボット
自動化の実情
人手不足の解消や生産性の向上、刻々変化する消費者動向への柔軟な対応など、様々な理由を背景に自動化ニーズが年々増しています。こうした多様な声に対応する自動化ソリューションとして、産業用ロボットの必要性はますます高まっています。
省人化・省力化に貢献し、汎用性にも優れる産業用ロボットは“自動化時代”に欠かすことのできない存在です。しかしながら、実は導入が進んでいない領域も少なくありません。国際ロボット連盟の統計によると、全世界のロボット密度(製造業1万人あたりの産業用ロボット台数)はいまだ1〜数%に留まっています。
それでも、ロボット本体の小型化や軽量化、システムインテグレーションの工夫、協働ロボットに代表される新しい技術の台頭などにより、大規模な製造現場以外にもロボット活躍の場は着実に広がりつつあります。
国際ロボット連盟の統計によれば、ロボット密度は年々増加しているものの、いまだ世界平均は従業員1万人につき約100台に留まっているという。上位のシンガポール、韓国、日本でさえ1割に達していない。依然としてエレクトロニクス産業や自動車産業といった大量・大規模生産の現場での導入が主体となっている。(国際ロボット連盟による世界のロボット密度統計。2021年版2020年データ)*1
生産ライン自動化のメリット
品質安定
ロボットは精度の高い作業を繰り返し行うのが得意であり、品質のばらつきやヒューマンエラーが解消されます。品質の安定化による歩留まり率の改善、および生産性の向上は、実際にロボットを導入したエンドユーザーの方々から多く聞かれる評価ポイントです。また、特定用途に特化した専用機とは異なり、品種変更や異なる作業への適用にも柔軟に対応します。
人手不足の解消
単調な連続作業や過酷な環境下での作業から従業員を解放できるという点でも、ロボットは有用です。よりクリエイティブな仕事や複雑な業務へ労働力を振り分けることができるので、働き方改革に貢献するのはもちろん、人材育成、ひいては会社の成長の機会にも繋がります。自動化の実現により作業従事者を最小限に抑えることで、人件費の圧縮も可能。さらに、ポストコロナ時代においては、人同士の接触回避、あるいは急な欠員への対応にもポテンシャルを発揮します。
産業用ロボットの導入事例
半世紀以上にわたり自動車や半導体などの工場で主に使用されてきた産業用ロボットですが、近年は規模の大小や業種・業態の別を問わず、ロボット導入による自動化を推進する現場が確実に増加しています。
例えば、協働ロボット「duAro(デュアロ)」の2本アーム機構+人と同じスペースに設置できる柔軟性を活かして、オフィスの一角に医療ロボット向け部品の組み立て工程を設置した例も。人の手の平ほどのサイズのアルミ製ブロックにステンレス製のピンを2本挿入するという作業は、単純でありながら医療用部品だけに高い精度の求められる工程でした。この作業をロボットが行うようになったことで、結果的にヒューマンエラーはゼロに。不良品を100%排除することで生産率を向上するとともに、従業員はより高度で専門的な作業に従事できるようになりました。
また、段ボールの製函機と垂直多関節ロボットを組み合わせ、冷凍食品の箱詰め〜出荷までの工程を自動化した現場では、大幅に従業員の労力が軽減しました。冷凍食品の箱詰めには、「冷たい」「重い」「掴みづらい」「寒い」といった厳しい条件を伴いますが、ここにロボットを導入することで労働環境を改善。人の体温に触れるリスクも無くなったことで、製品品質の安定化にも繋がったといいます。
発想次第で活用の場が広がる産業用ロボット。豊かな明日に向けた“自動化時代”のパートナーとして、その可能性に多くの期待が寄せられています。
*1:『World Robotics Report 2021』(国際ロボット連盟)