母からの手紙 ㉟ : ジーナのおきらくごくらく
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母からの手紙 ㉟

母も私も昔から手紙を書くのが好きで
いわゆる「筆マメ」 の部類に入ると思う。
親元を離れた学生時代、結婚してからの転勤生活でも
電話よりも手紙のやり取りが多かったせいか
実家を整理して処分した時、私が母に宛てた手紙の束がどっさり出てきた。
「アンタの手紙は面白いから捨てられなかった」と言っていたが
もちろんそれ以外のもの、戦中派の例に倣って包装紙やら箱やら
端切れ、ボタン、メモ、領収書、出納帳、血圧ノートに至るまで
よくもまぁ、と思うものも限りなく残されていたが。

手がしびれる、目がしょぼしょぼすると言いながら
母は今でも時々ハガキや手紙を書いてくれる。
(ポストに行ってくれるのは義姉だけど)
こんなものを公開するのもどうかと思うが
内容はともかく注目べきはその筆跡で
これを99歳になろうとしている人が書いているのか!?と
わが母のことながら毎回驚く。
(夫も同意見)

母からの手紙 ㉟_b0119525_10001390.jpg

母の字体は何十年も前から変わらないので
封筒やはがきの表書きをチラッと見ただけで誰から来たのかすぐわかる。
(それは親族の皆も同じことを言っている)

今は手紙を出す親しい人はほとんどいなくなってしまったので
仲の良かった亡き伯母(母の姉)への戯れをボケ防止のために
天国に向かって時々書いているそうだ。
もっとも手紙は残るので本音や愚痴はやたらには書けないらしいけど。

私はこの頃はもっぱらPCメールのみで
母宛のメールを兄に出して兄がプリントして母に渡してくれるという具合。
自筆で字を書く機会はすっかり減ったし
漢字も変換してくれるのを確かめるくらいで自分ではさっぱり。
我ながら情けない。

母が達者な理由がわかる。
何を書こうか考え、あやふやな言葉は辞書を引き、自分の手で文字を書く。
今は本当に便利な世の中になって
自分もその文化を享受しているのだけど
昔の人にはかなわないなぁとつくづく思う。
なんだか今の文化が薄っぺらい気もする。
と言って私自身は今さらそれを捨てることは到底出来ないのだけど。





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