2024年に掲載された研究室の論文

2024年に掲載された本研究室の論文は以下の通りです(オンライン先行出版を含む)

三好香次, & 川畑秀明. (2024). ダンスの美的評価に及ぼす鑑賞者の熟達性の影響 ー総練習時間および身体的再現可能性認知に着目してー. 日本感性工学会論文誌23(1), 27-37.(Open Access)

YANG, S., & KAWABATA, H. (2024). How Behaviors Can Be Formed during Free Art Appreciation: Effects of Canvas Size on Viewing Distance and Gaze Distribution during Free Viewing of Paintings. International Journal of Affective Engineering23(2), 183-193.(Open Access)

Sano, T., Shi, J., & Kawabata, H. (2024). The differences in essential facial areas for impressions between humans and deep learning models: An eye‐tracking and explainable AI approach. British Journal of Psychology.(Open Access)(Open Access)

Tsuda, H., & Kawabata, H. (2024). materialmodifier: An R package of photo editing effects for material perception research. Behavior Research Methods56(3), 2657-2674.(オンライン版は2023年に掲載)

Zhou, Y., & Kawabata, H. (2024). Fluent Processing Amplifies Affective Judgments. Experimental Psychology.

Achour-Benallegue, A., Pelletier, J., Kaminski, G., & Kawabata, H. (2024). Facial icons are indexes of emotions and intentions. Frontiers in Psychology15, 1356237.(Open Access)

Leder, H., Mikuni, J., Kawabata, H., & Rosenberg, R. (2024). Symmetry as an inter-cultural feature constituting beauty: Implicit and explicit beauty evaluation of visual symmetry in Japan. Empirical Studies of the Arts42(2), 519-535.(オンライン版は2023年に掲載)

Mikuni, J., Spee, B. T., Forlani, G., Leder, H., Scharnowski, F., Nakamura, K., Watanabe, K., Kawabata, H., Pelowski, M., & Steyrl, D. (2024). Cross-cultural comparison of beauty judgments in visual art using machine learning analysis of art attribute predictors among Japanese and German speakers. Scientific reports14(1), 15948.(Open Access)

Sano, T., & Kawabata, H. (2024). The relationships among facial features and impressions: statistical causal discovery using LiNGAM. Current Psychology, 1-11.

Zhou, Y., & Kawabata, H. (2024). The “Past” is Sweet: An Investigation into the Aesthetic and Affective Experience of Paintings. Empirical Studies of the Arts, 02762374241300029.

Sano, T., Gondo, M., Osaka, Y., & Kawabata, H. (2025). The effects of image resolution and exposure duration on facial beauty and ugliness evaluations. Acta Psychologica252, 104635.(Open Access)

シンポジウム開催のご案内『なぜアートに魅了されるのか』2025/1/18・土13:30〜16:00@慶應義塾大学三田キャンパス

下記の通り,シンポジウムを開催します。どなたでも参加できます。

シンポジウム『なぜアートに魅了されるのか』
開催日時:2025年1月18日(土)13:30〜16:00(開場13:00)
会場:慶應義塾大学三田キャンパス北館1階ホール
申込不要・参加無料(どなたでも参加できます)

主催:科学研究費・学術変革領域研究(A)『マテリアマインド:物心共創人類史学の構築』)
共催:三田哲学会,慶應義塾大学未来共生デザインセンター
協力:慶應義塾大学アートセンター

問合先:川畑秀明(慶應義塾大学 kawabata@flet.keio.ac.jp)

概要「人はなぜアートを求めるのか?」——この問いには、なぜアートを作るのか、なぜ他人の作ったアート作品を楽しむのか、という両方の問いが含まれる。今日でこそアートは職業として成り立ち、作品を買うこともできるが、子供達の自発的な描画や、世に受け入れられない貧乏画家を考えると、そもそもヒトはアートを求める動物だとも考えられる。本シンポジウムでは、心理学や美術史などの立場から、アートを求めるヒト/人の生物学的・社会的・文化的理解を通して、人類の歴史の中でアートがどのような役割を果たしてきたのか、アートを求める心はどこにあるのかについて学問領域を超えた議論を行う。

講演者・講演タイトル
渡辺茂(慶應義塾大学)「アートにおける恣意性と民主主義:比較認知科学の視点
五十嵐ジャンヌ(東京藝術大学)「ラスコー洞窟壁画の魅力:考古学的にみる太古のアート
小佐野重利(東京大学)「アートの力—美術史から観た、「うつ」や精神障害と闘う芸術家—
川畑秀明(慶應義塾大学)「アートはウェルビーイングを与えうるか?—鑑賞者研究から考える

各講演の内容
渡辺茂    慶應義塾大学・名誉教授
演題「アートにおける恣意性と民主主義:比較認知科学の視点」
概要:アート(芸術作品)には定義がない。朧げに共通する性質を推し量ることはできるが、ある場所の、ある時代の、ある人にとっての美は、違う場所の、違う時代の、別の人の感じる美とは違うかもしれない。突き詰めて考えると美には恣意性がある。しかし、同時にアートは社会的承認を得る必要もある。社会的承認とは一定の数の人が納得するということであり、これは作者が生きている間に得られるとは限りない。この講演ではこのような問題を動物との比較から考える。

五十嵐ジャンヌ    東京藝術大学・非常勤講師
演題「ラスコー洞窟壁画の魅力:考古学的にみる太古のアート」
概要:フランスやスペインでは今から1万年以上前の旧石器時代に描かれた洞窟壁画が多く発見されている。フランス南西部のラスコー洞窟に描かれた生き生きとした動物の壁画群を紹介するとともに、考古学的な出土品や状況証拠から、旧石器時代人がどのように洞窟壁画を見ていたのか、どのように壁画を描いたのかを推測する。長い月日を経て奇跡的に残る最古級のアートとして洞窟壁画にわれわれ現代人が惹きつけられる背景を考える。

小佐野重利    東京大学名誉教授・同大大学院新領域創成科学研究科特任研究員
演題「アートの力—美術史から観た、「うつ」や精神障害と闘う芸術家—」
概要    今日、美術創作の起源も「うつ」など精神障害の発現も、生物進化の過程で人類が遺伝的に獲得した神経システムの「特性」が関与していると考えられている。美術作品を理解するには、制作者の創作心理ばかりでなく、鑑賞者の知覚と感情の関与を考える必要があると唱えた美術史研究者のグループによって、心理学的、神経科学的な研究が導入された。講演では、fMRIラボ実験での被験者によるカラヴァッジョ作品画像の鑑賞を解析した結果などを紹介した上で、アートの力という観点から、精神障害と闘った/闘っている芸術家について論じてみる。

川畑秀明    慶應義塾大学文学部教授
演題「アートはウェルビーイングを与えうるか?—鑑賞者研究から考える」
概要:アートが与える効果・効用に関する研究やアートを用いた文化的処方に関する実践がこの10年ほどの間に世界中で急速に進み、多方面からの注目を集めている。実験美学を背景とした鑑賞者研究の文脈では、従来の実験室研究に加えて、美術館における鑑賞研究や、街中でのパブリックアート鑑賞をテーマとした研究なども散見されるようになった。本講演では、鑑賞者研究の視点から、アートがどのように人々の心(感情や認知)を変容させうるのかについて、特に演者らが行ってきている量的研究を踏まえ、アート鑑賞(やアート創作)がウェルビーイングや関連する心理指標への影響について考えたい。

【募集締め切りました】美術館での鑑賞研究への実験参加者の募集(2025年1月6日〜10日実施)

応募者多数になりましたので,募集を締め切りました。

森美術館(六本木ヒルズ)にて現在開催中の「ルイーズ・ブルジョワ展」において美術鑑賞前後の感情変化に関する実験参加者を募集しています。
この研究(実験)は鑑賞の持続的効果について,鑑賞前から鑑賞後2週間の心の変化を心理指標や自由記述をもとに検討します。
参加登録フォーム 募集締め切りました! https://forms.gle/oSSCQrA1ZUgnNnHP9

実験期間:2025年1月6日(火)−10日(金)
会場:森美術館(六本木ヒルズ)
内容:事前アンケートに回答後,現在、開催中の「ルイーズ・ブルジョワ展 地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/bourgeois/
を鑑賞いただき,その前後の感情変化の検討を行います。また,当日の夜に行っていただく鑑賞体験の振り返りと,その後2週間に自由記述の回答を,専用の川畑研究室公式LINEアカウントから届くアンケートに自由記述で回答を頂きます(LINEアプリをご使用のことが前提になります)。
当日鑑賞券をお渡し,無料で鑑賞頂けます。また,2週間の回答終了後に謝金申請を頂き、アンケートへの回答回数に応じて最大で謝礼4000円をお支払いします(1カ月ほどのちに大学より銀行振込)。

下記の申込みページより,参加希望日時を選んで送信ください(日時は複数お選び頂けます)。
https://forms.gle/oSSCQrA1ZUgnNnHP9
日程調整を行い,後日参加日時をメールにて差し上げます。募集人数に達し次第,募集を終了します。

※作家の表現モチーフにおいて,クモや性的イメージを表現したものがあります。これらの表現が苦手,嫌悪を感じる方は実験への参加をしないようにお願いします。

講演・イベント: 10月12日 アートとウェルビーイング@大阪高島屋

特別講演:アートとともに考える心と脳のウェルビーイング

■10月12日(土)午後1時〜1時30分

アートがどのように心や身体に良い影響を及ぼすのか、アートの楽しみ方について講演します。

■登壇:川畑 秀明 教授(慶應義塾大学文学部)
■参加費:無料
■お問い合わせ:7階家具売場
https://www.takashimaya.co.jp/osaka/tsunagu_market/index.html

研究員(特任研究員,特任助教)

現在,当研究室では1〜2名のポスドク研究員(特任研究員,特任助教等)を募集しております。決まり次第,募集を終了します。

当研究室は,広く美や感性,創造性に関する心と脳の働きを研究しています。人工物/非人工物,有形/無形,かかわらず人が外界の対象に対して美や好み,印象等の感性経験のメカニズムや,人工的にモノや経験を生み出していく・創造する行動や脳の働き,美意識や感性的な個人特性,さらには感性的な心や脳の働きが人のウェルビーイングに与える影響やアートの心身への効用などについて研究しています。
アプローチとしては,実験心理学や認知神経科学,データサイエンス(調査研究や深層学習や形態分析等,統計的モデリングを含む)の手法に加え,最近はワークショップリサーチやインタラクティブアート,VR・MR研究等も行っています。

モノ作りのプロセスや楽器演奏などの創造性研究に関する心理実験や脳波研究,fMRI研究等に従事頂きます。
研究についてプロジェクトを担当し,プロジェクトメンバーである学内外の研究者,大学院生や学部生と研究を進めて頂きます。
また,論文執筆・投稿や学会発表,関連研究会での発表を行っていただきます。

このような分野に興味があり,主体的に研究を進める意欲を持つ方を求めています。

詳細は(こちら)のリンクをご覧下さい。

CCNJ現代芸術の国際展部会 クロストーク:「アートが心にもたらす効果」(終了)

2024年5月23日に開催された,創造都市ネットワーク日本(CCNJ)ゲイン大芸術の国際展部会のイベントに出演し,先日実施した横浜トリエンナーレでの効果検証についての速報値を含め,最近のアートの心への効果やアート鑑賞の行動についての報告を行いました。

過去にはなりますが,イベントの詳細については(こちら)のリンクをご覧下さい。

横浜市立大学COI共創拠点 Minds1020Labにおける横浜トリエンナーレ研究については(こちら)のリンクからもご覧頂けます。

論文出ました

近頃出版された論文について挙げておきます。

  • Zhou, Y., & Kawabata, H. (2023). Fluent Processing Amplifies Affective Judgments. Experimental Psychology, 70(5), 285–293.
  • 三好香次, 川畑秀明 (2024). ダンスの美的評価に及ぼす鑑賞者の熟達性の影響 ——総練習時間および身体的再現可能性認知に着目して——. 日本感性工学会論文誌, TJSKE-D. オンライン版.