日々の出来事が脳に及ぼす影響は2週間。今日の運動が来週のひらめきにつながる|カラパイア
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日々の出来事が脳に及ぼす影響は2週間。今日の運動が来週のひらめきにつながる

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 昨晩の寝不足は、来週のあなたのパフォーマンスを低下させるかもしれない。あるいは今日の運動のおかげで、来週突然、冴えたアイデアを思いつくかもしれない。

 フィンランドの最新の研究では、睡眠・運動・気分の影響が、良きにつけ悪しきにつけ、最大2週間先まで脳内で反響し続けることを明らかにしている。

 つまり私たちの日々の出来事や日常の生活習慣は、数日や数週間かけて脳を形作っているようなのだ。

 もしもそうなのだとしら、それを上手に活かして脳のパフォーマンスを引き出す方法があるかもしれない。

日々の出来事はどのように脳にどのような影響を及ぼすのか?

 ある出来事に対して脳がどのように反応するのか? それを調べた研究はたくさんある。

 だがフィンランド、アールト大学とオウル大学の研究者たちが知りたかったのは、日々の出来事を経験した後々の脳への影響だ。

 つまり何か起きた直後ではなく、その後しばらく脳内で響きわたる”エコー”を解き明かそうと考えたのだ。

 今回の研究の中心人物であるアールト大学のアナ・トリアナ氏は、自らが被験者となってこの概念実証実験に取り組んでいる。

「私たちの行動や精神状態は、環境や経験によって常々形作られています

ですが、脳の機能的結合が環境・生理・行動の変化に対して、日単位から月単位でどのように反応するのか、ほとんど知られていません(アナ・トリアナ氏)

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定期的な脳スキャンと共に、ウェアラブルデバイスやスマホを利用して脳の反応をモニタリングする/Photo 左) Enrico Glerean 右) Matti Ahlgren

日々の出来事の影響は最大2週間も脳に残り続ける

 今回の実験でトリアナ氏が試したのは、定期的な脳スキャンを交えつつも、基本はウェアラブルデバイスやスマホを装着して日常生活を行うという新しいアプローチだ。

 こうすることで、普段の暮らし中の出来事が長期的に脳にどのような影響を与えるのか、手軽に調べることができる。

 およそ5ヶ月にわたる脳と行動のモニターから判明したのは、私たちの脳が普段の生活に対して、すぐさま単独の反応を示したりはしないということだ。

 そのかわりに、睡眠や運動、気分や呼吸といった日常の変化に、何日もかけて反応し続けるのである。

今日の運動や睡眠不足が、翌週の脳のパフォーマンスに影響

 それはつまり、今秋の運動や睡眠不足が、来週、再来週まで、あなたの注意力・認知・記憶といった脳のパフォーマンスに影響するかもしれないということだ。

 とりわけ運動は、脳領域の相互作用を大きく左右し、記憶や認知的柔軟性に影響を及ぼす可能性がある。

 タイトルで運動の翌週にヒラメキがあると述べたのはそういうわけだ。

 また心拍数の変化が脳の結合に関係しているらしいことも判明した。この関係は、特に休息時には強く見られたという。

 ならば、たとえば適切なストレス解消法などによる体のリラックスは、特に作業を行わなくても脳の結合をうながしてくれると考えられる。

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質の低い睡眠は、デフォルト・モードネット・ワーク(特に何もせず、ぼんやりしているの時の脳の働き)同士や、デフォルト・モード・ネットワークと感覚運動ネットワークとの結合低下と相関している

メンタルヘルス医療への応用にも期待

 今回の実験では、全体として2つの異なる反応パターンが発見されている。7日未満の短い反応と、最大15日間続く長期的な反応だ。

 前者は、睡眠不足による集中力の低下など、すぐさま現れる脳の反応を反映したもので、すぐに回復する。

 後者は、特に注意力や記憶に関連する領域における、もっと緩やかで持続的な反応だ。

 それを明らかにした今回の新しいモニタリング・アプローチは、日常生活に脳がどのように反応しているのか解明する手がかりをもたらすだけでなく、患者それぞれに合わせた治療を行ううえでも役立つだろうと期待されている。

 人それぞれの生活習慣が脳をどのように形作るのか、その全体像を知るには、日常生活を送る中でのデータが必要になる。だが、それを長期的に行うのは大変なもので、それゆえに不正確になりやすい。

 だが今回のように、長期的なモニタリングを手軽に行えるようになれば、そうした問題は解決されることだろう。

 またリアルタイムで脳の変化を追跡することで、見逃されがちなメンタルヘルスの兆候を検出し、神経障害を早期に発見できるようにもなるかもしれないそうだ。

 この研究は『PLOS Biology』(2024年10月8日付)に掲載された。

References: Echoes in the brain: Why today’s workout could fuel next week’s bright idea | Aalto University

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この記事へのコメント、5件

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  1. ほほー、面白いです。 2005 年のイグノーベル賞でドクター中松が「3日前の食べ物が頭の働きや体調に影響を与える」ってのを受賞してますが、運動も影響があるんですね。
    こと筋肉だけについていえばカラパイアで見たのかボディビルディングの方面で見たのかわすれましたが、 6 週間後までは疲労が蓄積していくだけで 8 週間後からパフォーマンスが上がり始めるという話がありますね。自転車では一般にトレーニング負荷は過去 6 週間の長期負荷と過去 2 週間の短期負荷の差などが調子(レースの成績)に影響を与えるといわれておりそれを利用してトレーニングしている人たちが多いし、分析ソフトもそういうように作られてます。
    元に戻って、この頭の働きと運動の関係は散歩とかでもよく言われるので負荷の強さや時間や脳の関連の傾向がわかるといいなと思いつつも、若い人と私のような年寄りではもういろいろ違うのだろうなと思ったり…

  2. 2週間消えないわけなら、いやがらせしてきた相手に小さな不幸が連続するよう呪い続けてやる覚悟を決めるとちょっと楽しくなる

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