技術同人誌を書いてみたい熱が高まってきた
私は、個人で出版社から書籍を出したり、KDP(Kindle Direct Publishing)で個人出版したりと、色々な形で出版をしています。
次に興味が湧いてきたのが技術同人誌です。同人誌出してから商業出版をする方が一般的なようですが、ひねくれものなので逆行しています。
技術同人誌を出す意義・メリットなどに関しては、以下のレオナさん(@reona396)の記事がとても参考になります。
私が、技術同人誌に興味が湧いた大きなきっかけも、実はたまたまTwitterのSpacesでレオナさんと技術同人誌について話したからだったりします。
技術同人誌を作って、イベントに参加するまでの流れについては、以下の書籍が非常に参考になりました。
ネタ出しから執筆ツール、イベントの準備、宣伝、お金の処理など、初心者向けに最初からアフターケアまでワンストップでまとめられています。
印刷と同人イベント自体は未経験なものの、出版の流れ自体は商業誌や個人出版で分かっているので、なんとなくいけそうな気がします。そんな中、悩ましいなと思ったのが執筆ツールです。執筆から印刷まで、全体に大きく影響してくるので、最初にある程度固めちゃいたいのですよね。
結構自分は悩んだ(今も悩んでいる)ので、少し自分なりにまとめて比較をしてみました。
技術同人誌執筆ツール
以下代表的なツールを比較してみました。あくまで私が知っている有名どころだけです。他にもよいものあったら教えてください。
Re:VIEW
ネットで調べると、よくおすすめされている執筆ツールが「Re:VIEW」です。TeXのラッパーみたいなものみたいです(私の理解なので違うかも)。使っている人も多いので、ちゃんと出力できれば、印刷時のトラブルは少ないと思います。
以下試してみた記事です。
使うのにそれなりに知識が必要です。上記の記事もGitやDockerを全く知らないとなかなかうまく活用できないと思います。あと、ローカルでの環境構築は必要なので、凄い手軽というわけではないです。
ある程度やる気があって、執筆ツールの環境構築の手間もいとわない。環境構築すら楽しめるという方向けですね。
TeX
理系の大学生だと、論文書くときに一度は使ったことあるのではないでしょうか?環境構築や、独特の複雑な書式に悩まされた人も多いのでは無いかと思います。
ただ、最近はクラウドのTeXプレビュー/PDF出力環境である「Overleaf」があるのでなかなか便利です。技術書向けのTeXテンプレートを公開している人もいるので、比較的簡単(ブログ感覚)に技術書を書くことができます。TeXに慣れている人であれば、有力な選択肢になると思います。詳細は以下記事参照ください。
Overleafを使わないケースとしては、GitHub Actionsでビルドするソリューションもあります。GitHubに慣れていて、GitHub Actionsの概要が分かる人向けです。以下記事参照ください。
Word, Pages, Google ドキュメント(Google Docs)
一番手軽に書ける選択肢ですね。特にGoogle Docsは、オンラインでOS関係なくいつでも執筆できるので便利です。共同で執筆することも可能なので、執筆者のITリテラシーに差があるとき、一番ハードル低く始められる選択肢だと思います。私は商業誌やKDP個人出版にはGoogle Docsをメインで使っています。
詳しくは以下記事参照ください。
ただし、紙の書籍として印刷する場合は、そのままだとどうしてもチープに見えてしまうかもしれません。そもそも書籍としての印刷を目的としたソフトではないので、クオリティを上げるのも難しそうです。加えて、Google DocsはB5のサイズではまりどころがあったりと、印刷でトラブルが発生する可能性も高そうです。
とにかくコンテンツに集中したい人、紙の書籍はつくらない(クオリティにはこだわらない)人向けですね。
CSS組版
CSS組版は、色々バリエーションあるようですが、私がそれほど詳しくないのでひとまとまりにしています(詳しい人すみません)。
Markdownで書く、Re:VIEWで書く、PandocやVivliostyleというツールを使うなど様々なパターンがあるようです。以下あたりが参考になりそうですね。最終的にCSS組版に流れ着く人も多いようです。
InDesign
Adobeのツールです。プロ用ですね。これを使うような人は、このページを見る必要無いと思いますが、一応名前だけ紹介しておきます。
自分の場合は、価格(2,728 円/月)で選択肢から外れました。
自分が選んだ執筆ツール
今の時点では「TeX」ですね。Overleafでクラウド環境で書ける利点が大きいですね。あとは、たまーに論文書くときにTeX使うので、執筆ツールが増えないという利点も大きいです(可能ならツールは統一したいです)。TeXの記法は、決して書きやすいわけではないですが、耐えられないほどではないですしね。
書きやすさと商業誌・KDPとツール統一したいという気持ちからGoogle Docsも捨てがたかったのですが、やはり技術書としてクオリティを高めて紙印刷もしてみたいなという気持ちから、TeXに軍配があがりました(良い感じのテンプレートがあったのも大きいです)。
他のツール(特にRe:VIEW)も印刷のクオリティは良さそうだったのですが、どうしても環境構築に手間がかかるのがマイナスポイントでした。特に、私はPCを頻繁に変える上に、異なるOSを使うので…
個人的な好みとしては、文章書くのにVS Codeとかのエディタをあまり使いたくないというのもあります。VS Codeエディタ使うと、コードを書くモードに自分の頭が切り替わってしまうんですよね。あと、Vim拡張使うと文章書きづらいんですよね。いちいち切るのもめんどうですし(自分だけ?)。
逆にすべてをVS Codeで済ませたいという人は、Devcontainerとか使うと最強の文章執筆環境を構築できる可能性はありますね。
まとめ
技術書の執筆ツールを調べてまとめてみました。今のところ、もし書くならOverleaf使ってTeXかなーと考えていますが、そもそも何を書くかまだ決めていません(笑)何かイベントを目標にして先に締め切りを決めてから考えてみようかなとか思っています。
技術同人誌に興味あるけど、書き方が良くわからない(特にツールに関して)という方は、参考にしてもらえると嬉しいです。ちなみに、私はまだツール最終決定していないので、他にオススメのツールなどありましたら是非教えてください。変更するかもしれません。
「ブログみたいにオンラインでMarkdownとかで気軽に書くこととプレビューができて、選べるテンプレートがたくさんあって、商業出版可能なクオリティ/フォーマットで一発出力!」みたいなシステムがあれば最高なんですけどね。出版社がブログサービスと組んで、システム作ってくれたら最高なんですけど、色々事情があるのでしょうね。
いずれ、どこかがそういうサービスを始めると思いますが、あと5年〜10年くらいはかかるかもしれませんね。
参考リンク
Day-155 Re:View Starter が本を書くのに便利 - CC56
技術書典12で用いた同人誌の執筆環境とGitHub Oriented Writingの紹介
UdonTech_LT_220709 - Speaker Deck
LaTeX でソースコードをいい感じに魅せる - たーせる日記
モウフカブールは組版ソフトを複数使ってる話|モウフカブール/mofukabur
関連記事
変更履歴
- 2024/09/19 GitHub Actionsを使ったTeXのビルドに関して追記
- 2023/01/29 Re:VIEWの環境構築に関して追記