据置オーディオ趣味を再開して以来、以前のようにイヤホンなどのポータブルオーディオに関しては、まったく熱意がなくなっていた。移動中は音が聴ければいいという割り切りで、DAPやスマホをワイヤレスイヤホンで聴いていた。ところが、久しぶりに手元にある中国メーカーが出している有線イヤホン(俗称:中華イヤホン)で聴いてみると、ワイヤレスイヤホンよりずいぶん音質がいい。最後にイヤホンを買ったのは2021年だったが、これをきっかけに中華イヤホンへの興味が再開した。*1
最終的にLETSHUOER S12 Pro*2という定価2.5万円のイヤホンがセールで2万円だったので買うという、見事な中華イヤホン沼に落ちたのであった。
自作PCのようにカスタマイズが楽しめる中華イヤホン
中華イヤホンの魅力として、カスタマイズの自由度が上げられる。イヤーピースの変更はカナル型ならどれでもできるが、ケーブル変更が手軽にできるのは中華イヤホンならではだ。見た目や音質の変化のために好きなケーブルに変えられる。音を良くするバランス接続というものがあるが、バランス接続に対応したケーブルももちろん用意されている。Bluetoothレシーバーも販売されているのでワイヤレス化もできるのだ。ただ、中華イヤホンはほぼすべてSHURE掛け(耳掛け)なので、SHURE掛けが苦手な人は注意を。
中華イヤホンの定番モデルといえばKZ ZSTX
これ以上の高価な製品は欲しいとは思わなくなっているのだが、中華イヤホンで一番楽しいのは、「安くて音が良いイヤホン」探しである。イヤホンに詳しくない人でも、安価で音が良いと有名なのがKZ ZSTX(KZがメーカー名)だ。俳優の石井正則氏もZSTXに衝撃を受けていた。
【YouTube🎥動画投稿】
— 石井正則 (@masanoriishii) 2023年6月5日
とんでもなく安いイヤホンなんですが、とんでもなくすごかったです!
他のイヤホンでは普通に聴けてたところで何故か泣けてきてしまって…。
【感動!】心震えるイヤホン。それがこんな値段でいいの?「KZ ZSTx」https://t.co/whaYroSXTR pic.twitter.com/6AulW5JR3e
ダイナミックドライバー1基が最近の流行
ZSTXは、バランスド・アーマチュア(BA)のドライバーとダイナミックドライバー(DD)を組み合わせたハイブリッドのイヤホンで、中華イヤホンはこのハイブリッド構成のイヤホンが主流だった。ところが、最近はDDの技術進化に伴い、QDC SUPERIORやSIMGOT EA500のようにDD1基だけで音が良いイヤホンが増えている。
KZではZVXというイヤホンがそれだった。DD1基のイヤホンというと、SHURE SE215のように高音があまり伸びないというイメージが強かったのだが、ZVXは伸びやかな高音が出るのが衝撃だった。ZVXは価格も安いのだが、大きくて重いという欠点があり、どうにも初心者には勧めにくかった。
元気な音のKZ EDX Lite
KZ EDX Lite 有線イヤホン インイヤーモニターヘッドホン HiFiステレオIEM、取り外し可能なケーブル付きダイナミックドライバーイヤホン 低音シンガー ミュージシャン ドラマー オーディオマニア(ノミック)に最適※Linsoulが在庫切れなので、KZ公式ショップの方もリンクしておく。中国からの発送なので時間がかかる
そんなところで知ったのだが、このEDX Liteだ。EDXシリーズの中で、Liteは一番安価なモデルなのだが、その安さからは考えられない良い音が出る。伸びやかな高音と力強い低音が魅力的なのだが、空間表現もしっかりしており、元気な音で音楽を楽しく聴けるイヤホンとなっている。
ドンシャリの傾向が強いので、一番合っているのはアップテンポの曲だ。『KICK BACK』(米津玄師)はイントロのうなるベースの低音が心地よい。低音を多用した最近の邦楽に向いたイヤホンといえる。
鬼束ちひろ「月光 (Live at Bunkamura Orchard Hall on November 17, 2020)」 - YouTube
『月光』(鬼束ちひろ)のライブバージョンはホールの残響音が伸びやかに聴こえて、ホールの空間を感じさせてくれ、ライブの臨場感が非常に出る。
アップテンポな曲だけでなく、アコースティックな女性ボーカル曲もしっかり聴かせてくれる。『ふゆびより』(佐々木恵梨)は、透明感のある歌声と穏やかなアコースティックギターの音をしっとりと表現する。
高価な製品と比べれば、音の解像度や分解能で劣るところはあるが、同価格帯の中で比較したら、音の解像度は抜群に高い。
映像を見るのにも向いているKZ EDX Lite
Netflixで『ガンダムUC』冒頭のクシャトリヤとジムの戦闘シーンを見たのだが、モビルスーツのバーニアや動作音の重低音がこれでもかというぐらい出ており、モビルスーツの重厚感がよく出ていた。よく出る低音と優れた空間表現のおかげだ。
『ぼっち・ざ・ろっく!』5話でオーディションの前に機材の調子を見るシーンでは小音量で機材の動きの音やマイクノイズが聴こえるのだが、これがちゃんと聴ける。*3もちろんライブシーンもよく聴ける。
中華イヤホン入門モデルとして最適
Twitterでこのイヤホンいいよとずっと書いていたのだが、OKPさんとコグレマサトさんが買っていて、満足されているようで良かった。
ちょっと気になって買ってみたら本当に良くてびっくり!
— OKP (@iamadog_okp) 2024年3月20日
元気のいいドンシャリ系だけどこれは確かに音楽聴くのが楽しいイヤホン。この値段でこれは驚く https://t.co/iOAVBlNfN8
音にこだわりがない人なら、EDX Liteを買っておけば充分だろう。Amazonではいろいろなショップから販売されているが、日本で中華イヤホンを多く扱っているLinsoulで買うのが安心なので、リンク先はLinsoulにしている。
もうちょっとお金を出してもいいという人はバランス接続のケーブルや多数のイヤーピース、ケースなど付属品が豪華なTRN CONCHがお勧めである。こちらもセール中で現在4000円を切る。
バランス接続とヘッドホンアンプの導入で更に音を良くする
EDX Liteもバランス接続すると、音が良くなるのだが、バランス接続できるUSB DAC内蔵ヘッドホンアンプとケーブルを買うと、最低5000円以上の予算はかかってしまう。同じ予算なら、もちろん別のイヤホンを買ったほうが良いのだが、こういうこともできるという紹介のため、触れておく。
ケーブルはコネクタによって種類があるのだが、EDX Liteの場合はQDCと書いてあるタイプを選ぼう。この辺りが低価格でそれほど太くないケーブルだ。交換ケーブルは結構太いものが多いので注意。スマホに接続できるUSD DAC内蔵ヘッドホンアンプはGUCraftsmanのように5000円を切る安価なものもあるが、かなり特殊な製品なので、一般的には1万円以上の製品を買うのを勧める。花見川さんに教えてもらったAIYIMA H2 miniは約8,000円とこの手の製品としては安い。普段1万円のEarFun UA100が現在セールで8,480円になっている。Shanling UA3はUAC 1.0 モードがあり、PS5に繋げる利点がある。*4
※イヤホン関係の知識は花見川さん ID:ch1248 にいろいろ教わったので感謝!